これが故郷〜かんのさゆり〈New Standard Landscape〉 〜東京都写真美術館
東京都写真美術館で2025年1月19日(日)まで開かれている「現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21」を見に行きました。
展示された5人の作家の作品のうち、かんのさゆりさんの〈New Standard Landscape〉が印象深かった。
震災の被災地に開発されたと思しき新興住宅地。真新しい戸建て住宅が一軒一軒、平板な雰囲気で写っている。
全体的にひとの気配がしない。
雑草のない庭。真新しいカーポート。由緒も歴史も感じさせない作りたての鳥居。ホームセンターなんかでよく売っている子犬の作り物が玄関先に置かれている。
こういう住宅街には個人的にとてもなじみがある。埋立地に造成されたニュータウンとか、鉄道の新線の駅周辺に急に開けた住宅街とか。一見すると歴史も情緒もない、ハリボテみたいな風景。でもそこが、住む人たちにとってはかけがえのない故郷になる。
私はこれらの写真を震災や復興の問題とはあまり絡めることなく眺めていました。こういうカタログ的に羅列された写真がたまらなく好きなんですよねえ。