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ヘビトンボという昆虫について
思い出を振り返るときに、私はスマホの写真アルバムを見るのだけど、案外写真を見ながら、「そういえば、」というような、ちょっとした記憶を思い出したりする。
今年の夏の写真には、仕事でのイベントの記録や、毎年恒例の、盆踊りの記録が残っている。思えば台風や地震、コロナの蔓延などで、心配事も多かったな。
そんな中ですごく印象に残っているのは、生まれて初めて発見した虫の話なので(ごめんなさい、タイトル画像は全く関係ない)、ちょっと苦手な人がいたら、そっと閉じてください。
マイルドにするために、小説風に書いてみる。
はい、ここから文体が少し変わりますよ……!
***
その日は、ちょうど流星群の日で、いつもは外に出ることもないのに、夜中、外に出て星を見ようと思いました。
すると、玄関の中からでさえ分かるくらいに、外に大きな虫のシルエットがありました。私は最初、大きな蛾だと思いました。夜だからあまり分からなくて、玄関を開け、恐る恐る、その虫をサッと跨いで、外に出ました。
次の日もその虫はそこにいました。朝だったので、姿がよく分かりました。羽は透明で透き通っていて、黄色の斑点があります。体は長く、でも大きな顎があり、蟻のような顔をしていました。私は羽蟻の女王かと思いましたが、それにしてもこんな大きさの蟻は見たことがありませんでした。
ネットで調べる前に、SNSで画像をあげたら、虫が神秘的だと言ってくれて、すぐに調べてくれた方がいました。そこでこの虫は、『ヘビトンボ』という、全く羽蟻とは違う種類の昆虫だと分かりました。
ヘビトンボはどちらかといえば、カゲロウに近く、小さい時は水の中に住んでいて、大きくなると陸上に上がって蛹になるそう。なるほど。
顎が強そうだなとは思っていたのですが、調べてびっくり。ヘビトンボという名前の如く、幼虫でも成虫でも、噛まれたらめちゃくちゃ痛いそうです。蛇のように毒はないけど、ものすごく腫れ上がるとか……肉食性が強くて、この幼虫が一匹いると、周囲から他の水生昆虫がいなくなるとか、水中のムカデと呼ばれることもあるとか、仲間同士で噛み合って殺し合うとか……Wikipediaには恐ろしいことがたくさん書いてありました。
確かに、上を跨いで通ると様子を追って、顎を振り回してきて、ちょっと怖い雰囲気。だけどこの子は結局ずっと同じ場所にいて、お昼頃にお亡くなりになりました。
でもこのヘビトンボ、実はこの夏、私は一度見ていたんです。イラストで、しかも幼虫ですが。
この夏に依頼があり、生徒と一緒に水生昆虫の調査をする機会があったのですが、調査の項目で「指標生物」というのがあり(要はこんな生物が住んでいたらこの川は綺麗と言えるよ、という生物のことです)川の綺麗さを調べるため、どの指標生物が住んでいるかを調べたのです。
調査の参考になる表は、生物のイラストが書いてあったのですが、「綺麗な川に住んでいる」の生物に含まれていたのがこの「ヘビトンボ」でした。
ちなみに調査でヘビトンボは見つからなかったのですが、調査した川(役場本庁舎の前の長尾川です)は、綺麗な川に住む指標生物が3種類ほど見つかり、川は綺麗と言えるのではないかということが分かりました。
講師によると、リトマス紙みたいな色が変わる紙で川の綺麗さを測ることもあるそうですが、それだと川の一部分しか見れません。だけど指標生物は何年も住むものがおり、長期間に渡る全体の川の綺麗さがわかるよ、と教えてもらい、その話にも少し感動したのでした。
私の住んでいる近くの川、もしくは沢は、綺麗なんだな。
なんてことないですが、この夏だけで、出来事と出来事が結びついた一コマでした。
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最後に、私が見つけたヘビトンボの画像をあげておきますね。苦手な方は見ないでね。
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それでは今回も、ありがとうございました!
◼︎書き手:綿津実(ワタツミ)
鹿児島県出身。2017年〜本格的に川根本町へ移住。細々と短い物語を書いています。
◼︎参加作品 電子書籍ベリショーズVol.10〜13
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