(序)共通テスト漢文の問題文を白文を読む練習に使ってみようのコーナー
私らは毎日いろんなものを目にしながら耳にしながら読みながら暮らしているわけなんですけど、例えば「乗車の時には△△を必要とします」みたいなところも「車ニ乗ルノ時ニハ、必ズ△△ヲ要ス」のようにいろいろいじって遊んだりすることをやっておくと、漢文を読む足腰を自然に鍛えていることになります。つまり「乗車」は「車に乗る」だし、「必要」は「必ず要る(要す)」だし、ということで、私らがふだん使っている漢字熟語というのは、漢文の白文の一番ちいさいやーつ、と考えながら、バスに乗り電車に乗り広告を見、そんなのをみかけたりきいたりしたらそれはどういう仕組みの漢字熟語なんだろうかといつも考えて暇つぶしでもしていると、それまで気にもしてなかった漢字熟語が別の姿になってあらわれてきます。そんな小さめの漢文白文を読む練習は私らは子どものころから気にも留めずやってきたんですが、これからは意識してやってみるといいです。携帯端末ゲームで時間つぶしするぐらいなら、そっちの方が楽しいですよ、と思うのだけど、「いや、それはそんなに楽しくないかも」の方が大勢なのはわかってるので、ちょっと頭の片隅にでもそんな遊び方もあるんだな、みたいに残っていてくれればいいです。
四字熟語になるともうちょっと面白くなります。「牛飲馬食」は、「牛を飲んだり馬を食べたりする」のではなくて「牛のように飲み、馬のように食らう」という意味をもう誰で知ってる四字熟語ですが、「飲酒」が「酒を飲む」というのと「牛飲」とを比較すると、「飲」に対して、牛と酒の位置が異なっていることに気付きます。ああ、飲む対象物目的物の時は動詞「飲む」のうしろに酒がくるのか、のような、こんな単純なことを漢文では一生使い続けます。基本みたいなもんです。
「傍若無人」は「人前をはばからず、勝手に振る舞うさま。他人を無視して、勝手で無遠慮な言動をする様子」と辞書にあるようですが、これも、「傍(かたわ)らに人無きが若(ごと)し」(そばに人がいないかのようだ)という、本当に小さい漢文白文で、この中にはかなりの頻度で出てくる「無」「若」という、中国古典籍的にはいろんな意味や約束事のある文字も入っていたりして、たったこの四文字だけを説明するのにも前段階としてちょっとした知識が必要になります。そういうのをうまくまとめてあるのが高校時代に使用していた漢文副読本だったりします。本当のことをいうと、そこらで積まれている受験用漢文参考書なんてほぼ買う必要もないクズ本ばかりで、あの副読本と漢和辞典一冊あれば基本十分なんですが、ああいう「受験に弱みをもった人らを狙う商売」をほぼ受験産業の連中全てがやっておりますので、購入の際はお気を付けください。
話を戻しまして2023共通テスト漢文について昨日ツイートしましたが、その中の冒頭、
君者無不思求其賢
も、「求」「思」が動詞だろう、「不」で打ち消してそれを「無」でまた否定してんだろう、「者」は句読点みたいなもんだと言っていたなそうすると、君主は賢臣を欲しいと思わないことは無い、っぽいな、二重に否定されてるんだから普通にいえば「君主は賢臣が超欲しいなあといつも思ってんだろうなあ」くらいの意味がわかればいいです。(前書きおわり 本論につづく