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ヤフオクでクレポン(ちりめん浮世絵)を出品して気づいたこと

クレポンを世に浸透させるためにヤフオクに出品をしました。
下記のクレポンの説明を全ての出品に入れました。

ちりめん浮世絵は売れ残りを新たに売るために特殊加工をした浮世絵で、紙を縮めることにより色が強く輝
くため、ゴッホを始めゴンクール、マチス、ボナール、ホイッスラーなどに愛された浮世絵です。
売れ残りを加工したためにその数はとても少なく、浮世絵500~1000枚に1枚しかないと言われ、有名美術館でも数枚しか収集していませんし、名所江戸百景となると皆無です。
オランダの国立ファン・ゴッホ美術館では17枚ほどのちりめん浮世絵を収蔵していますが、保存のために展示はしていません。
もちろん名所江戸百景は1枚もありません。
ちりめん浮世絵は、ヨーロッパではクレポンと言います。
見た目や触った感じは布に印刷された浮世絵に思えますが、浮世絵を特殊加工して縮めた浮世絵です。
現代では完全にこの技術が途絶えてしまったのですが、ちりめんを再現しようとする人が数人出て、ちりめんの再現に成功もしているのですが、江戸のちりめん浮世絵までの完成品はまだ作られていません。
また、ちりめん浮世絵を伸ばし大判浮世絵にすることはできますが、明治時代の色がきつく出ている浮世絵は多少色落ちしてしまいます。
江戸時代のちりめん浮世絵は問題ありません。
そのため、現在ヤフオクなどでは大判浮世絵の2~3倍の価格で落札されています。
ファン・ゴッホは浮世絵を600枚以上集めましたが
特にクレポンを愛し、アルルでクレポンを油彩画で描こうとし、それは成功しました。
アルル以降のゴッホの絵はクレポンを作ろうとした絵で、その絵が世の中に驚きと革命を起こしました。
つまり、ファン・ゴッホの絵が有名になったのはクレポンを油絵で描こうとしたからです。
クレポンがなければファン・ゴッホの傑作は生まれな
かったのです。

クレポンのことに関して五井野正氏が『クレポンとジャポネズリーの違い』という論文を書いています。
http://www.goino-tadashi.com/contribution2/contribution2_04.html
上のアドレスがそうですが、題名で検索すれば出てきます。
また、川上宏の『ゴッホの愛したクレポン』にもクレポンが詳しく載っています。
https://note.com/kawakamihiroshi/n/nb5438ecc076d
但し、検索では簡略版しか出てきません。
上のアドレスをコピー貼り付けしてみてください。

歌川広重の代表作と言えば切手やお茶づけのおまけとして有名な保永堂版東海道五十三次だと思っている
人が多いと思いますが、広重の代表作と言えば『名所江戸百景』なのです。
また、19世紀末のジャポニスムでは,その独特な遠近法によって,西欧絵画の空間認識にさらに重大な影響を与え、印象派による絵画の革命は、幕末の浮世絵、特に名所江戸百景によるものなのです。

この文言を長い間さらせばクレポンと言う言葉も定着していくはずであるし、今までのちりめん浮世絵の定説を覆すことができ、日本人がクレポンを見直していくはずなのです。
これはビジネスは二の次でクレポンの浸透を狙ってしたことです。
ただ、価値がないものは誰も興味がわかないだろうと電子版画にして50のエディションをつけて、絵柄によって価格を変えました。
復刻の浮世絵はどの絵柄でも値段は同じです。
手間が多くかかったのは少し高くするくらいです。
つまり絵柄による価格の差は付けておらず、あくまでも手間賃の代償としての価格にしています。
おそらく部屋に飾ることを前提にしているのかもしれません。
しかし、飾るなら自分でプリントしたもので十分です。
コレクションをするのならエディションをつけて、価値をつけさせる方が、買った方も大事にするし、欲しい絵柄の値段と相談しながら買うようになるでしょう。
まあ、それをやるとお金の少ない人は欲しい絵柄を買うことができませんけどね。
私が出品したのは電子版画なので、復刻版の定価(13000円)よりはかなり安くすることができるし、実物大で作りますからA4の大きさですみます。
これが大判浮世絵ならばB4もしくはA3になってしまい、コストが倍以上かかるし、発送も80サイズになるのでゆうパックしかなくなるので料金が格段に高くなってしまいます。
これがA4サイズならゆうパケットを使えるので175円で全国に送れます(もちろん保証はつかない)。
175円なら送料無料にできます。
出品で一番苦労したのは電子版画と思わずオリジナルのクレポンと勘違いさせてしまうことです。
詐欺的に出品している人は、分からないように『真贋は素人なので分かりません、画像で判断してください』みたいな文言を載せてあるのですが、私はなるべくわかりやすいように載せました。
初めの表題に下記のように
ピエゾグラフ(電子版画)と載せ、

品川御殿やま ゴッホの愛したクレポン(ちりめん浮世絵)縮緬 名所江戸百景 (広重 )のピエゾグラフ(電子版画)11/50 送料無料

説明文には下記のように載せました。

ちりめん浮世絵(クレポン)名所江戸百景
品川御殿やま
A4(210×297mm)
(広重 )をピエゾグラフ (電子版画)にしました。
江戸時代のオリジナルではありません。
現代の電子版画です。
大判浮世絵の名所江戸百景は、浮世絵を所蔵している
美術館ならば、所蔵しているところがほとんどですが、ちりめん浮世絵(クレポン)の名所江戸百景を所蔵している美術館は皆無です。
その貴重なちりめん浮世絵(クレポン)の電子版画です。

しかし、このように記してもオリジナルと勘違いして落札する人もいました。
この場合、説明が不十分で申し訳なかったです、と謝るしかありません。
電子版画は和紙を使います。
その和紙も特別なものでなければインクが載りません。
当然、高額になります。
そして、プリントした後にエディションとか表題をつけて判子を捺します。
出来上がった電子版画をまたスキャンして、画質を落として画像としてヤフオクに載せます。
結構お金と労力が必要です。
これは大変だと考え、ただのプリントも出品することにしました。
プリントならばマット紙を使えばいいし、落札された後に摺ればいいので管理も必要ありませんし、改めてスキャンする必要もないのです。
マット紙、インク代、ヤフオク手数料、送料、梱包材料で400円くらいかかります。
これに手間賃を入れてどんな絵柄でも800円で出品しました。
手間賃と言っても、落札されて郵便局に行くだけでガソリン代がかかります。
山で暮らしているので郵便局まで歩いたら2時間くらいかかります。
それに時間も40分ほど労します。
プリントしたり梱包したり、やり取りの時間を入れれば1時間以上はかかりますので、最低時給代も出ません。
もちろんたくさん落札されれば手間賃はだいぶや安くなります、が、落札なんて2週間に1度くらいなので、その可能性はありません。
しかし、クレポンの広報だと考えれば儲け云々ではなくなります。

実は、ここまでは前置きです。
本題はこれからなのですが、私はプリントは高く売買されているクレポンが落札されると思っていました。
具体的にはファン・ゴッホが模写した『大はしあたけの夕立』とか『亀戸梅屋鋪』です。

ところが落札されたのは『角筈熊野十二社俗称十二そう』『よし原日本堤』『猿若町夜の景』なのです。

浮世絵の世界の名所江戸百景でいえば、これらは良い絵柄に入っていません。
『猿若町夜の景』は最低ランクより一つ上くらいです。
これが価格を変えている電子版画なら分かります。
価格の安いのを落札したのだろうと。
ところがプリントは価格は同じです。
それならば役物と言われる特別な浮世絵にすればいいのに。
復刻版の浮世絵でも人気絵柄しか復刻しません。
それ故、幕末の人気の無い役者絵などは復刻版がない故に安心してオリジナルを落札できるのです。
しかし、現在の価格で絵柄を見なければどうでしょうか?

この落札された3枚中々悪くはありません。
おそらくこの落札者は名所江戸百景の値段なんてわからなかったから、自分の好きな絵を落札したのでしょう。
また、今の人に人気があるか調べるのにアクセス数があります。
ヤフオクも出品者にはアクセス数が出てきます。
すると、花が描いてある絵柄や色のきれいな絵柄に人気が集まります。
例えば『隅田川水神の森真崎』は『大はしあたけの夕立』並みに人気が高かったのです。

確かにちゃんと見ると、この八重桜の絵はとてもきれいです。
それに桜が描かれている絵は人気が高いです。
人物が描かれているのも人気が高いです。
私は『名所江戸百景』のことは、役物から教わり、その後、値段の高いものから教えてもらいました。
30年前ですから、今のようにネットはありません。
現物を見るか、本を見るしかありません。
浮世絵の画集、特に名所江戸百景を探すとなると古本屋を片っ端から探すしかない時代です。
アマゾンがあれば一発の現代では考えられない時代です。
だから、自分の感性で見るより、教えてもらう絵柄が良いと洗脳、もしくは刷り込みがされた状態で見ていたのです。
これは大きな発見でした。
江戸時代の人がどのように見ていたか、ある程度推測できるのです。
それにクレポンですから大判浮世絵に比べれば色彩が濃く出ます。
つまりあでやかな絵柄はとてもよく映えるのです。
これは摺りたての大判浮世絵の色彩に近かったかもしれませんので、ますます江戸時代の大衆の目と同じかもしれないのです。

このクレポンの色彩がファン・ゴッホ、ボナール、マチスの色彩画家に大きく影響を与えたのは『ゴッホの愛したクレポン』でも書いています。
見比べれば誰もが分かるでしょう。

ファン・ゴッホ、の絵を見て「感動した」「ゴッホの絵なんて興味なかったけど今回の展示会で見たら衝撃を受けた」などと発言する人が多くいます。
またこれはファン・ゴッホだけではなく他の絵でも美術館で見たとき同じような感想を口にする人も多いです。
しかし、これも刷り込み、洗脳なのです。
美術館で見た、と言うところにもう権威の場所で見たから良いものだという刷り込み、洗脳がなされているのです。
無意識化なのでそれに誰も気づきません。
もし、そのような人が多かったらファン・ゴッホの絵が、生前、ちゃんとした展示会で1枚しか売れなかった、なんていうことはないのです。
これが骨董品屋でファン・ゴッホの絵と知らず見たら感動して思わず買った、と言うのなら、それは本物の感性なのです。
私は、このことに気付かされ『名所江戸百景』を改めて見たら、今までの評価が激変しました。
美術館では贋作を飾っていても誰も気づきません。
ファン・ゴッホの絵の鑑定をできる人も、いないと言った方が良いくらいなのです。
つまり、絵を感性で見ているつもりでも、評価されている画家は権威がありますから、その権威で絵を見ている可能性が大なのです。
だからこそ、印象派以後の絵は勉強しなければ、真の感性は出てこないのです。
できれば下記の論文を読んでもらえれば幸いです。

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