ムード・ホール 『増殖 Ⅰ』 制作メモ
「物語ることなしに、いかに物語性を喚起させ続けられるか」を、これまでいろいろなアプローチで試みてきたカワイオカムラであるが、Zbignew Rybczynskiの『Tango』(1981)は、そのインスピレーションの一つの源となっている。『増殖 Ⅰ』の制作においても、この作品の影響は少なくない。「子供が室内に入ってしまったボールを取りに入ってくる。赤ん坊のお守をする女性、食事する中年男性、愛し合う若い男女、そして泥棒。同じ部屋の中で様々な人々による行為がそれぞれ無関係に繰り返