アングル/「つかしん」のヤバい好敵手達/02
カレー屋・アングルは阪急神戸線・塚口駅南に徒歩2分。
塚口駅は大阪梅田と神戸の中庸にある閑静な住宅街だと言われている…
閑静な住宅街の胃袋として、アングルは46年にわたり雨の日も風の日も軒を燻らせてきた。
1978年7月7日に駅前商業施設・「塚口さんさんタウン」が誕生してからの「宿将」だ。
今日は、
そんな阪急塚口駅の宿将にして、人気カレー店でもある「アングル」さんを視察してみた。
塚口を支えるヤバい三姉妹
塚口駅改札を出て南に歩くこと1分少々。
アングルはくたびれまくった、古色蒼然としたアンティーク調の軒先が印象的だ。
いかにも老舗といった雰囲気が、我々の準備中の胃袋から自然分泌をうながす。
隣にあるスパゲティ専門店・タントとは姉妹店であり、
隣々にあるピザ専門店・マーレとも姉妹店だ。
さしづめ、出来の悪い長兄・塚口さんさんタウンを陰に日向に支える三姉妹。
それがアングル、タント、マーレの人気三店舗だ。
車田式様式美
薄暗いダウンライトの演出が行き届いた店内はささくれだった心を和らげてくれる。
メニュー表もいたってシンプル。
リーズナブルな定番メニューから最高傑作まで一覧性があり好感が持てる。
「特選和牛カレー(説明不要!アングル最高傑作)」の表記にいつも心揺さぶられるが、その度に1600円という高い壁に跳ね返されてきた。
いつかは特選和牛カレーだ。
それ以外にも、
このアングルさんには並々ならぬ「ある」こだわりがある。
車田正美の最高傑作「男坂」最終巻を彷彿させるソウルフルな文言だ。
1000円で特選ビーフカレーを頑張って提供してきたが、昨今の価格高騰によりそれがかなわなくなった無念さがヒシヒシと伝わってくる。
1320円という端々数のある価格から、その迷いの深淵が伝わってくる。
特選ビーフカレーへの飽くなきこだわり。
美味いものを安く提供したいという矜持。
いつかは捲土重来を果たすという決意表明。
様々な想いがこのワンコーナーから伝わってくる。
矜持も特選
我々は迷いに迷ったすえに、「ビーフカレー」をオーダーした。
特選ではないが、
特選ではないからこそ、この店の真価が計れようというもの。
そんなエクスキューズをつけて30年、特選ビーフカレーにありつけずにいる。
いつかは特選ビーフカレーだ。
さて、
このビーフカレーは辛い。
カレーだから当然だという鋭利な言葉が帰ってくるだろうが、筆者はカレーが大っ嫌いなのだ。
じゃあなんで食ってんだよというトリプルクロスが予想されるが、noteやってるからにきまっとろうが。
乗りかかった体験消費である。
さて、
このビーフカレーは辛い。
アングルさんのカレーは辛い。
だが辛いもの嫌いな筆者でも、なぜか昔から食べることができたのだ。
その理由は、
美味さそのものにある。
このアングルさんのカレーはとにかく美味いのだ。
徹底的にディティールにこだわっている。
カレーを度外視して美味い。
ビーフの滋味と芳味を100%発揮できるようお膳立てが整っているのだ。
カレーというものは、その辛さで味を誤魔化すことがいくらでも出来る。
月並みな食い手であれば姑息系カレー屋に手のひらで踊らされる。
辛さは偉大だが、それと同時に卑劣にもなりうる。
それだけカレー屋というのは評価が難しいものなのだ。
この辛さを偉大なカタチで正々堂々と用いているのがアングルさんである。
だから、
だからこそ、
1978年の創業以来36年にわたり周辺住民に愛されてきたのだろう。そりゃあコロナもしょっぱなの初っ端で爆発するわ。
いつもアングルのカウンターは賑わいを忘れない。
11時30分。
営業開始から30分が経った。
気がつけばいつの間にか満席になっている。
そろそろお暇させてもらうとしよう
「つかしん」のヤバい好敵手達
日本最古の大型ショッピングモール「つかしん」は兵庫県尼崎市最北端に軒を構える。
1985年とあまりに早い船出だったため、ツカシンの39年は常に前途遼遠と共にあった。
誰が呼んだか、「奇跡のツカシン」。
誰が呼んだか、「ガラパゴスショッピングモール、つかしん」。
ツカシンが40年にわたって奇跡を演じられたのには理由がある。
それがヤバい好敵手たちの存在だ。
つかしんにはヤバい仲間たちがいる。
つかしんにはヤバい好敵手がいる。
つかしんには愉快な仲間達がいる。
だから「つかしん」は40年にわたり奇跡を演じ続けるのだ。