「翔んで埼玉」が予想以上に良作だった件について
きっかけ
私は大の映画好きです。しかし、今日は強いてみたい映画が決まらなかったのです。観たい映画が決められずうだうだしていたときに奥さんに「翔んで埼玉」を勧められました。
埼玉県民になって約半年が経過したこの頃。都会と比べて住みやすいところ、不便だと思うところなど一通り感じられるようになってきました。ちょうどいい機会だし、埼玉県について知りたいと思い、緩い気分でみてみることに。
キャストをふと観てみると、二階堂ふみからGACKT、伊勢谷友介に麻生久美子。。。予想以上に豪華。笑
ただ、この時点では期待値は限りなくゼロでした。漫画が原作で、豪華キャスト陣を起用している映画で面白かった映画をあなたは一つでもご存知でしょうか。笑
「翔んで埼玉」のあらすじ
ちなみに「翔んで埼玉」のあらすじはこんな感じです。
映画.comのレビューは3.5とそこそこの評価。それを観ても私の期待値は完全にゼロでした。
金曜日の夜だし、まあひと笑いできれば良いかな、ぐらいの感覚でした。UNEXTだし、最悪面白くなかったら30分ほどでビデオで止めようとすら思っていました。
異変
異変は二つありました。
一つ目は、単純にギャグ線が高すぎたことです。
埼玉県のディスり方が酷すぎて、わたしは麻痺してしまいました。
「埼玉県産のサザエを作るために数十年ものあいだ春日部から茨城までトンネル掘っていた」とか、「埼玉県民のお腹の調子が悪くなった時は、その辺の草を食べれば治る」とか、「埼玉県に滞在するとサイタマリアが発症して高温にうなされる」とか。いや、冷静に酷すぎますよね!しかし、ディスられているのになぜか笑えてしまう不思議な感覚でした。まるで綾小路きみまろのライブを観ているかのようでした。
次に、GACKTと二階堂ふみの演技力が異様に高かったことが印象的でした。この2人の無駄に高い演技力がこの作品では明らかに重要なポイントでした。
埼玉県はひどくディスられるというのは確かに面白いですが、それだけだとずっと笑っていられないような気がします。
ガクトと二階堂ふみは下らない設定にもかかわらずものすごく真剣に演技しているところに、「あれ?もしかして真剣に観た方がいいシーン?」と緊張感を持って観るモードのスイッチが入ります。しかし観入るほどの中身のあるセリフや設定もなく、結局「なんでこの人たちこの役引き受けたの?」と疑問に思うことになるのです。きっと、視聴者はほぼみんな「GACKTなんでこの役引き受けたの?」と一度は考えたに違いないです。
この、「下らない」+「真剣」が予想外に観入ってしまう原因だったと思います。
映画の感想
まず、「ディスること」について考えさせられました。一口に下らないと表現してしまいましたが、もう少し掘り下げたいと思います。
これだけ時代から後退した未開の地として描かれ、しまいには県民意識・地元愛すらも薄いと否定されていながら、なぜクスッと笑ってしまうのでしょうか。埼玉県民ですら悪い気はしなかったはずです。
想像してみてください。都内のよく知らない若者が急に「埼玉県に行くには通行証が必要だろ」と言えば、角が立ちます。けれどこの作品中で二階堂ふみがディスる分にはひと笑いが起きました。
両者の違いは「話し手に愛があるか」でしょうか。この作品の描き手は、埼玉県をこよなく愛していると思います。埼玉県の悪いところを良い意味で知り尽くしているからこそ、ディスっても角が立たないのです。映画だけではなく、話し手に愛があれば日常の些細な説教でもなんでも悪い気はしないのです。
B級っぽさ全開でありながら、色々と考えさせられる作品でした。まだ観ていない人、おもしろさは保証します!ぜひ動画配信サービスで観てみてください。
ではでは。