
【フランス訪問記2025】ブルゴーニュ(ガメイ)ヴァン・ノエ(2025/2/15)#46
2024年のワインを樽から試飲させてもらいます。ここはブルゴーニュですので、定石通り白ワインからの試飲です。マコンのシャルドネを使用した「パタヤ2024」この年はミルデュー、ベト病の被害が酷く、雨も多い年でした。ピノノワールは多くの被害を受けましたが、シャルドネはまだマシだったとの事です。収量はあまり採れなかったけど、醸造はスムーズで楽しく醸造できたと語るジョナタン。
だいたい生産者からはこのように、その年の気候、病害の様子、収穫や収量、醸造の様子などの1年間のおおまかな流れを聞きながらティスティングをする、という流れになっています。
その後、アリゴテやピノブラン、サントーバン・プルミエ・クリュの区画のワイン、ピュリニーなど白ワインの試飲が続きます。そして初めて作ったというピノノワールから作るロゼワイン「グール・ダムール」の試飲と続きます。こちらは前回は赤ワインとしてリリースされていました。

オセール(Auxerre)の畑から採れる買いブドウのピノノワールで2樽分しかありません。大体600本くらいという事ですね。その場で飲んだ感じでは還元が強めで、軽やか、可愛らしい赤果実、飲みやすい、という感じです。3日間のマセラシオン(果皮浸漬)を行ったそうです。ジョナタンの考えではこのブドウに関しては、マセラシオンしすぎると抽出が強くなりすぎて、野暮ったい味わいになってしまうので、ロゼにしたのは良いアイディアで、悪くないと思っている、との事でした。
その後、ボジョレー地区のピノノワールを使用したロゼワインと、赤ワインのティスティング。このワインも還元を強く感じました。樽はステンレスタンクに比べると酸素の透過性が高いので還元しづらいと思っていましたが、樽でも還元する、という気付きがありました。樽は樽でもナチュラルワインの生産者の多くは新樽ではなく古樽を使用しています。樽は使用すれば使用するほど、目が詰まってくるので酸素の透過性は低くなるようです。
ちなみにジョナタンは樽は洗浄せずに使っているそうです。澱を残したままにしておき、2021年からは洗浄をしていないそうです。この事については生産者によってもいろいろな考えがあると思います。澱が残っている事で次の年のワインを入れた際に発酵が起こりやすくなるというメリット。また「うなぎの蒲焼の秘伝のタレ」ではないけれども、継ぎ足し継ぎ足しのようなニュアンスで、複雑味が生まれるという考えがあると思います。
一方で以前訪れたイタリアのある生産者は樽を洗浄することをとにかく大切にしている生産者がいました。その生産者からは高圧洗浄機を使って徹底的に水洗いすると聞きました。樽の木の目からの汚れも綺麗に取り除くことで衛生管理を行っている、と言うことです。高圧洗浄機で水洗いすると真っ黒な汚れが出てくると言っていました。どちらの生産者もナチュラルワインの生産者です。改めてさまざまなアプローチがあると思いました。

その後、ピノグリやアリゴテ、ガメイ、ピノノワールなどと試飲が続きます。一通り2024年の試飲を行った後は、同様にまだ樽に入った状態の2023年のワインを試飲させてもらいます。トータルで15〜20種類くらいは試飲をさせてもらったでしょうか。
ジョナタンは3日に1回は揮発酸と乳酸菌の分析を行っているそうです。生産者が醸造中のワインを分析を行うのは通常の行為として行われますが、3日に1回分析にかけるというのはかなり頻度が高いそうです。几帳面な性格なんだな、というのが分かるエピソードですね。
また自社畑のシャルドネやピノノワールだけでなく、近隣のガメイやシャルドネ、ピノノワールを購入して醸造しています。でも驚いたのが、ドイツのピノやメルロー、シャスラなどを購入してワインを作っている事です。ジョナタンが言うには、以前収穫の手伝いに来てくれた人の実家がドイツでブドウを作っているのでその縁からブドウを購入している、と言う事でした。ジョナタン自身がフランスで生きるアメリカ人で、縁あってジャン=ジャックの跡を引き継ぐことができた人ですので、そのような縁を大切にしているのかな、と想像しました。
さて、一通りティスティングを終えた一行はワイナリーの外で簡単なピクニックです。



ジョナタンはコンテチーズやバゲット、イタリア人からもらったというサラミを提供してくれました。ワインはジョナタンのワインがポンポン開きます。寒空の中、ティスティングしたり飲んだりしながらおしゃべりタイムです。しかし次のアポの時間が迫っていましたので、軽めにいただいてジョナタンとはお別れです。
基本的に朝から晩まで一日中ワインをティスティングし続ける日程ですので、朝や昼にワインを飲み込むのは控えるようにしています。じゃないと1日持たないので・・・。でもジョナタンのワイン、もっと飲みたかったなぁ〜。

以上、ヴァン・ノエ (Vin Noe)のレポートでした!