163円
どうしてそうなっても、何も思わないのか楽しいのか。手数料分しか残っていないじゃないか。
この3桁になったのは、浪費したわけじゃない他のタイセツな経験のために投資をしたんだ!
という自分。いい聞かせる自分。そう思いたい自分。そうだよと言われたい自分。
そんなあれこれを考えながら、25日になればまた同じ金額が振り込まれる。その安心感は何者にもかえがたい。そしてその同じ金額のお金が、きちんと自動的に振り込まれるたび、わたしも自動的にきちんと働いていることを証明する。けっこうきちんと、自動的に。
それで、自動的にやってくる25日を迎えるまでの自動的な約30日間は、電車通勤が繋ぎ止めている。
ある小説では、電車がホームに停車しプシュッーと人々をはき出すと表現していたが、私は毎朝きちんと、はき出されている。みんなと一緒に置いていかれないように。
吐き出されたあとにはやっと息をして、あの改札とあの道を通ってあのビルに向かって歩き出している。
そうこうして、この全自動毎日を死守していく中、もう1週間かと実感する暇もなく、きょうを消費し続ける。
もちろん明日も、きょうを消費する。