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賢者のデフレ講座/個人情報商品化と情報デフレ

日本ではデフレが続いていた。
「続いていた」と過去形にしたが、実際には「続いていく」と書いた方が良いかもしれない。

それだけ1990年代末からの我が国におけるデフレは深刻で、かつ構造的なものなのだ。

今日は90年代からのデフレを「個人情報商品化」という観点から抉ってみよう。

デフレの原因さん、いらっしゃい


①中国からの安価な製品流入
②底辺への競争
③人口減少
④公共事業をけちりすぎたため
⑤アメリカの陰謀
⑥日本財布化作戦
⑦財務省主導の緊縮財政

思いつく限りザッとあげてもこれくらいは書ける。
デフレの原因は多岐に渡り、一つだけが原因ではない。
まあ③だけは違うと断言・処断したいが、ここでは長くなるのでやめておこう。

1989年末のバブル崩壊を契機にして、金融機関で不良債権が膨らみに膨らみ溜まり、金回りが悪くなって1997年のアジア通貨危機を号砲としてデフレに突入していった。

デフレを回避するチャンスは幾度もあったが、それは後知恵だと言われるから今日はやめておこう。
こうした先送りの姿勢、保留体質がデフレの原因だという説もあるが、それも立証が難しいので今日はやめておこう。

このように、
デフレの原因は多岐に渡るが、今日は「個人情報商品」の見地から説明を試みるのだった。


個人情報の商品化@1995年〜


1995年にWindows95の販売を契機にIT革命が起こった。
世界中がインターネットで結合され、情報の移動スピードが飛躍的に向上したのだ。
このIT革命によって人々は個人情報を商品化することが可能になった。

これは盲点になりがちだが、インターネットに接続するだけで個人情報が商品化されてIT企業に売却されている。

例えばスマホ。

本来スマホは非常に高額なスーパーコンピューターである。
だが我々はすこぶるリーズナブルな価格にて所有することができる。
これはスマホを所有することで「どこにいる?」という個人情報が商品化されて売却され、その分だけ料金が割引されているからに他ならない。

例えば検索エンジン。

本来、言葉の意味を調べることは有料のサービスだ。
だが検索エンジンにおいては言葉の意味調べサービスが表向き無料になっている。
これは検索エンジンを使用したときに「何を知らないか?」という個人情報が商品化されて売却され、その分だけ料金が割引きされ無料になっているからだ。

このように、
個人情報の商品化は「割引き」或いは「無料化」という形でなされることが専らなので、なかなか気づきにくいのだ。

だが1995年のIT革命以降は、
静かに、
だが確実に個人情報が商品化されて売却されている。



ネットでは個人情報商品分だけ安くなる…

スマホの例であれば、
「どこにいる」という個人情報商品分だけ割り引かれた。

検索エンジンの例であれば、
「何を知らないのか?」という個人情報商品分だけ割り引かれている。

だから、ネットではいわゆるリアルよりも安く買い物ができる。
ネット通販が安くなる仕組みは、スバリ、個人情報商品化なのである。

確かにネット通販の安さは人件費が安く上がることも一因だが、
それ以外にこの「個人情報商品化」という原因も静かにだが確実に存在しているのだ。



デフレ不況 個人情報商品化 真犯人説

インターネットの汎用化が1995年。
デフレ不況が日本で始まったのは1997年。
このデフレ不況は四半世紀にわたり進行し継続することになる。



インターネットの汎用化
    ↓個人情報の商品化開始
 デフレ不況始まる
    ↓
 インターネットの爛熟
    ↓個人情報の商品化進行
 デフレ深刻化



ということは
インターネットの普及によって個人情報が商品化され、
ネット上で静かにだが確実に割引き販売が進行しデフレ不況が深刻化されていった…

という仮説が俄然真実味を帯びる。
なんと仮説を打ち立てると同時に真実味を帯びた。

ここではおっとり刀で注釈を取り付けねばなるまい。

デフレとは継続的な物価下落である。
簡単にいえば、世の中のモノとサービスの価格平均がどんどんドンドンドンドン下がっていく現象だ。
このデフレという現象は1929年に始まる世界大恐慌にて世界各国で確認されている。
この大恐慌デフレにおいては「金本位制」という明確な原因があったが、1997年以降の日本のデフレは明確な原因を見出せないでいるのだ。

そこで「個人情報の商品化」である。

1995年 インターネット汎用化
 インターネットによって個人情報の商品化開始
     ↓
1997年 日本 デフレに突入
     ↓
 インターネット爛熟
     ↓
 インタネットによる個人情報商品化が進展
     ↓
 デフレ深刻化

デフレ不況 個人情報商品化主犯説 ポジショントーク図 


このように朴訥と書くと、なんだかインターネット普及にともなう個人情報の商品化がデフレの主因に思えてくるから不思議である。

だが実際問題において、個人情報商品化がデフレの主原因かどうかはわからない。

ただし、
個人情報の商品化が物価下落バイアスになることは間違いがない。
ここから一行と少し、大切なことを云う。

この世の中は建前と本音の間で動いている。

個人情報の商品化という概念は今のところ主流ではないが、いずれバレる、いずれ間違いなく主流になる。
その時に、
個人情報の商品化分だけの割引きが見当たらなかったらいけない。
だから本音と建前の狭間で割引きは行われてきたんだ。



賢者のための個人情報商品化

個人情報商品化という概念は非常に使い勝手が良い。

日経平均史上最高値更新、
突然降って湧いてきたベーシックインカム論、、
5Gになった途端のコロナ流行、、、
そして今回のデフレ不況といった具合に、森羅万象を説明せんとする勢いである。

「1995年のIT革命は世の中に何をもたらしたのか?」という議論は活況だ。
その議論に「個人情報商品化」という補助線を引けば、より議論が白熱すること請け合いである。

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