
【フランス訪問記2025】ルーション編シルヴァン・ソー(ペシゴ)訪問 ②(2025/2/24)#56
シルヴァンも調子が出てきて、タンクの横に何かキュヴェを見つけては飲ませてくれます。おそらく当初のティスティング予定にはなかったワインです。シュナン、モーザック、シャルドネの2018を。続け様に同じブレンドの2016を。これは1年間樽熟成、2年間タンクでの熟成です。旨みと複雑味があります。「マメ」が無くなるのを2年待ったと言っています。多少果実味は減少しましたが、その分旨みが増しました。

続いて2020年のシュナン、モーザック、シャルドネ。こちらは1年間樽熟成。出来上がったワインは中身は同じですが王冠とコルクがあります。これはコロナの影響で瓶やコルクが不足していたことを物語っています。味わいは微妙に異なっていて、王冠の方が開いている印象でした。
赤ワインはティエリー・グッドさんからの買いブドウです。カベルネソーヴィニョン、カリニャンの2020年赤。やはり白と同様、酸化的熟成が特徴的で旨みがあります。
2014カリニャンのロゼと赤。これがシルヴァンが所有する最後のカリニャンの畑のワインです。ロゼは甘い香りで酸化的なニュアンス。赤は熟成を経てエレガントなワインでスルスル飲めます。
2014年で最後のカリニャンというのは、2015年に補助金をもらうために、シルヴァンのお父さんが植え替えたそうです。どうやらシルヴァンとお父さんはブドウの栽培やワイン作りについて散々ぶつかってきたようです。シルヴァン・ソーはお爺さんの代から(と言っていたような)ブドウ栽培を行ってきた家系ですが、お父さんの代まではブドウ販売で生計を立てていたようです。シルヴァンの代になってワイン作りを始め、栽培方法も有機的なアプローチに変えたようです。その為お父さんとは意見の衝突が度々合ったようです。ただ、2015年に補助金の話があり、カリニャンを植え替える話になった時は、もうお父さんの仕事としても年齢的に最後のチャレンジになるだろうし、それはそのまま受け入れたんだ、という主旨の話をしてくれました。ですので、現在は黒ブドウは所有していないそうです。
2005年のシャルドネ、シュナン。2009まではシュナンが植っていた区画だが、今はシャルドネを植えているようです。樽熟成。複雑味があり多少残糖がありますが、ナチュラルエナジードリンクのような美味さ!

シルヴァン、次から次へとワインを開けてくれます。2005年の同じ区画シュナン。もっと甘い印象。シルヴァンが言うにはブドウが力強いので、本来は黒ブドウ向きの区画だそうです。
その後も赤ワインを何種類も飲ませてくれます。2020年からはウィヤージュ(補酒)無しで作っているものも多いそうです。ですので酸化熟成したワインが多くなります。ウィヤージュをやめた結果、嫌な感じがなくなったということです。
ここに全ては書ききれていませんが、何種類飲んだんだろうというくらいティスティングさせてくれました。最後は蒸留酒までティスティングさせてくれて、もうお腹いっぱいでした笑。蒸留酒で締まるかと思いきや、ラストは2019のカベルネソーヴィニョンのペティヤンで、本当におしまい。
改めて思い返してみると、古いワインめちゃ多くないですか?普通は熟成スペース(保管庫)の問題や経済的な事情などもあり、瓶詰めしたら早めに販売するケースがほとんどです。シルヴァンの醸造所も決して広いわけではないのですが、所狭しといろんなワインがありました。また瓶詰め前の状態で熟成させているタンクもそこそこありました。
このリリーススピードを見たり、醸造所の状況を考えると、本人に直接確認したわけではありませんが、ワインを「美味しくなってからリリース」させていることにこだわっていると感じました。販売を遅らせると言うことは、収入も遅れると言うことに直結します。口で言うのは簡単ですが、なかなかできることではないと思います。シルヴァンはそれを信念を持ってやっているように見受けられました。

シルヴァンが一枚目が気に入らなく取り直した一枚笑
またお父さんとの長年の確執があったこともかなり苦労されたんだろうな、と言う印象です。生産者を訪問してみるとワインを飲んでいるだけでは分からないことがたくさんあります。それぞれにそれぞれのストーリーがあり、ワインを作っているんだな、と感じました。
Merci ! シルヴァン!