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家が燃え、妻の身体におきたこと。

 心と身体はつながっています。仕事でももう少し頑張ればって無理をしがちですが、そんな時こそちゃんと休んだ方がいいです。まして火事は人生の一大事。もし自分が火事にあったとしたら、そんな想像しながら読んでみてください。

  今から8ヶ月前、僕の家は火事にあいました。いわゆる全焼です。幸いにも家族は全員怪我もなく無事です。近隣への延焼もほぼありませんでした。

 最近、ふとしたことがきっかけで妻と火事の話になりました。改めて聞いてみると、知らないことがいっぱい。あの時どうだった、みたいなこと、家族で散々話したつもりでいたんですけどね。

 中でも驚いたのは、身体的に影響がでいたことでした。

 火事のあと、妻は気丈に振る舞っていました。支援をしてくれる多くの人たちとやりとりをしたり、子どもたちのケアをしたりして、いつもと変わりないように見えました。しかし実際には妻の身体にはさまざまな異変が起きていました。感受性が強いので精神的なダメージも受けやすいのかもしれません。そもそも家を失うことは大きなショックです。家族を守る堅牢な箱であるはずの家が廃墟になってしまうのです。尊厳を奪われたような気持ちにもなります。また助けてもらう度に、申し訳ない、という気持ちになります。

 こうしたストレスが積もり積もってか、様々な症状がでていたといいます。

 もっとも大変だったのは、口や鼻の粘膜がやられたこと。しばらくの間、いつも口の中が乾燥してて、喉もカラカラに乾く。そのせいで口の中がピリリと痛む。感覚も鋭敏になってといいます。特に辛いのは歯磨き。歯ブラシが少し触れるだけでも歯茎が痛い。かなり柔らかい歯ブラシを使ってみてもダメだったそうです。

 このような症状は、どういうメカニズムで引き起こされるのでしょうか。ググってみると、極度の緊張が関係していることがわかりました。

若くても緊張が続いたり、興奮したりすれば口がかわきます。ストレスにより精神的緊張状態が強いられて、唾液分泌がつかさどられる自律神経のバランスが崩れることによりドライマウスが現れます。

 仕事でも大きなプレゼンの前とか、喉が渇くことありますよね。あれと同じです。大きなストレスがかかるとで自律神経のバランスが崩れてしまう。そのために極度に喉が渇く。そういえばあの頃、妻はやたらと水を飲んでいてました。トイレもかなり頻回でした。

 もう一つ、妻をおそった異変は、目の疲れです。しばらく痛みが続いて、友人が買ってきてくれた、蒸気の出るアイマスクを使ってしのいでいたそうです。

 火事の後には、沢山の人から、支援の申し出などのメッセージをいただきます。それは何よりありがたいものです。だからできる限り、ちゃんと返事を書きたい。仕事のことや、子どもの学校のことなど、各所への連絡もいつもより頻繁にしなければなりません。必然的にスマホを見ている時間が増える。それが目に負担をかけていたのではないかと、妻は考えていました。

 しかしこれもググってみると、ドライマウスと同じ原理で起きている可能性があることがわかりました。極度の緊張が、涙の分泌を抑制し、ドライアイを引き起こしていたのかもしれないらしいのです。

涙の分泌は副交感神経(リラックスしたとき)に支配されており、交感神経優位(緊張時)には減少するメカニズムがあります。現代人はさまざまなストレスにより涙の分泌が抑制されているのではないかという考えもあります。

 交感神経は、何かをせねばならぬ時に、優位になるものです。火事の後、早くなんとかしなくちゃいけないという責任感、先の見えない不安などが、ないまぜになり、心も身体を休息モードにはなりにくいです。妻はしばらくぐっすり寝ることができなかったといいます。だからちょっとでも時間が空いたら、ホットアイマスクをして、なるべく仮眠をしたそうです。

 寝ることって、大切です。ほんの少しでも寝ることができれば、身体を回復させることができます。逆に睡眠がたりていないと心も身体もバランスを崩しがちです。

 これは仕事でも同じです。ストレスは、容赦なくあなたの身体を打ちのめします。だからピンチのときには、無理をせず、休息をとることを考えてください。

 心が弱れば、身体も弱ります。

 その逆も真なりです。

 身体を休めさえすれば、心もすこやかになるのです。

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河瀬大作
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