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病院は逼迫?

本日、2020年12月14日、GoToキャンペーンが一時停止が発表された。
同じく、2020年12月11日、日本病院会からも声明が上がったニュースを見たので、
「はたして、病院は逼迫しているのか」を考察する。
・はじめに
・日本病院会からの声明ニュース
・日本病院会の概要と声明内容
・もう一つの発表
・病院が逼迫しているのかの考察
・菅内閣が決めた、GoTo中止は有効か?
・まとめ

<<はじめに>>

このマガジンは、
「情報の大切さと、怖さ」
を理解してもらうべく、執筆している
毎回、記事冒頭に、批判覚悟で訴える。
・「情報はすべての行動の基本になります」
・「考えることなく、情報を鵜呑みにしたら、知的生物ではない」

コロナ禍で露呈した、マスメディアと視聴者の関係、情報の大切さを考察する。

<<日本病院会からの声明ニュース>>

記事としては、大型病院も含め各種医療機関が属する団体からの声明を取り上げた記事である。

GoTo「即刻中止を」 病院団体2020年12月11日 15:52 時事通信
いつもながら、引用する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/25472dcba11408dcafb640f2e4bcb7dccbcf5e48

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日本病院会(相沢孝夫会長)は11日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、需要喚起策「Go To」キャンペーンの「即刻中止」などを国に求める声明を発表した。
 声明では「医療現場では、今でも重症者らの診療を必死に行っているが、感染拡大がこのまま続けば、医療崩壊は必至だ」として、拡大防止を最優先に取り組むよう要請。「Go To」キャンペーンについては、「一時的中止を求めるもので、感染制御がされた後の再開を妨げるものではない」と強調した。

 次は、オーサーの意見

高野龍昭

高野龍昭 東洋大学ライフデザイン学部・准教授

日本病院会は、比較的大規模な医療機関によって構成される(いわゆる)業界団体のひとつで、国公立病院や公的医療機関(日赤や済生会など)も多く加盟し、歴史もある組織です。そこがこうした声明を発表する意味は重いと思います。
医療機関の現場がいかに切迫しているか、必死の訴えだと思います。また、感染を拡大させないための専門的見地からの大切な意見であるとも言えます。
政府・自治体、さらには国民ひとりひとりがこの訴えを受けとめて、施策のあり方や日常のあり方を考え直すべきだと考えます。

<<日本病院会の概要と声明内容>>

一般社団法人「日本病院会」。
http://www.hospital.or.jp/


公益社団法人「全日本病院協会」、一般社団法人「日本医療法人協会」、一般社団法人「日本精神科病院協会」と連名で多くの提言を行っている様である。
多くは、診療報酬(どの治療、検査を行ったかで金額が決まる)の提言が多い。
今年に入ってからは、多くの提言書がPDF化され公開されている。

今回、ニュースになったのは、日本病院会単独での次の声明である。
「新型コロナウイルス感染症対策に関する声明~感染拡大防止のために国が行うべきこと~」
http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20201211_01.pdf

一部抜粋して、引用する。

<略>
今こそ国は、病院や医療従事者を最前線に立たせるのではなく、国が先頭に立ち国民の行動抑制と感染制御を最優先とする戦旗を掲げ、コロナウイルスと真剣に向き合うべきと考える。既に医師や看護師、コメディカルや事務職員の退職や社会的差別が見られ、医療従事者の心身の疲弊は限界にある。このタイミングを逃すと、これまで頑張ってきた医療従事者の努力や犠牲が全て無駄になる。
<略>
1.新型コロナウイルス感染症のこれ以上の拡大を防止するため、GoTo キャンペーンを即刻に中止とすること。なお、経済活動の重要性は充分に認識する故、あくまでも一時的中止を求めるものであり、感染制御がなされたしかるべき時期の再開を妨げるものではない。

2.三密の厳守は、クラスター発生も低減させるものであり、これの徹底と、接触制限の遵守があまねくおこなわれるよう、必要十分な施策をとること。

前半の太字は筆者による。
「戦旗」「犠牲」とは随分物騒と思いつつ、続ける。
(現在、戦旗という言葉は使われているのだろうか?)

さて、引用部1が、記事に書かれた内容である。
・GoToキャンペーンの即刻一時停止
・経済的効果は認める
・医療現場の様子で再開させる
と読み取れる。

このニュースでは、引用1の「経済的効果を認める」部分、および引用2の「三密の厳守は、(略)の徹底と、接触制限の遵守」が書かれていない。
声明は、政府に出されたものである。
我々市民には、GoToの存続云々は結果であって個人ではどうしようもない。
読み手へのメッセージとしては、「自己防衛の意識を高める」必要性を再認識するような戒めと取る事ができる。
なぜ、マスコミはGoTo中止の提言のみを記事にしたかが不思議である。

<<もう一つの発表>>

同日、日本病院会はもうひとつの発表を行っている。こちらは、4団体連名である。筆者としては、こちらが興味深い。

1:施設数と申請率
2:うち、交付決定
3:うち、入金
4:ボーナス

「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の
交付状況等に係る調査 集計結果」
http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20201210_02.pdf

概要は、病院の経済的状況と、給付金の実施についてのアンケートである。
アンケートは約5,300の医療機関にアンケートを配布。
返信2,005病院(37.4%) 11月末付
内、コロナ受け入れ病院は847 施設(40.4%)であった。
つまり、返信の内60%は該当しない施設である。

また、返信率は一昨年のデータでは約20%であり、例年以上の把握が認められそうである。
(ただし、偏りが出る場合も考慮する必要がある)

アンケート1

ここからの数字のマジックである。
注意してみてもらいたい。

申請、うち交付決定、うち入金と3パターンある。
それぞれ%が示されているが、ここで注意が必要なのである。

1:施設数と申請率
まず、申請施設数の分母がアンケート回答があった2005を分母としている。これでは、全体の医療体制に対する割合が解らないのである。
唯一わかるのは、⑥未申請・・・537 病院(26.8%)
つまり、75%の医療施設しか申請をしていないのである。

2:うち、交付決定
①~⑤の事業別で交付の決定数(及決定率)が公表されている。
率のみ列挙すると、
54.0%, 80.9%, 43.7%, 45.9%, 0%
である。
どの様な感想を持っただろうか。
「厚生労働省はなかなか交付を認めない」
と思ったら、数字のマジックに騙されている
この数値はあくまで、「決定数」のみで、「却下数」は記載がなく、「却下」か「検討中」かが不明なのである。
(ちなみに、結果が出るまで何日かかるかは不明)

3:うち、入金
こちらも2と同様である。
しかし、ある情報からすると、都道府県経由で入金されるので役所が手いっぱいとの事があるので、行政の責任もある可能性は半々である。

4:ボーナス
(5)冬季賞与の支給予定(n=2,002 病院)
満額支 給・・・936 病院(46.8%)
減額支 給・・・451 病院(22.5%)
支給な し・・・ 7 病院 (0.3%)
検 討 中・・・608 病院(30.4%)
つまり、約半分の施設では満額支給なのである。
これは、内部留保なのか収入なのか借入なのかは不明である。
サービス系の民間企業では、どの程度なのであろうか。

<<病院が逼迫しているのかの考察>>

少なくとも、財政的にみれば50%程度の医療施設では経営に問題はない。
そこで、もうひとつ考えなければならない要素がある。
経営難の理由だ。
・内部でコロナ発生が原因の休診
・コロナ禍で受診者の減少(高齢者向けのリハビリ施設等)
・残業がかさみ、給金への負担増

確かに、新型コロナ感染者受け入れの医療機関はマンパワー的には逼迫していると感じている。
しかし、数値だけ見ると経営的には他の産業に比べ、さほどダメージを受けている様には感じられない。

しかし、5月に決められた補正予算の予備費が7兆円ほど手つかずだという(準備10兆円)。この予備費を効率的に利用して医療従事者への手当と、経済対策に素早く充てることを政府に要請したい。

<<菅内閣が決めた、GoTo中止は有効か?>>

結論から言えば、失敗である。
別にGoToを推奨するわけでもない。ただ、タイミングが悪いのである。
例年の風邪やインフルエンザと同じ波を辿ると仮定した場合、1月から2月がピークになる。
このコロナの陽性者数も年末には1日1,000人を超えることは想像に難くない。
では、なぜ失敗なのか。
それは、GoToを止めた事による減少なのか、例年のウイルス性の特性なのかが判断しがたくなるからである。
止めるのであれば、12月頭。もしくは続けるのがウイルス特性を知る手段であったのだ。
補佐役菅官房長官が、総理になり力が発揮できず、日和見・八方美人かしているのだろう。
中国三国志、劉玄徳と諸葛孔明の如くトップはトップの器、補佐役は補佐役の器があり、菅総理は後者だと思う。

<<まとめ>>

オーサー高野龍昭のコメント

政府・自治体、さらには国民ひとりひとりがこの訴えを受けとめて、施策のあり方や日常のあり方を考え直すべきだと考えます。

上記に尽きる。

政府・自治体・誰かのせいにするのは簡単である。
しかし、今重要なのはコロナ禍に如何に対するかである。
GoToを止めるのが目的なのか?
いや違う。感染拡大を防ぐのが目的であろう。

であれば、マスコミも政府を責めるだけでなく、三密の回避、マスク手洗い、睡眠栄養などの自己防衛を強く啓蒙するべきだ。

最後に、亡くなられた方にはご冥福を祈り、その関係者にはお悔やみを。
闘病中の方には一日も早い回復を、医療従事者の方々には只々感謝するばかりである。

続く






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