良悪タクシー
10年以上も前のことなので、当時と今はずいぶんとルールが変わっているかもしれません。
でも、世界共通なんだなぁと心から感心したことがあります。
上海に行った時のことです。
上海では目的地に行く時にはタクシーを使いました。
まるで自転車か何かってくらい、観光客はタクシーを使うので有名な観光地ではタクシー争奪戦のような感じです。なかなかつかまりません。
見掛けたら呼び止めて、即乗る!みたいな感じ。
タクシーの色(だったと思う)で自分の乗ろうとしているタクシーが安心な業者なのかそうでないのかわかるそうなのですが、タクシーを見掛けたらすぐに呼び止めて乗らないと、他の観光客に先を越されてしまいます。
その為、いわゆる白タク(無許可タクシー)にも遭遇するのです。
日本人観光客はめちゃくちゃなめられているので、目的地に行くまでに遠回りされたり、メーターを操作されたりするというのはよくある話として知っていました。
ターゲットになるのは日本人観光客だけじゃないかもしれないけれど…
目的地の豫園に行くまでに利用したタクシーでのこと。
豫園…明・清時代の庭園。上海観光のど定番スポット。
運転手のおじさんが豫園に到着した時にごくごく自然な手つきでメーターをピッと操作して料金を上げたのがわかりました。そのまま見過ごしても良かったのですが、明らかに目に見えてわかったので抗議をしてみました。
憎らしいことに、おじさんは「日本語も英語もさっぱりわかりましぇん」みたいなジェスチャーをして、すっとぼけるし、さらに目の前でメーターをピッと上乗せでつりあげて煽ってくるし、私たちも時間が無駄になるし…で、お金を叩きつけてタクシーを降りました。
「はした金くれてやらあ!」
1元は3円とかそれくらいだった気がします。
(※安くても1元12円くらいではないかとご指摘有り。当時13円くらいだったかも?)
でも、お金はどうでも良かったのです。不正は悪いことだよって、日本人だって怒るんだからな。なめるなよってちょっとおじさんに伝えたかったのです。
あまりにごねて警察沙汰になっても怖かったなぁと今では思います。あの頃は若かった…
その後はぷりぷり怒りながら、豫園のスタバで豫園限定ボトルを購入したのは良い思い出です。
タクシーを降りた後、おじさんも何だか怒ってた気がしますが、走って逃げたので後のことは知らぬ存ぜぬ。
堂々とぼったくる方が悪い。
豫園の中でもいろいろあったのですが、上海旅行はちょっとしたロマンス?もあったりなかったりで、非常に良い思い出なのでいつの日かまとめ記事や小説っぽくしようかどうしようかなぁと思っています。
豫園を堪能し、帰りもホテルに帰るのにタクシーを利用します。
嫌なことがあっても交通手段がそれしかないので仕方がない。
すると、今まで乗ったタクシーは車内に掲示してある免許証の写真が全部同じ人だったような気がしていたのですが、そのタクシーはちゃんと運転手の顔写真でした。
あれれー?今まで乗ったタクシーの免許証ってコピーだったのかなー?
途中、信号で止まった時におじさんが身振り手振りで
「あそこは工事中で行けないから、少し遠回りしますが良いですか?」
的なことを私たちに一生懸命伝えようとしていたのがわかったのです。
おじさんの指のさす方向の道路は確かに工事をしていて通れない感じでした。
そんなこんなであっという間にホテルについて、料金をお支払い。おじさんがおつりを返そうとするので、それを断っておつりごとお支払いをしました。
中国のタクシーはどれもぼったくると思っていたので、このおじさんに出会えたことは奇跡。とにかくむちゃくちゃ感激しました。良い人いるじゃん!
タクシーが何事もなく目的地に到着するのはごくごく当たり前のサービスだと思うのですが、この時は何だか感覚がおかしくなっているのですね😅
良いタクシーのおじさんは真面目そうな優しそうな、普通のおじさんでした。悪いタクシーのおじさんとは見た目が全く違いました。
悪いタクシーの方は完全に胡散臭い顔をしたおじさんでした。いかにもって感じ。映画に出てくる主人公にすぐやられる雑魚敵みたいな雰囲気。
顔に内面が出るのは世界共通なんだと、この時心の底から実感できたのでした。
あの時の良いタクシーおじさんも、私たちを騙していたのだとしたら完全に人間不信になりますが…絶対に違うと信じたい。
そんな上海での一件以来、人は見た目でだいたいのことは判断できるのだなぁと思っています。
美人、不細工とかではなくて顔の造形ににじみ出ているでしょう?内面が。
誠実、不誠実、優しい、怒りっぽい、悪人、善人遊び人、真面目、偏屈、几帳面、チャーミングなどいろいろ…
人の内面は顔に出ているのです。世界共通で。
世界共通ですよ?すごくない?
あなたが初対面の人に抱いたぼんやりとした感想はあながち間違ってはいません。
いろんな人と会ったり話したりすればするほど、自分の中の経験値は上がっていくのでより精度は増すことでしょう。やったね!
今は中国にはタクシーアプリがあって、それを利用するみたいです。ぼったくりは無くなったのでしょうか?
きっとあの時の良いタクシーおじさんは星5つとかついて、評判が評判を呼び名誉運転手として表彰されていると思います。
あの時のおじさんは今も元気にしているだろうか…
忘れられない上海での思い出でした。