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【家飲みナチュラルワイン】1000年以上前と変わらぬ考えで(2025/1/29)#29
包み込むような柔らかさと大らかさ、全くシリアスさのない親しみやすさ
パーチナのワインを表現するとこんな感じでしょうか。赤ワインにも白ワイン(オレンジ)にも、少量生産の甘口にワインにも共通して言えます。このように感じるのは、2023年に現地を訪問して生産者にお会いして、生産者の人となりを体感したからでしょうか。本当にファミリー全体がウェルカムな人たちで、温かく迎え入れてくださいました。
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訪問した時にも、畑やセラーを案内してもらいながらたくさんのお話を聞かせていただきました。このヴィナイオータさんのHPからの引用がとても分かりやすいですので、ぜひ一度読んでみてほしいです。
1000年以上前と変わらぬ考えで
パーチナで行われている農業とはというと、環境問題やエコシステムについて研究する学者で、Legambienteという環境保護団体の創始者の1人でもあったジョヴァンナの父は、かつては普通に行われてきた農業形態の重要性を説き、それをパーチナでも実践します。森を残し、耕作地全てをブドウやオリーヴ畑にするのではなく、穀物など様々な作物を育てることでパーチナという地所内でのモノカルチャーを避け、広大な土地を利用して常に休閑地を設けることで、地力の回復を図り…つまり、ブドウ畑だったところを数年、もしくは数十年は休閑地もしくは他の作物用の畑として利用した後に、再びブドウ畑として以降数十年は利用して、また休閑地にして…ということをやっているというのです。それは、1000年以上前に修道院ができ、周りを開墾して畑を作った時から全く変わらない考え方で、農業を行っているということになります。
ブドウ畑だった場所を数十年も休ませてからまたブドウ畑として利用するなんて話を初めて彼らから聞いたときは、本当に面食らいました。ワインの世界にはグランクリュなる言葉があり、そのグランクリュを数年でも休ませる話を他の誰からも聞いたこともなかったですし。この重要性に関しては、パーネヴィーノのジャンフランコもカーゼ コリーニのロレンツォ コリーノも力説します。
たたきの上で眠るワイン
醗酵はセメントのタンクで行い、乳酸醗酵が終了するまでそのまま静置されます。キャンティ用のワインはその後大樽ないし、500Lサイズのトノー樽へと移されるのですが、ウナギの寝床のような地下セラー、地面はいわゆる “たたき(三和土)” で、粘土に石灰を混ぜて叩いて作ったもの。昔のまま!現在では、年によって5-6種類のワインを生産しています。
モノカルチャーを避け、オリーブやその他の果樹や穀物類なども育てて、土地全体で共生する、という理想的な農業を営んでいます。でもそれだけではなく、ブドウ畑をまた休閑地にするってことは、樹齢何十年というブドウの樹を引き抜くってことですよね?そんなこと普通はできなくないですか?
こんな途方もないことを行なっているパーチナさんのワインから、先日写真の白ワイン(オレンジ)を飲みました。味わい的にはややしっかりめのオレンジでコクと深みがあります。タンニンやビターなニュアンスは程々で、さ様々な料理に合わせやすくフードフレンドリーな飲みやすいワインです。
フリウリ=ヴェネツィア・ジューリアのマセラシオンのワインは少しシリアスすぎるけど、軽めの優しいオレンジではちょっと物足りないかも・・・、そんなリクエストにピッタリと答えてくれます。大らかで、懐が広く、数日の間、味わいの変化を楽しみながら飲むことができました。
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ワインセラーは地下の洞窟のようなところにあります。建物自体が1000年以上前の修道院を改修したものというから驚きです。
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パーチナはアグリツーリズモも行なっていますので、泊まってワインも楽しむことができます。
「ワインは人を表す」とはナチュラルワインを飲んでいるとよく聞く言葉ですが、このパーチナのワインはまさに人柄そのもの。大らかで懐が深く、誰でもウェルカム。小さなことは気にしない感じのワインです。ぜひ一度味わってみてください。