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昭和的感覚の随筆・エッセイ

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昭和生まれの氷河期世代が令和の今をなんとなくの感覚でつかみ取った、あるいはつかみ損ねた事柄をつらつらと書き綴ります。
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#子供

セブンイレブンの人質:氷河期世代昭和随想

セブンイレブンの人質:氷河期世代昭和随想

 子供の頃を振り返って見ると、令和の今、しっかりと確立されているものたちの草創期に立ち会っていたのだという貴重な体験に気付かされ、ひとり目を見開き、「あれは……」と、呟いてしまうことが時々ある。
 例えばセブンイレブン。
 
 今でこそセブンイレブンは、全国的なコンビニエンスストアチェーンとしてどこにでもあり、いつでも誰でも利用できるようになっている。

 けれど、私が子供の頃は違った。

 我が

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黄金の滝

黄金の滝

 はじめは子供たちがいたずらで、おもちゃか何かの粉を辺りに振りまいているのかと思った。
 
 公園に沿った道を歩いていた時のこと。突然私の体の横に、金色の粉が雪崩れるように降って来た。
 
 けれど、公園と歩道との間に生け垣のように並ぶ木立の向こうに、子供の姿どころか人の気配もなかった。
 
 足元に顔を向け、落ちて来た黄色のものをよく見てみると、それが米粒よりひと回りほど大きい金木犀の花弁だと気

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