
【フランス訪問記2025】ルーション編ポッシブル訪問③走り続けるワイン造り-Cours Toujours - (2025/2/22)#54
醸造所には至る所にアートが散りばめられています。その理由を聞いてみました。以前、近くの集落でワインの若手生産者やアーティストとのコラボイベントのようなものを頻繁に開催していたそうです。その際にアーティストの作品を気に入り何点か購入したところ、より交流が盛んになり、収穫の手伝いなどでワイナリーに寝泊まりしたりしているうちに勝手に壁に描き始めた。(別に頼んでないのに)のような感じで笑いながら教えてくれました。

「JAJAKISTIN」と書いてあるの分かりますか。上記写真や表題の写真のキュヴェ名の下に書いてあります。
ジャジャキスタン JAJAKISTIN
ポッシブルの醸造所の壁やダンボールに刻印されている JAJAKISTIN という文字。これはポッシブルとエドゥアールがここに建国した自由なワインの国のこと。JAJAというのはワインを示す言葉らしい。ルーション(バニュルス)のワイン生産者とワインを持ち寄っては飲んでばかりいた時期に、バニュルスには海があるのにここにはワインしかない。じゃあJAJAKISTINだ、というノリで命名。
さて、醸造所でのティスティングを終えて一同ランチへ向かいます。裏を抜けて2階に上がっていきます。裏にはランボルギーニ社の農耕機(現役)が!またタバスコを畑に撒くといい効果がある、とタバスコを撒くのが流行った時期があったらしくタバスコも笑。


これからルイックの手作り料理を振る舞っていただきます。ワインはもちろん「ポッシブル」醸造家のルイックが作ったワインと、その本人が作った料理で合わせるなんてよくよく考えたら贅沢なことですね!食事をしながらルイックにキュヴェ名の由来なども教えてもらいます。



クール・トゥジュール / Cours Toujours
直訳すると「ずっと走ってる。走りっぱなし」の意味。他には、基本的には皮肉や突き放す表現 で、「好きにしな」「やれるもんならやってみな」「無理だけどね」といった意味がよく使われる。ナチュラルなワイン作りに対する反発的な皮肉を含む表現。抜栓後の日持ちも十分です。
シャリヴァリ / CHARIVARI
「Charivari」はフランス語で 「騒音」「どんちゃん騒ぎ」「大騒ぎ」 という意味を持ちます。中世ヨーロッパでは抗議活動や嘲笑儀礼の一つとして、鍋やフライパンを叩いて騒音を立てる 風習があったそうです。この風習も「Charivari」 と呼ばれています。こちらもワイン作りは・・・、という人に対する皮肉的表現。ちなみにポッシブルの赤ワインで個人的に一番好きなワインです。樹齢100年以上のカリニャンの畑から。
ル・フリュイ・デュ・アザール / LE FRUIT DU HASARD
「Le Fruit du Hasard」は直訳すると 「偶然の産物」「運命がもたらした結果」という意味です。2003年のファーストヴィンテージで、納得したワインが作れずにタンクに入れたまま放置していた。廃棄するかどうしようかとすら考えていたが、ある時友人が来て、ちょっと飲んでみていいか、というので失敗作だし「適当に勝手に飲んでくれ。」と勝手に飲ませてみたところ、「美味しい。」と。冗談かと思って、タンクを間違えているんじゃないか、と相手にしていなかったが、あまりにもうるさく「美味しい。捨てるなんて何言ってるんだ。」のようなやり取りがあったので、仕方なく飲んでみたら驚くほど美味しくなっていた。というエピソードから。
トゥビフリ / TOUBIFRI
To be Free トゥビフリと聞いて、なるほど!と納得。
トゥ・ビュ・オア・ノット・トゥ・ビュ / TOUT BU OR NOT TOUT BU
ハムレットの有名な台詞「To be, or not to be」 「人生を生きるべきか、それとも死を選ぶべきか」のパロディ。
「Tout bu, or not tout bu」 はフランス語で、「全部飲んだのか、それとも全部飲まなかったのか?」という意味。
さてルイックの手料理ですが、本当にお世辞抜きで美味しかった!大げさでなく、この旅を通じて食べたレストランなどのどこの料理よりも一番美味しかった!ワイン作るのが上手な人は料理も作るのが上手なんだと感心しました笑。

味付けはオリーブオイル、ヴィネガー、醤油、塩、あと何だっけかな〜
再現したい美味しさ!


ルイックのワイン🍷に合う〜

全ての料理がルイックの料理とバッチリ



ルイックは終始穏やかで優しくおもてなしてくれました。食事をしながら息子さんの話や日本に来た時の話などたくさんしてくれました。最近ちょっとプライベートでショックな出来事があったようで、それは少し気がかりですが・・・。ワインは白も赤もめちゃめちゃ美味しくて、どのワインを飲んでも破綻がなく、素直な果実味とピュアかつ奥深い味わいです。正直これまではポッシブルのワインには美味しいけど、危うい、少し不安定なイメージを持っていました。でも近年のポッシブルのワインにはそれが全くなく、安心して飲める印象です。自信を持ってお客さんにおすすめすることが出来ます。その人柄とワインとが素晴らしく、訪問して大ファンになりました。Merci ! ルイック!
