強迫性障害の確認強迫で読書中に次のページに進む事ができない
今は強迫性障害の症状はかなり改善して良くなったのですが、症状がひどかった頃は読書に関しても強迫観念がひどくてひと苦労だった時期があります。
この記事ではその頃の私の体験談を書きます。
読書中に起こる様々な強迫観念
昔から読書が好きで、自宅でも電車の中でも旅先でもよく本を読んでいました。
社会人になって10年ほど経った頃から確認強迫の症状が強くなってきて、ドアの鍵の確認などの典型的な強迫観念に悩んでいました。
確認強迫の症状の一部だと思うのですが、読書に関する強迫観念もひどかったです。
読書の最中にいろいろなことが気になってまともに本を読み進めることができなくなるのですが、例えば以下のような強迫観念に悩まされていました。
めくったのは本当に1ページだけ?
ページをめくるときにちゃんと1ページだけめくれているか自信がなくて何度も確認。
左手の人差し指と親指に強く力をいれて2枚の紙を挟まずに1枚だけめくれているかを確かめていたので、紙のその部分だけがヨレヨレになってしまっていました。
1. ページ番号
ページ番号を何度も確認。
一度見ただけで満足できるならまだいいのですが、強迫神経症にありがちな罠で、一度見ただけではなぜか満足できず何度も繰り返してしまい、これによりさらに強迫が増幅します。
2. 前後のページの流れを照合
前のページの最後の言葉と次のページの最初の言葉を照合してずれが生じていないかを確かめる。
これもいちいちやっているとかなり疲れる強迫行為です。また、前項目と同様に一度見ただけで満足できる可能性は低いです。
3. ゴミやインク汚れ
たまに紙面に小さなゴミやインク汚れのようなものが付着しているとそれが気になって凝視し、前に進むことができなくなってしまいます。
4. 雑念恐怖
文章を読んでいてる時に何か雑念が浮かんでくると、ちゃんと文章を理解しながら読むことができていない気がして前に戻ってもう一度読み直します。
そのうち、雑念が浮かんできたわけでなくても、ふと自分がちゃんと内容を理解できていない気がしてきて何度も読み直さなければ気が済まず、いっこうに次のページに進むことができなくなります。
5. 背景などのとりとめも無い絵
漫画を読んでいる時は、ページをめくった後に、前のページの背景に描いてあった小さな絵のことがなぜか気になりだし、戻ってどんな絵だったのかを確かめずにはいられなくなります。これも一度やってしまうとそれだけでは済まず、何度も行ったり来たりする意味不明な強迫行為を繰り返してしまうことになります。
電子書籍で本を読むようになった
ページめくりが特に苦手だったこともあり、電子書籍で本を読めば少なくともページめくりのときに指に必要以上の力を入れなくても済むことから、もっぱら本は電子書籍で読むようになりました。
とはいえ上に挙げたように他の強迫もあるので完全に楽になったわけではないのですが、それでも紙の本を読むよりは多少楽でした。
そのうち、所有していた紙の本もすべて自分で裁断して自分でスキャナーでPCに取り込み、電子化してタブレット端末で読むようになりました。
これは単に強迫を避けるためという目的以外にも、本棚を整理するため個人的に好んでやっていたことなのですが、この作業の中での「あること」が思いもよらず私の本に関する強迫を緩和するきっかけとなったのです。
スキャンの重送が強迫性障害改善のきっかけとなった
その「あること」というのは以下の通りです。
本を裁断してドキュメントスキャナーを使って連続してスキャンしていくのですが、どうしてもたまに紙が重送してしまいます。重送というのは2枚以上の紙がくっついていて一緒にスキャンされてしまうことで、そうすると当然その2枚の内側に挟まれたページは読み取ることができません。
かなりの数の本をスキャンしていて、スキャン中はテレビを見ながら作業したりしていたので、重送されたことに気がつかずにいてあとからタブレットで本を読んでいるときにやっと気がつくことが何度もありました。
気がついたときにはすでに裁断した本は捨ててしまっているためどうすることもできません。このことが自分に変化をもたらしたように思います。
全ページを理解して読む必要など無い
小説でも漫画でも、多少のページをすっとばして読んでもそれなりに内容は理解できますし、そもそも本を読んだ後に全ページの文章が記憶に残っている人など(普通は)いないと思います。
小説でも漫画でも、細かいことは読んだ後すぐにどうせ忘れます。
かくいう自分も、一冊の小説を読んだ後に記憶に残っているのは、全体の流れや、印象的だったポイント程度です。小説というのは膨大な文字を読んでいるので、そのほとんどを覚えていないと言っても過言ではありません。あくまで全体の話の流れが分かっていればいいのです。
スキャンの重送で強制的に全ページ読めないことを何度も経験しているうちに、全ページ読むこと自体が自然にどうでも良くなってきたのです。
ある時はスキャンした後すぐにタブレットで本を読んでいて重送に気がついたため、まだ裁断した本は捨てずに残っていたのですが、後から追加でスキャンすることのほうが面倒だったのでそのまま裁断した本は捨ててしまいました。
ここまでどうでもよくなると、もう本を読む事は強迫観念の対象ではなくなりました。
今では紙の本のページをめくるときも、たとえ2ページくっついていて一緒にめくってしまったとしても私にとってはどうでもいいことなので、まったく気にしていません。笑
おしまい。
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