京葉線(E233系5000番台)分割運用の今後を考える
京葉線分割運用の今後を考える
2024年3月の京葉線ダイヤ改正では、快速縮小問題が大々的に取り上げられ、相対的に話題となることは少なかったが、京葉線E233系の分割運用が縮小されている状況にある。
【2024年3月改正での変更点】
・勝浦行きを上総一ノ宮行きに変更。外房線内間合い運用の増加
・分割編成充当の運用1減(3運用→2運用)
※通勤快速から各駅停車に格下げとなったが、運用数自体への影響はない
中央線快速のグリーン車運用開始や各線区で余剰気味のE233系転配問題とあわせ、京葉線分割編成も見直しになるのではないかと、一部ファン層で議論を呼んでいる。今回はこれを検証してみたい。
京葉線分割編成の現況
京葉線では大昔は各駅停車で103系4・6両編成の運転があり新習志野で増解結するような運用もあったが、全車10両運転となって久しく、2024年現在では夜下りの「成東・上総一ノ宮行き」(83運用)、朝上りの「成東・上総一ノ宮始発」(85運用)を基軸とした運用となっている。2023年以前は分割編成による京葉線内運用(81運用)もあったが、分割は伴わないため10両固定編成で代走可能であった。
E233系5000番台の分割編成は4編成ある一方、運用は2運用で足りるのが現状で、当然10両固定編成の代走も可能であるが、固定編成自体も21編成18運用とこちらも余剰気味になっている。
一方で、京葉線においても将来的な長編成ワンマン運転化・ホームドア設置が予定されており分割編成がその障壁になるため、分割運用が廃止になるのではないか、との懸念が議論の発端と理解している。
京葉線経由東金線直通の需要はあるのか
筆者としては車両需給関係から運用が決まるものではなく、利用動向がまずあり必要な車両を手当てするのが本来の姿と理解している。必要ならホームドアは対応すれば良いし、分割運用については双方に人員(車掌である必要もない)を配置すれば足りる(ここでは効率性は一旦置いておく)。
京葉線経由成東行きは、京葉線全線開業時以来、通勤快速(休日は快速)として設定され、誉田で外房線(上総一ノ宮行き→勝浦行き→上総一ノ宮行きと変遷)と分割し直通運行されてきた。誉田駅での分割併合作業に時間が掛かる点はネックではあるものの、通勤快速の足の速さから東京への速達効果を広く波及させるために設定されてきたと理解している。
実態として利用者がどの程度いるのか定量的なデータは無いが、昨今の通勤快速廃止問題の自治体の動きに東金線沿線自治体は含まれておらず(大網白里市除く)、絶対数は大きくないものと考えられる。
2024年3月ダイヤ改正では存続こそしたものの、各駅停車化で対東京の速達効果は大きく低下しており、対東京の通勤列車というより、千葉周辺近郊輸送がメインにあり、京葉線直通も一応存続している――というのが実態のように思える。この点は本noteでも過去に指摘しており、特に誉田駅での分割併合に掛かる長時間停車から、利用の多い土気・大網ユーザーの不興を買っており、中長期的には廃止される可能性が高いのでは、という見解を筆者も持っている。
一方で、通勤快速の廃止、勝浦行きの区間短縮などドラスティックな改編を行った2024年3月のダイヤ改正においても成東運用が存続しているのは注目すべき点で、運行側としては相応の存続理由があり、ただちに廃止にはしない方針を保持しているように感じられる。
京葉線快速縮小問題で沿線自治体との関係悪化が表面化した状況もあり、たとえ需要僅少だとしても東金線直通廃止はインパクトがあり、今後の対応として拙速な対応は取りにくいのではないかとの推測も成り立つ。
ただちにではないとすればいつになるのかとなるが、それこそ京葉線のホームドア整備、ワンマン運転開始のタイミング(2030年頃?)が最有力として考えられる。
東金線直通廃止となった場合の救済策を考える
需要上の問題と車両上の問題どちらもあり得るが、仮に京葉線からの東金線直通が廃止となった場合の代案としてどのようなものが考えられるかを整理したい。
1 千葉始発列車で代替
最もシンプルかつ現実的な代替パターン。単純置換としても輸送力が不足気味の千葉~誉田間では増発になる。
2 東金線内列車で代替
大網で外房線列車(京葉線直通?)に接続する消極的なパターン。
3 総武線直通快速を誉田で分割し、東金線に直通
分割運用を京葉線直通から総武線快速直通に振り替えるパターン。総武線快速は全車分割対応なので、理屈上は考え得る。ただし、誉田分割併合に伴う所要時間増などデメリットもあり、ダイヤの見直しも不可避となる。
4 総武線快速八街経由成東行きを東金線経由大網まで延伸
大網方からの直通ではなく成東方から直通とし、東京行きを維持するパターン。現行では成東方での東金線直通はないため可能性としては低く、八街経由成東行きの存続自体も京葉線直通同様、整理対象としては考えられる。
5 特急列車による直通
ウルトラCではあるが、京葉線・外房線経由特急として大網から東金線に直通することも考えられる。東金線内は各駅停車になりそうだが、史上初の特急となりインパクトもある。また、E257系5両化で輸送力不足が指摘される外房特急にとっては需要の大きい大網以西での増強にもなる。意外とメリットのある施策のようにも思える。
車両の行く末はどうなるか
本稿ではまず運用がありきで検討をしたが、車両の行く末も気になるところではある。
中央本線では211系6両編成の延命工事が見送られ、ホームドア設置となる高尾以東にはドア数の問題から乗り入れ不可となるようで置換が見込まれている。置換車両に余剰気味のE233系6連を適任と考えるのは理解しやすい。他線区事情には疎いが、中央快速線のE233系分割編成や南武線6両編成でもホームドア改造外などで転出が見込まれているようである。
京葉線E233系分割編成においても、現時点で2運用に対して4編成あり、少なくとも1編成は余裕がある。4両編成についても同様に余裕がある10両貫通編成(京葉線のほか、京浜東北線なども考えられる)と組み替えることで6両編成の組成は可能と考えられる。
仮に分割運用が廃止され京葉線全分割編成が余剰となった暁には残る3編成も転出対象となることが考えられるが、同様に6両編成組成は可能となる。あるいは4両編成としての用途もあるかもしれない。
やや脱線気味になるが、一部で人気がある京葉線209系500番台(ケヨ34)については、輸送力不足気味の武蔵野線への転用が適任と考えている。
こうなるとさすがに京葉線の車両不足が見込まれるが、常磐緩行線E233系においてもワンマン対象外編成(2編成)があるようで、これを京葉線に転入し補うことも考えられる。
おわりに
後半は車両面の言及をしたが、筆者は車両については疎くおおよそ当たらないものと思う。
地元としては房総各線を走る209系がいつまで走るのかも気になるところではあるが、順番としては国鉄世代の205系・211系の次となり当分先の話と考えられる。当初はE233系の転入が見込まれていたようであるが、209系同様ボックスシートやトイレ設置改造がなされるのか、房総各線は中編成ワンマン(≒6両編成)の導入が予定されており、現行8両編成の取り扱いはどうなるのか、運用面の見直しと一体不可分でもあり興味は尽きない。
参考サイト
京葉線 分割編成の今後は(山眺の資料室様)
【211系で延命工事】長野車一部代替?余剰気味なE233系の今後(鉄道ファンの待合室様)
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