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個人情報商品と貧困化のおぞましい蜜月/R65

1995年にインターネットが普及したことに端を発し、個人情報がどんどん商品化されはじめた。

この個人情報商品化は21世紀の核をなす事象となっている。
あらゆる事柄が個人情報商品化と結びつき様相をおおきく変えているのだ。

今回は個人情報商品化と21世紀に入ってますます喧伝されている貧困化の強い関係性について語ってみよう。

結論から書くと、
「…貧困化→個人情報の商品化→貧困化→個人情報の商品化→貧困化…」
という無限ループが現代世界では熟成されている。


「何を知らないのか?」 個人情報の王様が…

1997年から日本ではデフレ不況が始まった。
IT化・機械化が進行し、労働者の雇用が減少したことが一因である。
労働者が労働力を売って日銭を稼ぐのが難しくなり始めたのだ。

雇用からあふれたり所得が減少した人々は禁断の果実に手を伸ばした。

手を伸ばした先に、
個人情報商品の売却があった。

禁断の果実といっても大したことはない。
ただ単に、空き時間を利用して新進気鋭のインターネットに繋いでみたのだ。

インターネットには揺籃期から検索エンジンがあり、物珍しさも手伝って多くの人が検索エンジンでモノコトを調べていた。

この検索エンジンが個人情報商品化の一里塚にして、真打ちスキームである。

最近の若い読者諸賢は調べるのが早い。
ワタシが説明する前に、検索エンジンで「個人情報商品とは?」と検索をかけている聡明叡智も多いことだろう。

        →
     何を知らないのか?   
   「個人情報商品化とは?」
読者             検索エンジン
              (feat IT企業)
   言葉の意味教示サービス
        ←0円
   本来は有料だが、
  個人情報商品化分が割り引かれて0円に

検索エンジンで個人情報商品が売却され、サービスが0円に割り引かれるメカニズム


その時だ!

まさにその時、聡明叡智な読者の「何を知らないのか?」という個人情報が商品化されてIT企業に売却されているのだ。

個人情報商品化という概念を知らないんだ、という読者の個人情報がIT企業に売却された瞬間である。

その人物が何を知らないのかというのは、極めて重要な情報であり、それを足し算していくことで、ある人物像が完成に近づいていくといっても過言ではない。
その人物が何を知っているのかを知るのは難しいが、何を知らないのかは検索エンジンによって把握可能だ。

この何を知らないのかを周到に足し算していけば、最終的にその人物が何を知っているのかにたどりつけるではないか🥴
だから、検索エンジンで売却される「何を知らないのか?」という個人情報は非常に重要なのだ。

このように、
いま検索エンジンを例に挙げたが、
インターネットによって読者の様々な個人情報が商品化されて売却されている。

        →
     何を知らないのか?   
   「個人情報商品化とは?」
読者             検索エンジン
              (feat IT企業)
   言葉の意味教示サービス
        ←0円
   本来は有料だが、
  個人情報商品化分が割り引かれて0円に


ところで、売却された個人情報商品はどうなったのであろうか?


まず、個人情報商品の売却代金は割引きに利用された。
本来的に、ことばの意味を知るためのサービスは辞書などがあって有料である。
だが、検索エンジンでは読者が個人情報商品を売却した代金分だけ安くなっている。
先ほど述べたように「何を知らないのか?」という個人情報はとてもとても重要な商品であり、その価値は無尽蔵といってもいい。
だから割引き代金もプライスレス。
つまり割引後の料金はつねに0円以下となり、四捨五入して0円となる。

次に、個人情報商品本体はIT企業に納められた。
そこからIT企業は収集した個人情報商品を利用しAIを開発進化させていくのが専らである。

うして、我々は検索エンジンなどのネットアプリによって個人情報を売却し割引き価格でサービスを利用できているのだ。
他方、IT企業は検索エンジンを介して収集した個人情報商品を利用してAI開発を進展させていく。



貧乏人は個人情報を売れ!


1997年から日本ではデフレ不況が始まった。
IT化・機械化が進行し、労働者の雇用が減少したことが一因である。
労働者が労働力を売って日銭を稼ぐのが難しくなり始めたのだ。

雇用からあふれたり所得が減少した人々は禁断の果実に手を伸ばした。

手を伸ばした先に、
個人情報商品の売却があった。

先ほど述べた検索エンジンなどを利用し、人々はこれまでより遥かに安くサービスを利用できるようになったのだ。

有料の辞書は、個人情報を検索エンジンに売却することで無料のサービスに変わった。
高嶺の花だったリアル店舗でのブランド服は、個人情報をネットアプリに売却することで手の届くサービスに変わった。

このように人々は知らず知らずのうちに、個人情報を商品化売却することで、1997年以降のデフレ不況を耐える術をいつのまにか使っていたのだ。

1995年 インターネット普及開始
      個人情報商品の売却解禁
1997年 デフレ不況開始
      検索エンジンなどで個人情報を売却し、労働所得の減少分を情報所得で補填するライフスタイルが浸透していく

1995年IT普及と、1997年デフレ不況開始周辺の見取り図


日本の労働者がIT化によって貧困化したタイミングで、いみじくもITによって個人情報が商品化売却できるようになり、人々は貧困化した分の所得を情報所得で補填し始めたわけである。




貧困化とAI開発の無限スパイラル

では、個人情報商品を収集するIT企業サイドはどうなっているのであろうか。
「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」…といった個人情報商品が大量に集まれば、人々の行動パターンを把握できていく。
行動パターンは人工知能の源泉であるため、個人情報商品の収集はAI開発の原油となる。

つまり、個人情報商品をIT企業が収集すればするほどAIは高度化していくのだ。

だから、労働者が貧困化して個人情報商品の売却を深化させれば、それだけAIが高度化する。AIが高度化すると、労働者の雇用と所得が減少する。
労働者の雇用と所得が減少すれば、貧しくなった労働者が個人情報の売却を深化させる………

1995年IT革命 → 労働者の貧困化 →  個人情報商品の売却開始 → IT企業が個人情報を収集しAIを高度化 → 労働者の貧困化 → 個人情報商品の売却深化 →IT企業が個人情報を収集しAIを高度化 →労働者の貧困化 → ・・・・・・

貧困化とAI高度化の無限スパイラル

かくして、
1995年のIT革命を端緒として、
「労働者貧困化」と「AI高度化」の無限スパイラルが熟成されていった。

この無限スパイラルの黒幕が個人情報商品なのである。




貧困化の先にあるベーシックインカム


ここまでで本日の主題である、
「…貧困化→個人情報の商品化→貧困化→個人情報の商品化→貧困化…」
という無限ループを聡明叡智な読者であるからして理解されたのではないだろうか。


当然、聡明叡智なだけに、その先が気になるはずだ。

ズバリ、
貧困化の先に待っているのはベーシックインカムである。

「個人情報商品収集の最終段階」と「AI開発の最終段階」はベーシックインカムで合流する。

そして、昨今、個人情報商品をめぐって国家とIT企業の対立構図が現れてきた。

個人情報商品という補助線を引くことで、社会問題の解像度が確実に上がるはずだ。

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