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アンディ・サマーズ来日公演を見てきた〜ギターと写真のマリアージュ「The Cracked Lens + A Missing String」

アンディ・サマーズというギタリストの来日公演「The Cracked Lens + A Missing String」を見てきました。自ら撮りためてきた写真を大画面に映しながら演奏するというスタイルです。あまりにも有名な伝説的ギタリストですが、実は写真家としても、最近もライカのギャラリーで個展を開くなど本格派。ギターと写真、どちらも主役に感じられる素晴らしいショーでした。

アンディ・サマーズは1970〜80年代に活躍したロックバンド「ザ・ポリス」のギタリストとして有名です。その後ソロ活動を続け、ジャズ、フュージョン、ブラジル音楽などの要素を含む多彩な作品を発表してきました。分野は幅広いですが、理性的なのに狂気じみている不思議なギターフレーズなど、強烈な個性は一貫しています。エレキギターを使う場合は、さまざまなエフェクターを駆使して独特な音色で空間を支配する演奏が魅力的です。夢の世界に引きずり込まれるようです(うなされ系含む)。

今回の公演は神奈川県川崎で開かれました。エレキギター1本のひとり舞台です。わたしは40年来のファンで、いくつかライブも見ていますが、ひとり舞台は初めてでした。
アンディは舞台の向かって左端で演奏します。中央は大型スクリーンで、演奏に合わせて彼が撮った写真が次々にスライドショーで投影されます。

パンフレットより。アンディの作品

冒頭の「True Nature」という曲では植物の写真が次々に登場します。曲に合わせて念入りに写真を選んでいるんですね。
「Metal Dog」という曲では日本などで撮ったストリート・フォトが、曲に合わせてテンポよく切り替わります。何枚かに一度、キーとなる野良犬の写真に戻るのですが、森山大道かジョセフ・クーデルカの犬の写真を思わせるものでした。東京の地下鉄車内で撮った写真も印象的だった。地下鉄の写真といえばウォーカー・エバンスが有名ですが、アンディの自伝を見ると、写真を始めたころエバンスの影響を受けたと書いてます。ほかにはアンリ・カルティエ=ブレッソン、ダイアン・アーバス、リー・フリードランダーから影響を受けたそうです。アンディの公式ホームページには、ブラッサイの影響もあると書いてありました。ただなんといってもラルフ・ギブソンから手ほどきを受けたのが大きいそうです。

トークを挟むとき以外、アンディはずっと舞台左端で演奏しています。これはけっこう写真が主役かもと思いましたが、やはり演奏が負けていない。「Round Midnight」が特によかった。アンディはセロニアス・モンクのカバーアルバムも出していますから、思い入れも相当なものでしょう。それと「黒いオルフェ」のテーマ曲も良かったなあ。映画のシーンの画像に合わせて演奏しました。この映画、もちろん題名ぐらいは知ってたけどちゃんと見たことなかったから今朝からサブスクで見てます。ザ・ポリスの「Tea in the Sahara」も良かった。写真はもちろん砂漠の風景でした。

パンフレットは4000円。お財布が…

ところでアンディの撮る写真といえばモノクロの印象が強い。昨年、銀座のライカギャラリー東京でアンディの個展を見たときもそうでした。アンディが出した写真集も見たことがありますが、やはりモノクロが多かった。
今回はけっこうカラー写真もありました。フィルムで撮っていることもあるのか、黄色や赤がきれいで印象的でした。
日本を含むアジアで撮った写真にはオリエンタリズム的な視点も感じられて、そこは評価や好みが分かれるかもしれません。ただ音楽と写真を掛け合わせた唯一無二のショーだったことは間違いないと思います。

↓公演ホームページ

↓アンディ・サマーズ公式。写真作品も見られる

↓昨年ライカギャラリーで開かれた写真展


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