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想像できなかった多様性

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

東京読書倶楽部の読書会を主催していることもあり、様々な考えや価値観に触れる機会を多く頂いている。

その中でも「多様性」について、持論や経験をお持ちの方もいらっしゃって、私自身も勉強させていただいている。

そんな中、日能研の「シカクいアタマをマルくする。」の広告にて、光塩女子学院中等科の入試問題が掲載されていたのを見つけた。


次の文章は、著者がアフリカを旅した経験をもとにして書いたものです。これを読んで、後の問いに答えなさい。

私はかつて旅に出る前、世界地図を床に広げて、世界に思いを巡らせていた。国ごとに色が分かれた地図へ、印をつけ、ピンを打ち、国境線をマーキングした。
     (中略)
トーゴやベナンの間には、特に『線』など見当たらず、入国審査も適当だった。地図上に引かれた線は、地元の人が引いたのではなく、植民地支配を競った国が、勝手に引いたものだった。
     (中略)
さまざまな人や価値観や、文化や暮らしや宗教が数限りなく含まれていた。私は地図の奥に広がる、ピン穴の向こうの多様性を、想像できていなかったのだ。

中村安希「インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日」

著者のように、今まで想像できていなかった多様性に出会った、あなた自身の経験を百文字以内で具体的に書きなさい。


この問題を読んだ時に、はて「今まで想像できていなかった多様性に出会った瞬間」はいつだっただろうかと、思い出してみた。

※ 不勉強ゆえに相応しい言葉を知らないため、不適切な言葉を用いる点はご承知おきください。


一番印象が大きかったことで言うと、中学時代のクラスメイトに、トランスジェンダーの男の子がいたことである。

女性よりも男性が好きになるタイプで、旗から見ても「女々しい」印象だった。

正直、中学生ともなると、なんとなく「普通/一般的」というものが作り上げられてくる。私も「変な奴だな」と思っていた中の1人である。

でもそいつはそいつで、自分が「女々しい」ということを認めていた。

無理に「男らしく」あろうとは、旗から見ている限り、していなかったと思われる。


100文字に収まっていないが、それが私にとっての「想像していた多様性に出会った」出来事である。

今出逢えば、別に気にしない(という言い方が適切なのかも疑問だが)のだけれども、当時はやっぱり「男っぽくない」と思ったのも事実である。

中学生という、肉体的にも精神的にも変わっていく中で、周りと違う感じがするってのは、受け入れにくいという感覚は、正直あった。

これが幼稚園や小学生とかだったらどうだろう。

それこそ、「何も知らない」頃であったら、「世の中には彼(彼女)のような人もいるのだな」と、受け入れられただろうか。

そうなれば、「想像できなかった多様性」ではなく、「想像していた多様性」に変わっただろうか。


神保町の絵本屋さん ブックハウスカフェで見かけた、えがしらみちこさんの「ようこそ こどものけんりのほん」白泉社を思い出す。

みんな じぶんらしく いきる けんりが ある
ひとと ちがっても だいじょうぶ。
そのこらしさが たいせつ。

同著より抜粋

最近は、絵本でもトランスジェンダーや多様性について取り扱う作品が増えている。

お姫様がドラゴンに囚われたお姫様を救い出し、王子様が数々の求婚者の申し出を断って最愛の男性と結婚するなど。

前出の絵本には、ピンクや赤が好きな男の子や、飛んだり走ったりするのが好きな女の子、お家が2つあるという子も登場する。

そんな風に、子どもの頃から多様性に触れることに対して、賛否両論あるだろう。

「想像できなかった」ことを受け入れるのには、時間がかかるし、受け入れられないこともある。

だけど、「想像できなかった」ことよりも、「想像できた」ことが多いほうが、軋轢は減るんじゃないかって思うな。

だから少しづつ、色々な本を読んでいる次第です。それではまた次回!

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