ボンボヤージュ
東京に向かう道中で、「男はつらいよ」を見ながらこれを書いています。
たまたま、新幹線の隣に座った方が外国の方でした。
僕よりも10くらいはお若いシュッとした男性。
前後でご家族らしき人と座っています。
ご家族から回ってきたもみじ饅頭を食べておられる。
僕は外国の方を見かけると(もちろんお時間がありそうなとき)、
ついつい、カタコトカタカナイングリッシュで話しかけてしまいます。
こういうところ、ADHDですねぇ。
違う文化で暮らしている方が、昔から「興味がある」んですね。
まして、好き好んで時間とお金をさいて日本に来てくださっているとなると、
嬉しいんです。
ところが今回は(も)、僕のカタコトカタカナイングリッシュが通じません。
「しまったなぁ。またやってしまったなぁ。」
と、思ったところ、そうだ!と、思いつきました。
とりあえず国名だけなら英語でも通じるかも、と、
(これも見た目で判断しているんだけども)それっぽい国名をあげたところ、
フランスから来られたことが分かりました。
スマホを取り出して、google翻訳機能を使って、
「広島に行ってきたのですか?」
「もみじ饅頭は美味しいでしょう?楓の形をしているんですよ。」
と入力して、フランス語で表示された画面を見せました。
「ヤ!メルシー!」
この瞬間が、僕は昔からとてもたまらないんです。伝わった瞬間。
「ボン・ボヤージュ!」
“Thank you!”
小さい頃、おつかいで「これください」と言って「おつかいえらいね」と買えた時。
中学生の頃、ALTの先生に習いたての英語で「僕はテニス部で、ギターを演奏するのが好きです」というと”It’s good!!”と帰ってきた時。
コミュニケーションって、そういうことやと思います。
伝えようとする人と、受け取ろうとする人の相互作用。
「なんとかこの人に伝えたい」
という人と、
「こいつはなんとか伝えようとしてくれてるな」
という人がいて、初めて成り立つモンです。
一方的なのは、コミュニケーションじゃないんですよね。
と、ここまで書いているところでちょうど、車掌さんが来られました。
棚に置いているトランクが大きすぎるから、落ちると危険だというのを、
英語で伝えておられます。
「フランス語を使われる方だと思いますよ。」
と、車掌さんに伝えると、
「助かりました、ありがとうございます。」
と、業務用スマホを取り出して、同じように翻訳アプリで伝えていました。
「トランクが大きすぎて、落ちると危険なので、足元でご管理ください。」
伝わったようです。
大きなトランクを足元に置かれて、ちょっと足元が狭くなりました。
けれどその方は、もっと窮屈そうに長い足をたたんでおられます。
いい旅になると、いいなぁ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?