逆襲のマクド/サンキューセットから500円マック
ファーストフードの雄・マクドが好調だ。
廉売路線から一転、値上げに踏み切ったマクドだが、売上げに陰りは見られない。
「100円マック」も今は昔、、という記事がYahoo!に上がっているが、あまりに若い、認めたくないほどに若すぎる。
それでは団塊ジュニア世代の琴線にはまだまだ届かない。
「サンキューセットはなぜ死んだのか!?」、、、
これぐらいで掴みにいかなければ団塊ジュニア世代は「続きを読む」をクリックしてくれないのだ。
サンキューセットはなぜ死んだのか!?
86年ごろにマクドが満を持して投入した「サンキューセット」は衝撃的だった。
わずか390円でチーズバーガー級、ポテト、ドリンクMサイズのワンセットを堪能できる。
ジャンプでジョジョの奇妙な冒険を読みながら、ときに男塾にツッコミを入れながら優雅にポテトをつまむ。
これが昭和末期における小学生のライフスタイル。
小学生でも頑張れば食えちゃう390円セットは瞬く間に人気商品となった。
巻末&泡沫漫画だったジョジョ
ジョジョの奇妙な冒険は低空飛行を続けていた。
常にジャンプの巻末ギリギリで打ち切りの危機に瀕した「泡沫漫画」だったのだ。
あの独特の絵面は理解しづらく、込み入った荒木世界観はおよそ少年ジャンプに相応しくなく、生き残ったのが不思議なほどだ。
波紋パワー、ツェッペリ男爵…などなど初期設定はもはや忘却の彼方に近接したものが多く、そうしたジョジョレガシーの記憶と強く結びついたものがサンキューセットなのだ。
だから、我々段階Jr.世代の魂を呼び起こしたくば「100円マック」などと念仏を唱えている場合ではない。
若いライター諸氏には、サンキューセットでジョジョレガシーもろとも我々を過去から引っ張りこむ剛筆が欲しいところだ。
100円マックと「八木の幻のHR」
「100円マック」は1993年にマクドが投入したサンキューセットの改変版が元ネタ。
私の記憶が確かならば、100円でハンバーガーを買えたことから100円マックと命名されたはず
高校の吉田先生が「100円マック最高だ!!」と言って毎日毎日毎日かぶりついていた記憶が蘇る。
「カッカスコッチはバクロウマン、テッコニどうもゲルマン斡旋ブローカー」
吉田の英ちゃんに教えてもらった元素配列語呂合わせも、マクド繋がりで鮮明に蘇るから不思議なものだ。
合唱コンクールで、自作の歌を入念な根回しによって毎回毎回毎回刷り込んでくれた吉田(英)先生は忘れられない存在である。
デフレ不況 意外なマクドの受難 99%が知らないデフレに弱い経営体質
1997年から始まった日本のデフレ不況は、意外にもマクドにとって受難の時だった。
マクドといえば廉売の雄というイメージがあるが、デフレ不況がマクドの受難とは一体ゼンタイどういう事だろうか?
説明しよう。
デフレは一面において物価並びに価格下落として捉えられる。
だが、もう一つの重要な顔がある。
デフレのもう一つの顔とは「需要の激減」だ。
要はデフレ不況によって、消費者の購入意図ないし購入機会が激減したのだ。
マクドは典型的な「数を捌いて利鞘を確保する」ビジネスモデルである。
ところがデフレによって消費者の購入機会が激減した。
結果、マクドナルドは生命線たる販売数量が減少し、利益がみるみるうちに痩せ細っていったのだ。
このような理路により、デフレ不況下においてマクドは人知れず危機を迎えていた。
デフレとマクドの相性は良くなかったのだ。
逆襲のマクド シン宇宙世紀 救世主伝説
それから紆余曲折を経て、ついにマクドナルドが逆襲に転じた。
「最近のマックは値上げに値上げを重ね、廉売ファーストフードの雄としてのアイデンティティを喪失してしまった」という声も聞こえるが「一見は真ならず」だ。
さにあらずである。
知る人ぞ知る「500円マック」である。
メニューの傍にこっそりと咲く「庶民のマック」である。
ハンバーガーに類するもの、ポテトM、ドリンク合わせて540円(税込)。
これこそが間違いなく390円セットのDNAを継承する「秘蔵っ子」にして救世主だ。
度重なる値上げにも関わらずマクドナルドの業績は好調だ。
この好調の影には、庶民メニューを忘れたようで忘れないマクドナルドの老獪さがある。
お宝探しという観点から見れば、メニュー表の傍でこぼれそうな500円マックの発見は激しくアドレナリンを排出させる。
体験消費や逆インスタ映えという観点に立てば、500円マックは格好の標的だ。
このようにデフレを脱したと言われる日本経済において、マクドナルドは本来のポテンシャルを発揮しつつある。
マクドの逆襲は、まだはじまったばかりだ。
(未完…)