(9)共通テスト漢文の問題文を白文を読む練習に使ってみようのコーナー
厳密には
(6)共通テスト漢文の問題文を白文を読む練習に使ってみようのコーナー|カワイ韓愈 / 카와이 한유|note
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近取諸喻其猶線與矢也線因針而入矢待弦而發雖有線矢苟無針弦求自致焉不可得也
必要な目印は太字にします
近取諸喻其猶線與矢也線因針而入矢待弦而發雖有線矢苟無針弦求自致焉不可得也
近取諸喻 近く諸(これ)を喩へに取れば
其猶線與矢也 其れ猶ほ線(いと)と矢とのごときなり
「猶」は高校あたりだと再読文字として習いますけど、再読しない「猶」の方が圧倒的に多いです。例えば、
子曰、何事於仁、必也聖乎、尭舜其猶病諸(尭舜も其れ猶ほ諸れを病む)
のように再読しない例を頻繁にこれからみかけることになります。見分けは簡単です、「~のようだ」という解釈ができないなら再読してはいかんです。與は「与」です。A与B(AとBと、読みます)
これまで気付いたかたも多いと思いますが、漢文の中には「其れ!」「夫れ!」みたいないいはじめの気合みたいな感じがはいることがあります。特に気にしなくていいです。最初のうちは「ああ、叫んどるんだなあ」程度でいいです。
ここは大学入試テスト漢文でも読みに注釈がはいったところ。線は「糸」の意味なんですが、針とセットできてるし、次の矢も弦(きっと弓のでしょう)とセットなんだから、そんなもんだと思って読み進めます。
線因針而入 線は針に因りて入り
而は置き字なんですが、而の前で文を切っても構わんのです、つまり、
「線は針に因り、而して入り」と読んでもいいんですけど、あんまりそんな風には読まないです、このしての部分を上の漢字にくっつけて読んだのが「線は針に因りて入り」です。而は置き字で読まない、などといろんな本に書いてあるんですけど、前の漢字の送り仮名として読んでるので読んでないようにみえるだけです。実際は読んでます。これは次の
矢待弦而發 矢は弦を待ちて發す
も同じです。
雖有線矢 線矢有りと雖も(以前にも出てきた逆接の目印「雖」
苟無針弦 苟くも針弦無ければ(苟 もし~ならば、くらいの目印でいいです。「AだったとしてもBだったら」ここまでが前提、その結果はどう読んでいいかすぐにはわからんでしょうけど、「糸と矢があっても、縫い針と弓がなかったら→(役に立たない機能を果たせない縫い物もできないし矢も飛ばせない)を文字にしたのが、
求自致焉 不可得也 自ら致すを求むるも 得べからざるなり
です。そんな意味になるように読みます。