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水道を出しっ放しで旅行に来てしまったのではという強迫観念(強迫性障害の体験談)

はじめに

日頃から出かける時は、戸締り、ガス栓などのチェックを何度も何度も繰り返したり、自宅に戻ってもう一度確認したり、それでもう一度外出したら今度は玄関の電気が気になったりドアに鍵をかけたかが気になったり・・・・・・・
そんなことをやっていて出かける前に疲れ果てていませんか?

もしかするとそんなあなたはOCD(強迫性障害)という病気かもしれません。
強迫性障害には確認強迫や不完全恐怖という症状があります。
強迫性障害の書籍を参考にしてきちんとした知識をつけることをおすすめします。

以下は、旅行先で自宅の水道が出しっ放しなのではないかという強迫観念に苦しんだ私の思い出話です。w

外出時の戸締まりなどの確認強迫

何年も前の話なのですが、その頃私は確認強迫の症状がひどくて苦しんでいました。
自宅から外出するときの症状が強く、家族が自宅にいるときは楽なのですが、自宅に誰もいなくなるときはどうしても緊張していました。
強迫行為を繰り返してなかなか出発することができないことが続き、今では最初から「強迫行動をしてしまうだろうな」と苦手意識を持っていたのだと思います。

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ひとりで戸締りなどのチェックをしていると繰り返しになっていつまで経っても家を出ることができないので、家族と一緒に指差し確認、またはスマートフォンで締めた鍵やガス栓などを撮影して外出する練習をしていた記憶があります。(今思い出すと懐かしい・・・)

※強迫性障害の本によれば、行動療法で強迫性障害を治したいならこのような確認も一切しないほうがいいようです。

窓の鍵やガス栓などのチェック箇所を、家族と一緒に指差し確認したり、指差し確認の代わりにスマートフォンのカメラで撮影してチェックする方法だと、一人で普通に確認するよりも繰り返すことが少なく、スムーズに終わることが多いのでそのようにしていました。

確認後に忘れ物を取りに戻った

ある時、家族旅行に行くこととなり、出発前にスマートフォンのカメラで撮影しながらチェックしました。
家中の窓の鍵、電気、テレビの主電源、エアコン、ガスの元栓、トイレ、水道・・・と、ひと通りチェックを終えました。

その後すぐ出掛けようとしたのですが、駐車場の車に乗り込んだときに、洗面所に忘れ物をしていたのを思い出し、洗面所に戻って取ってきました。
そしてそのまま出発しました。

忘れ物で戻った時に水道に触った?

出発してしばらく経つと、洗面所に戻ったときに洗面所の水道を出してしまったような不安が襲ってきました。
忘れ物を取りに戻っただけのつもりが、気がつかないうちに蛇口をひねって水を出し、そのまま水道を止めずに外出してきてしまったのではないかという強迫観念です。

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スマートフォンで撮影したのは忘れ物を取りに戻る前だったので、強迫に襲われている私の頭ではその写真はあてになりません。

忘れ物を取ってきただけなので蛇口には触っていないと自分に言い聞かせても強迫観念は増長するばかり。
車を運転しながらそのことばかり考えていたので私はずっと無口でした。
その旅行では実家に帰省し、5日間も自宅を留守にする予定。
その間、蛇口を確認できないと思うと不安で不安で・・・運転に集中するどころか頭が熱くなってぼーっとしてくる始末。

もう一人の客観的な自分

しかし頭の中にはもう一人の自分がいて、これはOCDの強迫観念だと言っています。
自宅に戻って確認するなんて全く意味のない行為で、自分の病気を悪化させるだけだと主張する自分もいるのです。
そのような二人の自分が頭の中で騒いでいるうちにも車はどんどん進み、7時間程かけて実家に到着しました。

いつもは強迫観念が湧いてきても時間の経過とともに収まることが多いのですが、今回はとても不安が強く、さらに、運転中というある意味暇で考えにふける時間があり過ぎたせいか、なかなか強迫観念がおさまってくれませんでした。

安心するための情報を探す

これも強迫行為の一種だと思いますが、あまりに不安だったのでスマホを使ってインターネットでいろいろと調べました。
5日間も水道が出しっ放しだったら料金は一体いくらくらいになるのか?水道はずっと流れ続けても一定のところで自動的に止まってくれたりはしないのだろうか?などです。

部屋の電気をつけっぱなし程度ならまだいいですが、5日間も水がじゃんじゃんと流れ続けていたらと思うと一番気がかりなのは料金です。
インターネットで検索すると、面白いことに私と同じような不安を抱えた人が質問サイトで質問しているのも見ました。

さすがに家族に「蛇口を確認したいから家に帰る」というわけにもいきません。
インターネットでの検索もやりつくし、何もすることができないまま1日、2日と時間は過ぎて、やがて私の強迫観念も薄れていきました。

旅行が終わり帰途へ

旅行の後半は強迫観念はほぼ治まっていましたが、帰りの高速道路を運転しながらまた蛇口のことを思い出しました。
その時には料金のことはどうでもよくなっていましたが、蛇口を見たか見ていないかという不完全感の気持ち悪さのほうが強くなっていました。
そのため、家に戻ったらすぐ蛇口だけは確認して、不完全感を払拭しようと考えていました。

帰り道も長い道のり。途中で食事休憩などをはさんで7時間程度の時間が経ち、ようやく自宅へ。
自宅に到着すると車から重い荷物を運んだりの作業でバタバタです。

慌ただしい仕事で強迫行為を忘れた・・・

蛇口のことは、高速道路の運転中は覚えていたのに、自宅に到着した頃にはすっかり忘れていました。笑
そして、荷物運びでバタバタしているうちにいつのまにか自分で水道を使ってしまっていました・・・・・。笑

私は不完全恐怖の強迫行為のためにとりあえず自宅に戻ったら「締まっている蛇口」というものを見たかったのですが、それを「ちゃんと」見ないまま無意識に蛇口をひねっていたのです。無意識に水道を使っていたということは、最初から水道が出続けていたなどという普通ではない事態は何もなく、水道はちゃんと止まって静まり返っていたのでしょう。もちろんそれは分かっています。

しかしOCDの不完全強迫というのはそういうことよりも「意識してちゃんと」水道を見て確認したいというものですので、自分で無意識に水道を出してしまった後となっては私の強迫行為は永遠に叶えられることがないまま終わったのでした・・・・・。
これにはさすがに自分でも笑うしかないといった感じでした。笑
チャンチャン。おしまい。

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