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【コラム】専門家とは失敗の達人のこと

専門家とは「非常に狭い範囲で、生じうる間違いのすべてを経験した人」

これは、体操の加藤澤男先生がおっしゃっていたことと、すごく重なります。「大会前にすべての失敗をしておけば、成功のしかたがわかる」。

自分を振り返ると、中学生後半からいわゆるコーチはいなかったので、すべてが「実験くん」でした。いろいろ調べて実践で試す。そうすると失敗しても、それを補って余りある発見があるので、楽しくてしかたがなかった。「おー、そうきましたか」って感じで。

大学に入ると、いろんな先生の講義を通してあらゆるネタが入ってくるので、「実験くん」の範囲も拡がりました。そして、最後は4年間の大実験。オリンピック本番の個人種目は、スタートして2, 3歩で、エッジング(他のスケーターとブレードがぶつかること)だか砂を踏んだか定かではないですが、ブレードが横滑りして終了。大失敗に終わりましたが、このときも「おー、最後がこれかー」って、レース中にちょっと笑えてきたことを覚えています。

大事なのは、いろんな失敗ができる状況を設定し、それを許容できる環境を整え、しっかりリフレクションをすること。

私も、たぶん「ショートトラックの専門家」と呼べるくらいは、多くの間違いを経験してきました。意図的ではなく結果的に、よい学びができていたわけです。ほめてくれる人はいなかったけど。😆

スポーツ科学は、成功へのパスウェイをたどる上で失敗を減らすことに貢献していると思いますが、そのためにより良い失敗をするための研究も、今以上に必要だと思います。

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