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隠れすぎた名作『デバイスレイン』を振り返る

 ゲームライターマガジン、今月のフリーテーマのお時間です。てっけんさんがかなりバズってる記事を書いているので、ボクがまったく需要の無さそうなものを書いてバランスを取ろうと思います(笑)。

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 このゲームライターマガジンでは何度か過去のマイナー作を紹介しているますが、今回はそのなかでもいちばんマイナーなんじゃないかと思う『デバイスレイン』です。1999年2月25日にプレイステーションとセガサターンで発売されたシミュレーションゲームで、原画はmooさん。

 mooさんといえば、恋愛シミュレーションの『エターナルメロディ』『悠久幻想曲』シリーズがいちばん有名で、次にミステリーアドベンチャーの『此花』シリーズが知られているのではないでしょうか。

 この『デバイスレイン』は『悠久幻想曲』と『此花』シリーズの間に発売された作品なのですが、あまり知名度が無いんですよねぇ。ほかの作品よりも恋愛要素が薄いからかしら……。

 世界観としては、普通の高校生だった雲野十夜が、とあるきっかけでオーパツという神話や都市伝説の情報を組み込んだ武器“オーギュメント”を手に入れ、非日常の世界に身を投じていくというもの。

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 ……みなさん、お気付きですよね? はい。ボクの大好きな中二病作品です。

 ただ、誤解してほしくないのは既存作品の安易な劣化コピーではない、しっかりした作品だということ。本作のシナリオを担当しているのは、あのスタジオオルフェ。オルフェは萌えゲー『ゆめりあ』でも後半でガチのSFを展開しましたが、本作も凝ったSFの設定がたくさん用意されています。作風は中2病ですが、雰囲気だけでごまかすことはなく、しっかり設定が練られています。

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 物質はすべて“イデア情報”によって存在が確立しており、その“イデア情報”を人工知能で結晶化させたものがオーパーツ。イデア情報は周囲に発信されており、周りのものが受信することでその物質の存在が確定する。そのため、認識を変えればイデア情報を変更させることができる……といった設定は戦闘システムにも上手に絡んいます。

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 また、各オーパスは偉人の持ち物だったり都市伝説に出てくるアイテムだったりするので、そのウンチクが物語のなかで語られるのがワクワクしました。正直、今でも『FGO』をプレイしていて、このゲームのことを思い出します(笑)。それこそ『FGO』にも登場するジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネット、ビリー・ザ・キッドの逸話も登場しますが、もっとマイナーなところから引っ張ってくることも多いです。

 主人公の武器からしてジョン・ボールの鎌ですからね(笑)。本作をプレイしていると歴史に詳しくなります。

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 学園モノっぽい雰囲気ですが学園生活部分があまり出てこなかったのは個人的に不満でしたが、実際の東京を舞台にしているので臨場感はありました。

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 声優陣なども豪華で、とくにメインヒロイン役の坂本真綾さんはエンディングテーマも歌っていたのですが、残念ながら作品自体があまり話題にならず。

 戦闘があくまでアドベンチャー部分のおまけの枠を出ていなかったのと、少しアクの強い絵柄がヒット出来なかった要因なのかなと思っています。

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 ゲームアーカイブスでも配信されていないので気軽にプレイすることはできませんが、気になったらプレイしてもらいたいですね。


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