サービス業の臨界反転、叛逆!喫煙喫茶とブックオフ
カフェが禁煙化を進めた結果、喫茶店における喫煙サービスが復権している。
デジタル書籍化が激進した結果、ブックオフの持つ紙書籍の価値が高騰している。
このようにサービス業が新しく変遷を遂げようとする時、必ず古きものが復権してくる。
これをしてサービス業の臨界反転という。
未来発展と原点回帰は同時にやってくるのだ。
喫煙ビジネス、臨界点での反転
新しいビジネスはさらに新しいビジネスを産む。
2000年代にはいり急激に普及した「カフェビジネス」。
カフェは従来の喫茶店でくすぶっていた「タバコの煙が鬱陶しい」という不満を掬い上げた。
カフェは原則禁煙としてタバコを忌み嫌う人々のニーズを集めたのだ。
あっという間に日本国内におけるカフェの数は増加し、2010年には喫茶店の数を圧倒凌駕するに至った。
だが2020年代に入ると喫煙できる喫茶店が復権してくる。
なぜだろうか?
あまりに世の中で禁煙が進行しすぎ、迷える喫煙者が喫煙の桃源郷を求めるようになったのだ。
喫煙プラットフォームのニーズが生まれ、それに呼応して喫茶店が「喫煙」を掲げて反転攻勢をかけている。
マクロ経済学風味に換言すれば、
行きすぎタバコ狩りの結果、喫煙場所提供サービスの供給量が激減し喫煙ニーズを下回った。
その結果、喫煙場所提供サービスたる喫茶店が無手勝流で復活した訳である。
カフェという新しいビジネスが、喫茶店という温故知新のビジネスを生んだのだ。
紙書籍ビジネス、臨界点での反転
2000年代に入りもう1つ推進したものがある。
それはデジタル化だ。
デジタル化によって紙書籍はデジタル書籍へとシェアを奪われていった。
2010年代にIT企業の台頭によってデジタル書籍が普及し、紙媒体書籍は下火になっていく。
だが2020年代に入ると潮目が変わり紙媒体の価値が高騰している。
どういうことだろうか?
一気呵成にデジタル書籍化が進行しすぎ、紙書籍の数が激減。
相対的に紙書籍を求めるニーズが紙書籍の供給量を上回った。
しかも、紙媒体というものはデジタルサイバー空間での「書き換え「すり替え」が出来ない安全媒体である。
デジタルサイバー空間いわゆる「クラウド」に置いておくデジタル書籍はその安全性が極限にまで低い。
そのことに対する「気づき」も相まって紙書籍へのニーズも再び上昇している。
つまり紙媒体の供給が不足していく中で、需要がふたたび増加。
結果、紙書籍の価値が高騰しているのだ。
デジタル書籍という新しいビジネスが、紙書籍…という温故知新のビジネスを生んだのだ。
今、ブックオフのバックヤードは宝の山である。
対立物の相互浸透なき叛攻
本来、温故と知新は混ざり合って発展していく。
それがヘーゲルを紐解くまでもなく世の摂理だ。
だが、2000年代に入って生じた様々な現象はそうならない。
何故かといえば、温故と知新が混ざり合って発展するのは自然現象の場合に限るからだ。
官によって作られた禁煙ブームによってアメリカからカフェが上陸してきた。
官によって作られたデジタル化潮流によってアメリカから魑魅魍魎が上陸してきた。
だが、他国のために作られたものにはやはり無理がある。
いわゆる「市場」において激しい反攻に合うはずなのだ。
しかし禁煙ブームもデジタル化潮流もしょっぱなの00年代には何故か反攻に合わなかった。
何かがそれを押さえ込んでいたのだ。
国家権力だったり、なんだったりするのだろうが、筆者にはさっぱりよくわからない。
だがしかし、抑圧されたものは必ず激しく反発する。
これもこの世の摂理だ。
2020年代に入って表出してきた臨界反転は凄まじきものとなる。
それがデジタル化に対する反動・反攻で済んでいる間はまだいい。
しかし、どうやら今回の叛転・叛攻はデジタル化や禁煙ブームの奥の院にある何かをターゲットになされているように想ふ。
彼らはやりすぎた。