ベルリン_day28_ヨーロッパ建築旅行2018
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チューリッヒからベルリンへの夜行バスは座席運が悪くへとへとになってしまった。というのも、ここまで都市間移動の半分は夜行バスを利用してきたが、満席になることは少なく、横の席も使えることが多かった。しかし、今回のバスは満席に加えて、最後尾の5人横並びの窓側席に当たってしまい、全く身動きがとれない。飲み物もセーブし、なんとかトイレに行きたくなることも回避して、一晩の移動を乗り切ったのだった…。
8時過ぎにベルリンの外れのバスターミナルに到着。そこから電車に乗ってベルリン中心地のポツダム駅へ。見知らぬ土地で寝過ごすのは一番やばいので、居眠りしないよう立って乗車する。
疲れ切ってなんとかスタバにたどり着き仮眠しながら2時間くらいまったりして体力を回復する。
*
ベルリンで建築を見る!といっても日程的に割ける時間は今日1日だけなので、いわゆる大物が固まっているポツダム駅周辺を見て回る感じ。とはいえ、流石のベルリンなので、1日で以下の建築が見れた。
①〈ベルリン・フィルハーモニー〉ハンス・シャロウン
②〈ベルリン州立図書館〉ハンス・シャロウン
③〈新ナショナルギャラリー〉ミース・ファン・デル・ローエ:改修中で外観のみ
④〈ベルリン科学センター〉ジェームズ・スターリング:改修中で外観のみ
⑤〈シュトレゼマン通りの集合住宅〉ザハ・ハディド
⑥〈ホロコースト記念碑〉ピーター・アイゼンマン
⑦〈ベルリン・ユダヤ博物館〉ダニエル・リベスキンド
⑧〈アルテス・ムゼウム/旧博物館〉シンケル:外観のみ
⑨〈新博物館〉デイヴィッド・チッパーフィールド(改修)
⑩〈ソニーセンター〉ヘルムート・ヤーン
という感じ。フォスターの国会議事堂は完全に忘れていた…。
今回は見て回った建築が多すぎるので、ごちゃごちゃ言わずに一言コメントと写真でまとめようと思う。
では、さっそく。
①〈ベルリン・フィルハーモニー〉ハンス・シャロウン
公民館のようなたたずまいで、音楽ホールによくある堅苦しさをまったく感じない。
シャロウンについては、日本語の資料で詳しいものが手近にないので、外装の金色のアルミパネルは竣工時になかったとか、いろいろなお話がたくさんあるようだが、正確にわからないので調べたら追記したい。
②〈ベルリン州立図書館〉ハンス・シャロウン
ベルリン・フィルハーモニーの向かいに建っていて、同じくシャロウンの設計。大空間に不規則にフロアが挿入されているような構成だが、各部寸法が抑えて作ってあるので不思議とスケールアウトしない。マテリアルも柔らかい印象のもので効いている、FRPの照明とか。素晴らしい建築。
③〈新ナショナルギャラリー〉ミース・ファン・デル・ローエ)
チッパーフィールド設計で改修中だったのでこんな感じ。見たかったな…。今回はバルセロナ・パビリオンも見れずなのでミース運がない。
④〈ベルリン科学センター〉ジェームズ・スターリング
こちらも改修中、そもそも国の研究機関なので入れない建物みたい。
写真を見るともはや、改修ではなく作り直しているのでは…。
⑤〈シュトレゼマン通りの集合住宅〉ザハ・ハディド
ザハの実作のなかでもかなり初期のもので1993年の竣工。
ドイツには国際建築展(IBA)というものがあり、そのプロジェクトの一環で計画された建物。ヴァイセンホーフ・ジードルンクの住宅展覧会もIBAの源流ということで、ドイツの建築文化において重要な役割を果たしているようだ。調べたら論文もあった。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/47/3/47_679/_pdf
家にあったザハの作品集を見てみるとIBAのレギュレーションが厳しく難しかったというようなことが書かれている。
⑥〈ホロコースト記念碑〉ピーター・アイゼンマン
ベルリンのまちなかに突如現れる記念碑であり、広場であり、パブリックアートであり、建築でもある。
ただ単にそこにあるというつくりが信頼できる。
10+1にこんな記事があった。
深沢秀一,『ドイツの記念碑と共同想起の現在──《ホロコースト記念碑》とコンペ案から』
https://www.10plus1.jp/monthly/2018/08/issue-02.php
⑦〈ベルリン・ユダヤ博物館〉ダニエル・リベスキンド
博物館の意義を疑うことは、一切ないがこの建築が果たして良い建築なのか、ということについては意見が分かれると思う。
経験を強制するような装置的なあり方や連想を引き出すための暗喩的空間が展開する。もちろん狙っていることとは言え、難しい建築だなと思う。
なにかを伝達するために建築を用いるというのは、教会建築とかが分かりやすいが、この建築に感じる違和感は、それが言語的すぎるからなのかもしれないと思った。
⑧〈アルテス・ムゼウム/旧博物館〉シンケル
ユダヤ博物館を出て移動してきたらすっかり日が暮れてしまった。
『テクトニック・カルチャー―19-20世紀建築の構法の詩学』のなかでシンケルに言及されていて現物をみたいと思っていたが、時間がなくエントランスだけチラ見する。
⑨〈新博物館〉デイヴィッド・チッパーフィールド(改修)
元の建物の設計はFriedrich August Stülerで、修復および改修をチッパーフィールドが行い2009年に再オープンした。既存は第二次世界大戦後かなりぼろぼろになっていたそうで、相当手をいれて修復しているそう。新設部分は基本的に白いテラゾー仕上げでつくられているが、既存の修復部分と合わせて相当きちんと色見をコントロールしていて、苦労が見て取れる。
基本的にプランは元の建物がベースになっているため、ちょっとミチミチにものが詰まっている印象。
隣の敷地には同じくチッパーフィールド設計の〈ジェームズ・サイモン・ギャラリー〉(2018年竣工)がつくられ、連続性のある設計になっているので、それがあるとずいぶん体験も変わると思う。(この時はまだオープンしてなかった)
⑩〈ソニーセンター〉ヘルムート・ヤーン
最後は昨年(2021年)亡くなったヘルムート・ヤーン設計のソニーセンター。ヤーンらしいダイナミック建築、びかびか。夜行バスまでの時間をマックでつぶす。お昼ご飯も、ここに入っているレストランで食べたけど当たりだった。
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とりとめもない感じになってしまったが、1日に詰め込みすぎてかなり疲れた…。最終的にここまで封じてきた日本料理レストランに入り、からあげ丼を食べる。染み入るおいしさ…。
サイコロの旅かよという感じで、今夜も夜行バスに乗り込み目指すはケルン。明日は〈聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館〉〈ブラザー・クラウス野外礼拝堂〉を見るツムトア・デイ。
20220321@東京
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