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【フランス訪問記2025】ルーション編シルヴァン・ソー(ペシゴ)訪問 ①(2025/2/23)#55

ポッシブルのルイックに別れを告げ次のアポへ急ぎます。次はリムーのシルヴァン・ソー(ペシゴ)です。こちらも楽しみにしていた生産者です。実はポッシブルのところで時間が押していて既にアポの時間はオーバー。ルイックとシルヴァン・ソーは仲がいいので、遅れる旨を伝えてもらっていました。どうせ遅れるだろうと思っていたらしく全然OKでした。

ポッシブルの醸造所から1時間弱、リムーの辺りにシルヴァン・ソー(ペシゴ)の畑や醸造所はあります。夕暮れ近くになっていましたので、暗くなる前にまずは畑から案内してもらいます。

モーザックとシュナンの区画

まずはソーヴィニョンブランの畑です。その近くにはモーザックとシュナンブランの畑の区画があります。モーザックは樹齢60年、病気などになって歯抜けになった場所は果樹で補っているようです。シュナンブランは樹齢約40年。土壌はアルジロカルケール(粘土石灰質土壌)で砂岩が多めです。

また別の区画には1.8haのソーヴィニョンブランの畑があります。2010年に植えられた畑で、2020年から無農薬に転換したと言っていました。

ソーヴィニョンブランの畑 夕焼けがきれい

さて、日も暮れてきましたし醸造所に戻ってティスティングです。

シルヴァンの醸造所

そう言えば!と思ったことがあります。リムーからほど近いポッシブルでは、泡を作っていません。なぜ作っていないのかはルイックに聞いてみないと分かりませんが・・・。でもここリムーは伝統的に泡の生産地です。だからシルヴァンは泡を作ってるんだ!と思いました。むしろ泡を作らない選択肢はないんじゃないかと思いました。

ちなみにリムーの発泡性ワインは、16世紀初頭にその起源を持ち、伝統的な「メトード・アンセストラル」により自然な泡を生み出す製法で作られています。この歴史はシャンパーニュよりも古く、リムーは「世界最古の発泡性ワイン」産地として知られています。

最初はまだタンクで熟成中の2024年の白泡からです。先ほど見学させてもらったソーヴィニョンブランやシュナン、モーザックを使用したワインを飲ませてもらいます。基本的にはブレンドが多いです。水不足の影響からか発酵がスムーズに進んでいないと言っていました。

シュナンブランとソーヴィニョンブラン 多分

続けて、樽からシュナンブランと先ほど見た丘の上の畑のソーヴィニョンブランを混ぜたワイン2024。残糖が残っている状態。おそらく発酵は終わらないだろうということ。既に産膜酵母が張っているようで、ウィヤージュ無しで酸化熟成させて作ると言っていました。

続いて2022年のワインをティスティング。こちらも発酵がスムーズに終わらずに残糖が残ったりするケースが増えているようです。シルヴァンがいうには畑が疲れているので、このような現象が起きやすくなっているとのこと。やはり酸化的な熟成を施すことでバランスを保っていると言っていました。

ところでシルヴァンですが、独特な雰囲気を持った人です。強面で近寄りがたいというわけではないのですが、目力が非常に強く僕ら一同をギョロリと見回します。最初は一切笑わないので怖い人かと思うのですが、実はそうでもなく、時折ユーモアを混ぜた話をしてくれたり、笑ったりとキュートな一面も持ち合わせています。

シルヴァン・ソー

またペシゴの可愛らしいエチケットですが、これは近くに住んでいる友人のアーティストが手掛けているようです。基本的にはワインを飲んでもらって、そのアーティストの発想に任せているようですが、時々シルヴァンの方からイメージを伝えて描いてもらうこともあるそうです。

エチケットも可愛いシルヴァンのワイン

続いては2022年のソーヴィニョンブラン。若い樹齢の区画です。こちらはドライに仕上がっていて、旨みもありますが少しマメのニュアンスが。11月にデゴルジュマンしたばかりなので、まだ飲むに早く時間が必要だとの認識でした。

ロゼペティヤンは2021年のカベルネソーヴィニョンとカリニャンから、また2020年のソーヴィニョンブランが少し残っていたのでブレンドしたそうです。こういう話を聞くとシルヴァンはヴィンテージ由来の個性というよりは、ブレンド(アッサンブラージュ)の妙によって彼が考える美味しいワインを作っているのだと感じました。

〜まだまだ続くティスティング編②に続く〜

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