高認検(旧大検)について色々と。(前編)
追記
日本の「高等学校」は、国際標準教育分類(ISCED)では後期中等教育とされますが、本文中では便宜上「高等学校」における教育を「高等教育」と記述しています。
高卒認定試験って、知ってる?
正式名称、「高校卒業程度認定試験」、以前は「大検(大学入学資格検定)」と呼ばれていた通り、
大学進学のための資格試験です。
問題の難易度や分野で言えば、各自治体の公立高校の受験問題と、共通試験(旧センター試験)の間、くらいをイメージしてもらえればいいかと思います。
過去問も公開されています。
年に2回、例年8月と11月に文科省が行なっています。
さまざまな事情で高校を卒業していない人が、この試験に合格することで、大学入学資格(大学入試の受験資格)を得ることができます。
大学入学資格、と、高卒の違い。
中卒、高卒、大卒・・・と、いうのはいわゆる最終学歴です。
多くの企業や官公署でも、最終学歴によって採用する職種や待遇等を分けています。
是非はともかくとして、能力がいくら高い人でも、その求人に最終学歴の制限があると、除外されてしまいます。
大学入学の条件としてほとんどの方が認識しているのは、高卒、つまり、「高等学校」を卒業していること、ではないでしょうか。
実際、大学に入学される方は、高校を卒業した後に大学に進学するケースがほとんどです。
ところが、大学入学資格には「高校卒業」を含め、例えば海外の高校をはじめとする13パターンの入学資格があるんです。
その中の一つとして、高卒認定試験に合格した者、という条件で大学入学の資格を得ることができます。
しかし、例えば中学校卒業後に就職して、その後、高卒認定試験に合格しても、大学進学をしなかった場合、最終学歴は「中学校卒業」つまり「中卒」のままとなり、「高卒認定試験合格」というのは、あくまで資格であって学歴とはなりません。(当然、履歴書の資格欄に書くことはOK)
なお、国家資格や、民間企業でも、高卒認定に合格していると、高卒者と同等の扱いになるケースも多くあります。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/20220603-mxt_syogai02-1334943_kokkashikaku.pdf
高卒認定試験、の、受験資格。
ちょっとややこしいですが、大学入学資格を得るための、高卒認定試験にも、受験資格があります。
文科省のページから引用すると、
とのこと。
現代の日本ではあまり考えられませんが、中学校を卒業していない方でも、16歳以上であれば受験できます。
が!!
よく読んでみると・・・
との記述があります。
例えていうと、原付免許を持っていない人でも、自動車の免許があれば原付には乗れますから、後から原付免許の試験を受けることができない、みたいな話ですね。
大学入学のための試験ですから、当たり前と言えば当たり前なのですが、
一方でちょっと疑問も。
というのは、高校の入学資格について。
この中に、
と、記載されています。すでに大学入学の資格(高校卒業等)があっても、法令上、高校への再入学は禁止されていません。
んで、かわけんは何が言いたいんや。
特別支援学校を卒業した方が、もう一度高校の内容を学習したい、とのことで、高卒認定試験にチャレンジしよう、と提案する際に調べていて気がついたのがきっかけです。
当時は養護学校という名称でしたが、高等部を卒業しているため、大学受験資格をすでに持っており、高卒認定試験が受験できない、ということに気づきました。
一方で、その方が高等部に在籍していた間、国語や数学などのいわゆる教科学習はほとんど学年に沿った内容の授業がなく、また身体が不自由であったため学習する方法もなかったので、高校、分野によっては中学校の内容も、ほとんど勉強したことがないし、その機会もなかったとのことです。
しかしテクノロジー等の進歩によって、ICT機器を活用しながら、学べることが徐々に当たり前になってきました。
そこで、「大人になってからの学び直し」を決心されたとのこと。
その決心はよっぽどのことだったろうと思います。
その後調べていてわかったのですが、現在でも少なくない支援学校在籍の方が、同様のケースで、知的な能力としては何の障害がなくとも、学年相応の授業を受ける機会がない、ということが多いことがわかりました。
ちょっとまだまだ長くなりそうなので、続編は後日。