明日には忘れてしまうような、何でもない時間。とても好きです。
うちの店はとても良くてですね。本当に良い店だと思ってるんです。
「何が?」とか言われると、非常に言葉にするのは難しいんですけど。なんか子供たちと雑談して、本当にどうでもいい話をして、で、なんか明日に忘れてしまうみたいな、そんな話ばっかりをしてます。
それを平日ね、毎日、毎月やってます。
お店に来る子どもたちも、なんかいろんなことをしゃべってくれるんですね。
でも、その内容なんかもう誰も覚えていない。私も覚えてないし、子どもたちも覚えてない。
でもね、その時間を過ごしていると節目がやって来たりします。
例えば、高校3年生が来たりするんですけど、この時期だったらね、もう「学校行ってるけど、なんか授業とかほとんどないっすよ」みたいな話とかしてくれます。あるいは「卒業やな!進路どうすんの?」って聞いたら、教えてくれたりするんですね。
なんか、そういうの、いいですよね。これは、次の日に忘れるような感じじゃないんですよね。節目のできごと。
その高校生とかは、もちろんね、うちの店できてまだ3年とか4年しか経ってないんで、長期間通ってる子じゃないんですけど。それでもね、1年間、たこ焼きを渡し続けた子が、何か節目な話をしてくれると、嬉しいですよね。
今の中学生なんかは、もっともっと長い間見てて。小学校の時から見て、中学校3年間全部見たりとか。そういう子たちがいるんで。その子たちと「進路どうすんの?」みたいな話とかすると、なんかとてもこう、いいよなと感じます。
なんかね、節目だけ見ても、当たり前ですけど、別に面白くないじゃないですか。文化祭の出し物とかって、別にそんなにうまくないけど、感動したり「いいなあ」ってなるのってね、なんか、日々の、その子たちの物語を知ってるから、何かいいなって思うんですよ。
だから、節目っていうのはね。すごくいいんですけど、実際にね、「本当に大事だな」というか「なんかいいな」って感じるのは、節目じゃなくて、なんか日常の、忘れてしまうようなやりとりなんです。
考えてみたら、そんなやりとりをずっとしています。それもね、長く。なんならお店に毎日2時間とかいたりするので。別にね、めちゃ喋るわけじゃないですよ。そんなに。2時間ずっと喋るわけでもないし。同じ空間にいて違うことしてるんですけど。
なんかね、そういった時間を過ごしていく。みたいなことが、すごくすごく好きで。なんかその過ごした時間が見える。というか、なんか『見させてもらえる』のが、節目なんだよなと思います。
明日には忘れてしまうような、何でもない時間。
とても好きです。
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