スマホ 約束 専門家
新しいスマホをいじっている。カメラがキレイに撮れること以外、使うアプリも普段と同じなので、取り立てて何の感慨もない。
iPhone13。買って帰った日には、嫁さんが死ぬほど羨ましがっていた。「いいな、いいなぁ〜」と。
その日目を覚ますと、枕元のiPhoneが起動しなくなっていた。充電切れ…いや、ケーブル繋がってるのにそんなはずは…と、何回かパワーオンを繰り返したら、ようやく電源がついた。
しかし、動作がすこぶる不安定で、さながら20代の僕のメンタルのようだった。すぐ落ちる。
仕事で使う機会が多いので、故障したままではさすがによくない。
やむを得ず、家電量販店で働く友達にLINEで事情を伝えると、「来いや」と返ってきたのでお店に行くことに。
大手家電量販店とは言え、平日真っ昼間の田舎の店舗だ。予想通りガラガラである。
年々人混みが苦手になってきてる僕にとっては好都合だけど、お店の経営は大丈夫なんだろうか、と余計なお世話が頭の中をかすめる。
携帯コーナーへ行くと、売り場で暇過ぎて死にそうな友達がいた。
挨拶もそこそこに「スマホの買い方ってさ、主に3パターンあるわけよ」
と、買い替えについての説明を始める彼。
要点だけの、不必要な例え話を引っ張り出してこないスッキリとした説明。
ビジネスのシーンにおいて、「不必要な例え話」って本当に多い。それが無いだけで僕はとても嬉しくなっている。
説明をひとしきり聞いた後で、
「キャンペーンとかそういうのいいから、買い替えが1番手っ取り早くて楽な方法がいいや」
と、伝えると「じゃあ…」と教えてくれた選択肢に「それで」と、乗っかることに。
話が早くて助かる。僕は話が早い人が本当に好きだ。話が早い人全員いいこと起これ。
というわけで、さっさと機種も決まり「初期設定やってやるよ」という友達の優しさに甘えて、売り場の商談用テーブルセットに移動する。
新品のiPhoneを箱から取り出して、慣れた手つきで画面をタップしていく友達。
「落ち着いたらまた飲み行こうぜ」
などと言いながら、設定をしてくれている。
果たされない飲みの約束を、何度してきたことだろうか。今回の約束はしっかり守りたい。
小学5年生、初めて同じクラスになった彼。
26年後、まさか駅ビルの電気屋で客と店員で会話しているとは。
帰り際、「またいつでも」と言ってくれたことに、妙な安心感を覚えた。家電屋の携帯コーナーに、そんなにしょっちゅう用事があるでもないけど。
いつでも行ける距離に、「専門家としての友達」がいるって心強い。
僕もそういう友達でありたいな、などと思いつつ一階のお酒コーナーでエビスの500ml缶に手を伸ばしていた。
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