6時44分の大阪モノレール先頭車両が男ばっかの謎
朝の大阪モノレール先頭車両は男のロマンだ。
視界が180度以上に拓け、地平に朝陽が瞬くのを拝みつつ最新テクノロジーの粋を味わえる。
朝の大阪モノレール先頭車両は男のロマンなのだ。
それはわかっている。
だが、そうは云っても「全員が男」というのはこのご時世にあって有り得ない。
有り得ない光景がいま目の前で繰り広げられている。
南茨木駅6時44分発、門真市駅6時56分着予定、大阪モノレール先頭車両にはものの見事に男しかいない。
なぜなのだろうか?
門真市に降り立つまでの12分間でこの謎を氷解させて見せよう。
男性専用車両説
まず最初に疑うべくは、男性専用車両が導入されたという線。
筆者は時事にとにかく疎い。
新型コロナだって最初の1ヶ月は気づかなかったほどだ。
男女同権の見地から、筆者が気付かぬうちに男性専用車両が導入されていたとしても可笑しくはない。
女性専用車両があるのだから男性専用車両を作れ、、というマイノリティの声は時勢にかなう。
だがしかし、「先頭車両」を男性専用車両にするとそれは男性優遇に繋がるから、先頭車両は男性専用車両にしがたい。
5両目ぐらいの中間車両で無難にお茶を濁すのが日本人だ。
よって、男性専用車両の線は消すべきだろう。
門真市=第二次産業の街説
次に疑うべくは、行き先が工場の町であるという線。
肉体労働者だけを運ぶのであれば、車両が男ばかりになるのも頷ける。
この大阪モノレールの終点は門真市駅。
果たして門真市駅は工場の街なのだろうか?
いや、それは違う。
筆者が向かっているのは門真市駅近辺の「ららぽーと門真」だ。
正確には「ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真」だ。
略して「らら門」は工場ではなく、バリバリの第三次サービス産業施設である。
広大な敷地に綺羅星の如き店舗が軒を連ねている、、、という噂を聞き付けて筆者ははるばるやってきたのだ。
門真市駅のお隣の「大日駅」だって、「イオンモール大日」という大型ショッピングモールを誇示しており、この近隣はどちらかといえばサービス産業の街だと言える。
したがって、
門真市=第二次産業の街説も消える。
童心に戻った男の子たち説
それにしても、先頭車両の景観は素晴らしい。
モノレールなので視座が高く、ワンランク高い景観を堪能できる。
丁度いま車体が東南に向いたので、出来立ての朝陽が筆者をくすぐっている。
高層マンションに朝陽の瞬きが乱反射して、近未来を魅せる。
童心に戻って先頭車両の先頭プレミアムシートに砂被りになっている大人は………
筆者だけだった……
筆者を先頭に、
童心に戻った男たちがこぞって先頭車両に押し寄せたと仮定したのだが、それはどうやら勘違いだったようだ。
なぜ、みんなは可能性の芸術を見ないのだろうか?
不思議でたまらない。
名店巡礼者説
大阪府門真市には「ウドンの名店」がある。
開店前から行列が必ず出来る名店だ。
わけても「カレーうどん」が名物で、それを求めてはるばる遠方より駆けつける「猛者」もいると聴く。
何を隠そう筆者がその一人だ。
「カレーうどん」を食べるために「5時」に起きたのだ。
だが、起床から6時間後に恐ろしい結末が待っていた。
ここでは特別に、
時計のハリを7時から11時までグルグルと4時間進めてしまおう。
「スタッフがインフル感染しました。」
の文字列が「猛発熱」している。
ガムテープがフラフラと彷徨っている様子がいかにもつらそうだ。
だが、こればかりは仕方がない。
一昔前であれば、猛熱に耐えて頑張るところなのだろうが、
新型コロナによって価値観が確実にうつろっている。
「カレーうどん」名店巡りのために男が押し寄せている説は完全には否定できない。
だが、女の子だって行くはずだ。
そもそも、日本の朝はカレーうどんバカばっかじゃないはずだ。
探偵と謎はマクドでコンビを喰う
しらみつぶしに可能性へと挑戦してきたが一筋縄ではいかない。
そうこうしているうちに、
「「終点、、門真市駅。終点、、、、門真市駅。。」」のアナウンスだ。
門真市駅は栄えている駅であり、昨年「ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真」が竣工してますます繁栄の輪が広がっている。
大阪モノレール南茨木駅−門真市駅間の12分。
謎は氷解しなかった。
だが大丈夫。
筆者にはとっておきの「カレーうどんランチ」が待っているのだから。
さあ、駅前マクドのソーセージエッグマフィンコンビと前祝いだ。
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