盛岡・中津川の今昔を比べてみました (薗部澄の写真集『北上川』より)
岩手県盛岡市の真ん中を流れる中津川は、地元市民にも観光客にも愛される美しい川です。川沿いに遊歩道があり、周辺には小さな喫茶店やギャラリー、書店や雑貨屋なども多く、散歩にはちょうどいいです。
東京の古書店でだいぶ前に手に入れた『北上川』(平凡社)という写真集に、1950年代の中津川らしき風景が載っていました(中津川は北上川の支流です)。さすがにビルも少なく、お馬さんが歩いてたりしてのどかです。たぶん「上の橋」のあたりから写したものではないでしょうか。
左上に見えるのは東北電力の鉄塔ではないでしょうか。写っている橋は「与の字橋」だと思います。
先日、盛岡に旅行した際に、同じアングルになるかなと思って撮ってみたのが下の写真です。
鉄塔は立派になってます。橋も1969年に新しくなったそうです。ビルが増えましたねえ。でも橋の右側の大きな木は変わらないように見えます。河原の地形も似ている。歩いてみて、雰囲気は当時と近いんじゃないかという気もしました。
この『北上川』は薗部澄(そのべ・きよし)さんの写真集です。わたしは薗部さんという写真家を知らなかったのですが、たまたま古書店で見つけて表紙に魅かれ購入しました。
薗部さんは1957年の秋、この写真集のために北上川流域を自転車で旅して写真を撮ったそうです。当時の岩手から宮城にかけての風景や人々の暮らしぶりを、落ち着いたトーンで切り取っています。支流も含めて800キロを旅したそうです。
変わりゆく風景、あるいは変わらぬ風景を記録に留める写真家の仕事って、素晴らしいですね。