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思わず襟を立ててしまう名曲/Best3

有史以来、人々は様々な感慨を歌に宿らせてきた。
喜怒哀楽に始まり、ありとあらゆる情念が歌には込められている。
今日はその中でも、「襟を立てさせてやろう」、というニッチな情念が宿ったナンバーを紹介しよう。

この記事によって、
老若男女の襟がさらに立ち誇ることだろう。


3位 大都会 クリスタルキング


オールドファンにはたまらない一曲がいきなりのランクインだ。
夢を抱き、故郷を捨て、、たどり着いた花の都・大東京。
物質的には豊かだが、精神的には空っぽ、、と三島由紀夫が喝破した大都会。

豊かさと貧しさが相剋する街で、
辿り着きしものの葛藤がハイトーンボイスとディープボイスの対比からひしひしと伝わってくる。

果たして襟を立てるのは、どちらの寒さゆえなのだろうか。



2位 レジスタンス TM NETWORK


テクノ世代落涙必死の一曲が飛び込んできた。
TM NETWORKといえばGET WILDに脚光が当たりがちだが、このRESISTANCEだって負けてはいない。

GET WILDが「イントロ、サビ、ドカン!」の名曲だとすれば、
Resistanceは「イントロ、サビ前、ドッカン!!」の鬼曲だ!!

ボーカル前のインストルメントで勝負付けが終わるという異次元の攻防。


あの日君を見送ったのは♪
砂が風に飛び散るステーション♪


これは歌詞の掉尾だが、ここに至る楽器によるイントロメロディーがすでにこの歌詞を見事なまで表現している。
つまり、Resistanceにおいては、
楽器で表現したものを、歌詞で再現していくという斬新な構造が採られていたのだ。
(いましがた気づきました…)

ボーカルを伴奏にともないインストルメントがレールウェイを加速していく。

疾風に思わず襟を立てる。

聴くものが襟を立てたところで、ボーカルがすかさずそれを再現してくれる。


さすがは往年の小室マジック。
秀逸極まりない演出である。




1位 Departures  Ms.OOJA


映えある一位は「Departures」だ。

原曲はglobeの名作。
Ms.OOJAがカバーしたらば、名作が鬼作に大化けした。

これ鬼化為り。

Departueresは全編通じて強い風が吹きふさんでいる。
インストルメントが強い風を奏で、それにボーカルが抗うという構図。
前途多難な恋の行方、それに女性の強い想いが立ち向かう。

曲の中で、インストルメントとボーカルを相剋させるという新基軸だ。

先ほどのレジスタンスではインストルメントの表現をボーカルが再現するという斬新手法が採られていたが、ここに至るや曲の中で二つの流れが見事なまでに相剋されている。

これを歌いこなせるボーカルは当代広く見回してもまずもっていない、、

と想われたが、遅れてきた鬼才・Ms.OOJAが造作もなくそれをやってのけた。

departures…
出発、旅立ち…と訳されるが、
旅立ちにつきまとう強い逆風の中にあっても、OOJAの艶と気骨を併せ持つ稀有なボーカルは風を寄せ付けない。
さながら彼女が歩んできた、苦難のアーチスト生活を想起させる強い楽曲に仕上がっている。

departuresに吹きふさぶ2つの強風の中で、
心の襟を立てず聴くことは誰にもおぼつかない。






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