日記│掌(十月二十二日)
左手の掌に
ほのかな刺激を感じて
おどろいて目を覚まし
起き上がって手を見やると
焦点の合わない初秋の野原の
その手前に
いかにもむずがゆそうな白い斑点を備えた
赤い掌
かゆみは
やがて
痛みとなり
醒めゆく意識のなかで
ふと
身体の曲線を圧迫するベンチの硬さと
疎外された子らの遊ぶ声とが
しばし僕を呆然とさせる
虫刺されの掌は
どこまでも孤独に
野原と
薄曇りの空とのあいだに
ただぼんやりと浮かんでいる
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左手の掌に
ほのかな刺激を感じて
おどろいて目を覚まし
起き上がって手を見やると
焦点の合わない初秋の野原の
その手前に
いかにもむずがゆそうな白い斑点を備えた
赤い掌
かゆみは
やがて
痛みとなり
醒めゆく意識のなかで
ふと
身体の曲線を圧迫するベンチの硬さと
疎外された子らの遊ぶ声とが
しばし僕を呆然とさせる
虫刺されの掌は
どこまでも孤独に
野原と
薄曇りの空とのあいだに
ただぼんやりと浮かんでいる
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