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【フランス訪問記2025】ジュラ(アルボワ)ドメーヌ・ラ・グラッパ(2025/2/9)#40

ドメーヌ・ラ・グラッパ

道路から一段下に下がった、地上階のカーヴでの試飲です。去年に続いて2枚目の訪問ですが、前回は醸造所での試飲でしたのでこちらに来るのは初めてです。中はひんやりしています。私たちの他にもシャンパーニュ地方のレストランからソムリエが一人来ていました。

まずはピノのロゼからの試飲です。続いてトゥルソー、プールサール、ピノ、と赤ワインが続き、その後シャルドネ、サヴァニャンのブレンドのペール・ギと白ワインとなります。

ピノ [2023]
サバニャン(補酒あり) [2022]

前回初めてジュラを訪問した際も驚いたのですが、普段はどこのワイナリーでも、また例えばレストランでも基本的には白→赤の順番で試飲するのが基本的な流れです。しかしここジュラでは赤から試飲が始まります。何件か訪問してどこもそうだったので間違い無いでしょう。

個別のワインを説明、どんなところにある畑なのか、その年の気候や収穫の状況、醸造方法などを聞きながら次々にティスティングしていきます。全部で10種類くらいでしょうか。

これまでの説明を聞いていて一つ気になることがあったので質問してみます。基本的に赤ワインの醸造はステンレスタンクを使用。白ワインの醸造は樽を使用しているそうです。なぜそのような選択をしているのか聞いてみました。

まず一つには作業性が大きな理由でそうです。赤ワイン用のブドウを収穫してまず発酵が始まります。その後熟成という流れになるのですが、こちらのドメーヌではタンクが一箇所にまとまっているので、そのまま発酵から熟成タンクへの移動が作業効率が良いというのがあります。またステンレスタンクは衛生的な管理もしやすいというのもあります。

次に醸造家本人達の嗜好の問題。小さめのタルで作る赤ワインが好きでは無いそうです。つまり樽を効かせすぎた赤ワインを好まないということです。ただ大きめの樽(フードル)では今後購入して使ってみたい、との思いがあるそうです。今はフードルを所有していないので、できていないという経済的な理由もあるようです。

一方、白ワインは樽が味わいに良い影響を与え、バランスの調和が取れていると感じているようで、タルでの熟成によりワインを醸造しています。

ラ・グラッパの二人

二人ともまだ若い生産者ですが、ウェルカムな感じでいつもニコニコいい感じの人たちです。男性の方はジュラの出身で祖父の代からワインを作っているという家系です。醸造所を少しずつ整備したり、畑も少しずつ拡張したり、とコツコツとやるべきことを続けている印象です。ちなみに醸造所も熟成庫も小ざっぱりと整頓されていて几帳面な性格が伺えます。

また今回の写真の後ろに樽がたくさん並んでいるように見えますが、約30樽あるうちの26樽は2023年産のワインが入っているという事。残り4樽はというと、、、そうです、2024年のワインが入っています。4樽のみの収穫だったそうです・・・(絶句)。2024年のジュラは軒並み不作でどこの生産者を訪れても収穫減の話しか出ませんでした。中には150Lしか取れなかったという生産者もいました。つくづく過酷な職業だと思いました。

この二人もそうだったのですが、だからと言って極端に嘆くことも悲観しているわけでもなく、「ただ事実を受け入れているだけ」なのがとても印象に残りました。「2024年は4樽だけだよ。」とごく普通にさらりと言っているのです。毎日自然と向き合って、自然の思うままにしかならない状況と対峙している生産者には尊敬の念しかありません。

ワインにはネガティヴのかけらもなく、とてもクリーンな味わいです。ジュラの品種特性をしっかりと捉えたワインを作っています。おじいさんの代から所有しているという畑は、ジュラ紀の2億年以上前の地層からなっており、特に石灰岩と豊富な化石が特徴的だそうです。

まだ日本には1回しか入ってきていませんので、知る人ぞ知るのワインだと思います。飲んだ方からは既に美味しいとの評判のワインです。幸い僕は何度か飲むチャンスをいただいているのですが、自信を持ってオススメできるワインです。少しずつしかありませんが、興味がある方はぜひお試しください!


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