メソッドエイト

レビュー提供: 春田 界渡くん


持ち歩くナカベタカユキ
ゼロから無限まで"最短距離"を走った
彼を感じて欲しい


ただのエイトは世界のエイトになり得る、と気づかされる一冊。

著者のナカベタカユキは、その"感性"という部分において間違いなく業界の最先端に立っている。
例えば、誰にも真似できないshow、見る人を一瞬で虜にするそのプレースタイル、彼の教えを受け活躍するメンバーたち。
どれを見ても彼のセンスが光るのが見て取れるが、驚くのはその才能を映像、作曲、舞台、と言った幅広い分野でも生かしているところだ。
そんな彼が書くこのメソッドエイト、センスだけではないところも魅力の一つ。
その一部をこっそり紹介したいと思う。


まず1つ目がこの本の内容はすべて彼の体験に基づいたというものだ。
誰かの受け売りではなく、彼が自ら考えて、感じて、学んで、実行して完成したものが解説されている。ある練習から次の練習への"プロセス"に歪みが一切なく、気が付いたらもうこんなに読んでいたと気づくことが多々ある。
彼がたった4年で世界レベルを超えたのも頷けるだろう。


2つ目に言葉がとにかく美しい。
スッと頭に直接話かけられているような感覚になる。
本来であれば難しい、頭で考えていることや感じていることを文字で表現する、ということをこの本では見事に言語化している。
その完成度の高さから、この本を読むというのは彼の考えを吸収するというよりは"彼の体験"をまた新たに体験する感覚に近いかもしれない。


この本で基本から上達することはもちろん、取り組む姿勢から大きく変わる。
一番最初に取り組む基礎練習のただのエイトが、世界レベルのエイトになり得ると気づかされる。
ドラムを通じて成長したい人、みっちり技術を磨きたい人、とにかくヒントが欲しい人、そんな人にこの本をおススメしたい。

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