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きっと、僕がいうべきなんだろう。

昔、宗教が、ファンタジーが、現実として信じられていた時代。

科学者は、どのような方法で、どのような想いで、ファンタジーに反する真実を普及させたのだろうかと、最近はよく考える。

『認知バイアス』と呼ばれるものがある。

認知バイアスとは、私たちの直感がもたらす『思考の錯覚』だ。

認知バイアスは、科学の世紀にあってもまだ、人間に広く信じられているファンタジーであるとも表現できる。

心理学が明らかにした重大な発見の一つは、『世界は、私たちの直感に反する』ということだ。

たとえば、『テスト』や『クイズ』と呼ばれるものは、学力を測る『試験』であると長年信じられてきた。

しかし実際には、『テストを解くこと自体が、理解を深め、記憶に定着させる』ことが実証研究から明らかになっている。

つまり、テストは学力を測る試験であるだけでなく、学力を向上させる学習手段なのだ。

このテストの学習効果は、認知心理学の専門用語で『テスト効果(Testing effect)』と呼ばれている。

しかしテスト効果は、アメリカの調査では、大学生の9割が知らないこともわかっている。

テストは依然として、試験であるとしか思われておらず、効果的な学習手段として認められていないのだ。

なぜなら、テストを解くことが効果的な学習であるというのは、『直感的な真実ではない』からだ。

テスト効果の普及は、認知バイアスによって阻まれている。

しかし、だからといって、僕らは真実の前に口を閉ざすべきだろうか?

みんなが信じる世界に迎合すべきだろうか?

そうは思わない。

少なくとも、真実を知っているものは、口を閉ざさず、語っていくべきだ。

それがたとえ僕しかいないのだとしても、きっと、僕は諦めるべきではないのだろう。

だから僕は、今日も、心理学を発信する。

直感的な天動説ではなく、反直感的な地動説を伝道し続ける。

皮肉にもその心地は、科学者というよりも、布教を続ける宗教指導者に近いのだけれど...。


今週のコルクラボのお題は『あなたが「とりあえず」ですませられないことは?』でした。

ちなみに僕は、テスト効果を利用した本の学習サービス『BooQs』を開発・運営しています。

もしよかったら、使ってあげてください。


あなたの貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!