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タワマン/「華やかなる衰退」のランドマーク


タワーマンションは「繁栄の象徴」として捉えられがちです。
その一方で、
タワマンは「衰退の象徴」として捉えることも出来ます。

本日の記事では、1600文字時間にて、タワマンが衰退の象徴となるメカニズムを説明していきましょう。


大阪「本町」のケース/ビジネステナントの空洞化

このところ大阪の中枢を担う「本町界隈」でもタワーマンションが次々と施工されています。

  ←    4キロメートル → 
     中間点
大阪梅田← 本町 →大阪難波
    2キロ 2キロ

本町の立地

大阪には「大阪梅田」と「大阪難波」という二つの重心があり、二つの重心の距離は4キロメートル。
そのちょうど中間に本町は位置しており、古くからビジネス街として繁栄している賑やかな街です。

この本町界隈にタワーマンションが林立し始めた。

タワマンの林立。

ぱっと見では、繁栄が加速しているように思えます。
だが、これは「衰退への一里塚」とも捉えられるのです。

本町でタワマンが立つということは、大規模な立地土地が有休していたということ。
本町のタワマン立地に元々あったのは、ビジネステナントビルだ。
つまり、本町ではビジネステナントビルが余剰になってあまりが生じてしまった。
そこにタワーマンションを施工する余地が生まれたのです。



本町から梅田・難波へ

では、なぜ本町においてビジネステナントが余剰になって余りが生じたのでしょうか?
この問いに答える鍵が大阪梅田の再開発にあります。

  ←    4キロメートル → 
     中間点
大阪梅田← 本町 →大阪難波
テナント移転テナント移転

いわゆる「うめきた再開発」によって、
大阪梅田に商業施設ならびにビジネスビルを集中させて合理化を図ろうという動きがここ10年で加速しています。
大都市の中のさらに中心へとモノ、カネ、ヒトを密集させてビジネスの合理化を図る動きです。
この潮流の中で「郊外の過疎化」といった問題が生じているのは耳目に馴染んだところでしょう。
だが過疎化が生じているのは郊外だけではなかった。
大阪のど真ん中にある「本町」でも、「静かなる過疎化」は生じていたのです。

再開発著しい大阪梅田に新たなビジネステナントビルが作られたことで、供給余剰となってテナント価格が抑えられました。
この大阪梅田のテナント方向に向けて、本町から企業の大移動が起こっているのです。
すると本町では商業テナントに空白が増加していき、やがて商業ビル全体が空きとなった。
結果、本町の駅近にも大きな空白地帯が生じて、タワーマンションを立てることが可能になった。
これが現下において大阪の本町で起こっているタワマン林立のメカニズムです。



中心から最中心への密集〜小さな繁栄のための大きな衰退〜

大阪の本町だって文句のつけようのない大都会です。
凄まじい人口密度を誇る立地土地です。
この本町の人口密度があっても、ビジネス競争・企業競争をする上で不利となる時代に入っている。
大阪の本町ですら商業を営む上で、失格の烙印を押されかけている。

ここ20年、
郊外・周辺から都市・中心へのカネ、モノ、ヒトの移動によって合理性を高めて、日本経済は何とかマイナス成長を免れてきました。
だが、それでもマイナス成長を免れなくなった現在、
中心から「最中心」へとカネ、モノ、ヒトをさらに密集させることで、日本経済は何とか命脈を保とうとしています。

大都市・最中心への集中による「小さな繁栄」。

だがしかし、それは中心と郊外の「大きな衰退」の代償になされているものなのです。



タワーマンション/衰退の記念碑

タワーマンションは「繁栄の象徴」として捉えられがちです。
その一方で、
タワマンは「衰退の象徴」として捉えることも出来ます。


商業立地だったはずの駅近に大きな住居が目立っている。
これは商業の衰退を意味する事象なのです。

タワーマンションは衰退の記念碑ランドマークと捉えることができるのです。

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