自転車で駆け抜けた100km、見えてきた新たな世界
自転車で初めてのロングライドに挑戦し、初心者の壁とも言われる100kmを走り切った。朝5時に茅ヶ崎市を出発し、伊豆半島を目指す。
熱海までは順調に進んだが、本当に大変だったのはそこからだった。
だんだんと空が明るくなり、背中に太陽を背負って自転車を漕ぐ。体全体で太陽の光を浴びるような、この柔らかな感覚を味わうのは一体何年ぶりだろうか。車の中で迎える朝の光とはまったく違う、この瞬間を肌で感じながら走るのは特別なものだ。
小田原までは約30km、だいたい1時間ほどの道のり。自分にとってはちょうどいい距離だ。空もすっかり明るくなり、景色が少しずつ目に入ってくる。車で何度か走ったことがある道だが、自転車で走ると印象がまったく違う。こんなに坂道があっただろうか?車ならアクセルを踏むだけだが、自転車ではペダルを漕がなければならない。地形の起伏を身体で感じ取ることで、風景がまた違ったものに映るのかもしれない。
小田原を超えて熱海を目指す頃には、気温がぐんぐん上がってきた。朝は肌寒く感じてスウェットを着て出発したが、これが大いに失敗。分厚すぎて暑くなり、しかも朝の涼しさはすぐに消えてしまう。脱いでカバンにしまってみても、かさばって邪魔になるだけだ。ロードバイカーたちが服装にこだわる理由が、ようやく身をもって理解できた。
小田原の街並みを走ると、歴史的な景観が目に入る。しかし、立ち止まってじっくり見ようという気持ちにはなれない。走ることで気持ちがいっぱいいっぱいになるのだ。
自転車に乗り始めたころは、地図を見ながら「あそこに寄って、ここにも行けたら…」と思っていたが、実際にはそんな余裕はない。ひたすら目的地に向かって走り続けることに集中してしまう。それも悪くはない、と自分を納得させる。
こういった場所に立ち寄るなら、最初の目的設定の段階で計画に組み込むべきなんだろう。また次回来よう、と心に決めた。
ここから熱海を抜け、伊東へと進む。徐々に伊豆半島特有のアップダウンが体に重くのしかかり始める。海沿いの美しい景色が目の前に広がり、それを感じながらペダルを踏む。そして、ふと気づくと、眼下に広がる海が見えてきて、坂道を登り続けてきたことを実感するエリアに差しかかる。
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