見出し画像

駅徒歩30分のタワマンが、なぜバカ売れするのか?


タワーマンションと大型ショッピングモールはいまや街おこしの切り札だ。
人口増加によってもたらされる福音は多い。
だが光あるところには必ず影がある。
今日はタワーマンションの光と影をざっくりと言語化してみよう。

そして、これからタワーマンションがどんどん郊外化していく意外なメカニズムを本邦初公開しよう。



繁栄へのプラチナチケット

タワマンが出来ると最寄駅との間に人の流れが約束される。
1000人以上の超密集居住区が登場するから、そこから駅に向かって確実な人の動線が生まれるのだ。

  タワマン
人流↓↓人流
商業施設
 人流↑↑人流

  最寄駅

したがってタワマンと最寄駅の間には、絶対にサービス産業が成功できる「ホットスポット」が生まれる。
そこに飲食店であれ、アパレル店であれ、古本屋であれ、クリーニング屋であれ、占い師であれ、将棋道場はちょっとダメかもしれんが、まあまずもってビジネスが大コケすることはない。
だからタワマンが出来ると駅前に商業施設が必ず増加する。

商業施設が出来ると駅前は便利になり、使い勝手の良い駅として「住みたい駅ランキング」などで注目を集め、さらに人が集まってくる。
人が集まれば商業施設がさらに増加する。

タワマン→ 約束された駅前への人流 → 商業施設増加 →  人口増加 → 商業施設増加 → 人口増加 → 商業施設増加・・・

タワマン建立による駅前繁栄メカニズム

この好循環によってタワマンのできた町は発展していく。
これがタワマンによる街おこしのメカニズムなのだ。

ここまでがタワマンの光の部分。
光があれば必ず闇が生まれる。
次は闇について述べてみよう。



大きな闇

タワーマンションは20階以上のマンションを指す。
だからタワマンの北側と西側には広大な日陰ができてしまう。
そこに住んでいる人々はお天道様を奪われることになる。

     北😞
西😞 タワマン  東😀 

     ←太陽🤔

これは東から上った太陽が西に沈むという天体運動のメカニズムからしてどうしようもない事象だ。
文字通り大きな闇がタワマンによって生まれてしまうのだ。



99%の繁栄と1%の生贄

タワーマンションが建立されれば街の繁栄は九分九厘約束される。
商業施設が充実し利便性が向上した街で暮らすことが約束される。

だが、必ず問題となるのは「誰が闇を引き受けるか」だ。

              北😀  

     北😞
西😞 
    タワマン
   人流↓↓人流
  ✨✨商業施設✨✨
   人流↑↑人流
     最寄駅

タワマンの光と影 概念図


誰だって自分だけが日陰で暮らしたくはない。
街の繁栄の生贄になるのは嫌だ。
99%の繁栄のために自分たちだけが不遇をかこってはたまらない。

確かにタワマンがもたらす日陰面積は広大だが、街の全体面積に比べれば誤差の範囲だ。
しかし「自分だけは日陰になりたくない」の心理がはたらき、タワマン誘致を容易には行えない。
もし仮に積極的にタワマンを誘致したらば、タワマンの日陰になった時に文句を言えないからだ。
したがって、タワマンの誘致時点において必ず反対運動が起こるのである。
これは平均的な想像力がはたらく人間ならば当然の行為だろう。




貧乏くじの行方


乱暴なことを一行だけ書くことを許してもらいたい。

タワマンの誘致が決まれば後はなんとかなるものだ。

だが誘致以前に「自分の家が日陰になるのだけは絶対に嫌」の心理が発動し、タワマン誘致に「NO」を言わせる。
だからタワーマンションの建立は容易ではないのだ。

タワマンを施工させればその先20年の発展は約束されるのだが、
1%の生贄確率が怖くてそれを「良し」とは言いずらい



タワマン郊外化の謎

だがこうして思索してみると、
タワーマンションに反対するのは案外駅チカの人々なのではないだろうか?
なぜならば、タワマンが建設されるのは駅チカだと相場が決まっている。
したがって、タワマンの影も駅チカに生じる。
だから駅チカの人々がタワマンの闇におびえるはずだからだ。


もしかしたら、
最近タワマンが駅から離れた場所にできるようになったのは、こうした心理のなせるわざなのかもしれない。

駅から少しだけ郊外の人々はタワマンは駅チカにできるものだとタカを括っている。
だから、タワマン誘致に胸を張って「YES」という。
自分の近所にタワマンが立たないと踏んでいるのだ。
だが駅チカでは上述したメカニズムによって反対運動が強く、立てることが出来ない。
結果、もはや駅チカとはいえぬ徒歩10分にタワーマンションがやってきた。
そして「YES」といった手前、タワーマンションが自分の家に影を作っても文句は言えない・・・
こうした応用メカニズムによって辺鄙な場所にタワーマンションが建立されているのではないだろうか。

今まさに、
タワマン郊外化の理由が氷解したのかもしれない・・・



タワマンにバスで帰るXデイ


もしこの理屈が正しいとすれば、
どんどんどんどんタワマンが郊外化していくことになる。
現状では駅徒歩10分がタワーマンションの限界立地とされている。
だが、振り返ってみれば10年前においてタワマンは駅徒歩5分が限界立地だった。
やはりタワマンは年々歳々郊外化しているのだ。

これから10年でさらにタワーマンションは郊外化していく。
それは駅チカに有力なタワマン立地が消滅したという制約もあるだろう。
だが、おそらくは「自分の家のそばだけにはタワマンが立って欲しくない」の心理もタワマンを駅チカから遠ざけているはずだ。

どんどん郊外化していくタワーマンション。
果たして郊外化していくタワーマンションに街おこし・駅おこしの効果はあるのだろうか?

  タワマン
人流?↓↓人流?

  徒歩15分
  商業施設🤔

人流?↑↑人流?
  最寄駅

駅徒歩15分のタワーマンションに確実な人流動線をつくりだす効果があるのだろうか?


次回以降、考察してみたい。






ここから先は

0字

¥ 2,200

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?