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派遣雇用/労働力の又貸し/労働力商品時代の終焉

我が国でも00年代に解禁された派遣雇用。
この派遣雇用の本質は労働力商品の又貸しである。
そして労働力商品のレンタルという現象は、
20世紀・労働力商品化時代の断末魔であり、まったく新しいものが主力商品になる前触れだった。

かくして、
00年代から労働力商品と肩を並べたのが「個人情報商品」だったのだ。

派遣雇用が労働力商品の又貸しである。

どういうことだろうか?

説明しよう😉

20世紀のライフスタイル/労働力の商品化売却

19世紀末から、
貨幣経済は勃興から爛熟へと移ろった。
この貨幣経済の中心となったのが「まず働いて、貨幣を得る」という「労働」だ。
労働とは人々が誰もが持っている「労働力商品」を売却して金に変える行為である。

労働力商品を売却することで日銭を得て、人々はさまざまなモノとコトを金で買い、生活する。
これが20世紀のライフスタイルとなった。



IT革命と労働力商品のダボつき深刻化

だが、1995年にインターネットが普及IT革命し始めると事態は一変する。
ITとAIによって労働者の雇用と所得がどんどんどんどん奪われていく。
仕事や雇用をAIに奪われ、労働者の仕事がどんどんどんどん少なくなっていったのだ。

結果、労働力商品が余りはじめる。

有り余っているものは安くなる。
余っているものを所有すると、売りたい時にうまく売れない。

だから、1995年のIT革命以降は労働力が有り余って、労働力商品を所有する行為がリスクとなったのだ。

ここで派遣雇用という新しい概念が登場した。



派遣雇用/労働力商品のレンタルという新基軸


従来、労働力というものは売買されるものと相場が決まっていた。

      →
    労働力商品
労働者       企業
    給料所得
      ←

20世紀は労働力売買の時代

労働者は働くことで労働力商品を企業に売却し、
その対価として所得を受け取る。

企業は労働力商品を買って、その対価として給料を支払う。

これが労働市場のプリンシパル😉である。

ところが、
IT化によって労働力が有り余ってきた1995年以降においては、
企業が労働力商品を所有することが大きなリスクとなり始めた。

ダボついている労働力商品は価値が低く、それを手放したい時に買取主体が現れにくいためである。

そこで、労働力を買い取る(正規雇用する)のではなく、労働力を借りるという新しいやり口が登場した。
これが派遣雇用の本質である。


労働力を貸し借りする時代

派遣企業が使いたい企業に労働力を又貸しする。
こうした派遣労働がどんどんどん増加していったのが00年代。

労働者→ 契約 ←派遣会社


労働力商品を又貸し
       →   
派遣会社         一般企業
       ←
レンタル代

派遣雇用の本質は労働力の又貸しである


労働力商品が売買ではなく、貸し借りされる時代に突入したのだ。

IT化が猛烈なスピードで進行し、労働力商品の価値が激減する中で、労働力を所有することには大きなリスクがある。
だから労働力商品を買い取って所有せず、レンタルして「使用するだけ」というやり方が流行り出したのだ。


個人情報商品化の時代 21世紀とその流儀

まずIT化によって労働者の雇用と労働所得は減少した。
さらに派遣雇用の流行によって、労働者の所得はより減少していく。

そんな中で、
貧しくなっていく労働者は新しい商品を売却するようになっていった。

それが個人情報商品だ。

1995年以降ネットに繋ぐだけで、人々はさまざまな個人情報を商品化して売却できるようになっている。

     →
    頭の中
人々        検索エンジン
    言葉の意味
     ←

検索エンジンによる個人情報の商品化売却

例えば、検索エンジン。
人々は「誰が」「どこにいて」「何を知らないのか?」といった個人情報を商品化してIT企業に売却している。
その売却代金分だけ安くなるから言葉の意味をおもて向きは無料で獲得することができているのだ。

これ以外にも、
ネット通販、スマホによる位置情報売却、など個人情報商品化の例は枚挙にいとまがない。



買って所有するから、借りて使う、そして消えてなくなる…商品の宿命



大切なものは所有する。
あまり大切でないものは借りる。

これは読者も身に覚えのある行動原理だろう。

同じように、労働力商品もそれが貴重だった20世紀にあっては企業に所有された。
20世紀、労働力商品所有の時代である。

しかし、IT化・AI化によって労働力商品の価値が暴落する21世紀に入ると、労働力はレンタルして使用するだけのものに落ちぶれていった。
21世紀初頭、労働力商品レンタルの時代である。

そして、
IT化・AI化によって、「労働力」に変わって大切になったのがAI開発に不可欠な「個人情報」だ。
そこで、IT企業は個人情報商品の収集に乗り出した。
いみじくも、
本当にいみじくも、
1995年からインターネットが普及して、貧困化した労働者がインターネットで個人情報を商品化して売却し始めた。

本当にいみじくも、
あたかも誰かがねらいすましたように、
労働者の貧困化と個人情報の商品化が同時並行で進行し、

IT企業は棚からぼたもちで個人情報商品を収集しているのだ。



派遣雇用時代/労働力商品から個人情報商品への端境期


少しばかし、本題から逸脱したような気もするので、本題に戻ろう。


派遣雇用という雇用形態は、
それまで「買い取って所有する」ものだった労働力商品を「借りて使い捨てる」ものに変遷させた。

大切なものは買い取って所有し、
大切なものはレンタルして使い捨てる。

もはや労働力商品はIT化・AI化に伴い「商品の王様」ではなくなったのだ。

結果、労働力商品を売却して日銭を得ていた労働者は路頭に迷いかけた。
1997年ごろの日本における実話である。

だが、丁度ドンピシャのタイミングでインターネットが普及して、
個人情報を商品化売却して、オンラインで安くモノコトを購入できるようになっていった。

IT革命による労働力商品の下火化が、
IT革命による個人情報商品化を促進したわけだ。




「購入して所有」から「レンタルして使用」という変遷シグナル


時代が大きく変遷する際には、必ずシグナルがある。

購入によって所有されていた労働力商品が、
派遣雇用によりレンタルして使用されるだけに落ちぶれた。

この推移は労働力商品時代の終焉シグナルである。

購入して所有するから、
レンタルして使用するへの推移。

これは時代変遷のシグナルである。

新しく主力商品となった個人情報は早くも「購入して所有する」から「レンタルして使用する」へと落ちぶれてはいないだろうか?

こうしたアナロジーを用いた観察眼が、時代の変遷を見抜く千里眼になるはずだ。

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