ハンバーガーにガッツポーズを
用を終えて外に出る。猛暑ながら風は爽やかで気持ちいい。
それだけで気分上々という気がしてくるからラッキーだ。
こんな晴れの昼はハンバーガーにかぶりつきポテトあむあむシェイクでごきゅっと飲み下したい。
そうだ、そうしよう。目の前にモスがある。テイクアウトだ。
早速入ってスパイシーモスバーガーとポテトとバニラシェイクを注文した。(イメージはストロベリーシェイクだったんだけど、なかった。何年振りのモスだかもう思い出せないくらい超久々だったんだなぁ。)
ちょうど昼時になり、続々と人がやって来て列ができる。タイミングよく入れてよかったなーと思いながら、かぶりつける楽しみにニコニコ顔でレジ前の長椅子に腰掛け呼ばれるのを待っていた。
ふと横を見ると、隣のテーブルで小さな男の子と母親が二人で食事をしている。お母さんはフィリピンあたりの南方系の人で、小柄ながらふくよかな体に柔和な丸顔をしている。けれど、どことなく沈んだ雰囲気だ。
私に背を向け反対側に座る小さな男の子は、声も出さずしきりに動いている。何かと見れば、小さな両腕を高々とあげ、ハンバーガーだかポテトだかを食べる嬉しさにガッツポーズし続けているのだ。
「うん!うん!うん!!」と、もぐもぐしながら。
母親の沈んだミストなんか視野の外だ。全身で元気に喜んでいる。単純明快だ。
カラッと晴れた暑い夏。大好きなお母さんとハンバーガーにかぶりついて、美味しくて、それだけでヒャッホーなのだ。
そうそう。私も全くおんなじ心境だよ。私は一人だけど、それでも、ヒャッホーだよ。
小さな男の子の髪はクルンクルンにカールして、小さな天使そのものみたいだ。
そう思って見ていると、向かいに座るお母さんと目が合った。
私は思わず自分でも驚くほどの満面の笑みをお母さんに返した。
(なんて可愛いの!!!おたくの坊やっっっ!)
そしてすぐ私は顔を逸らし正面のレジへ向き直り、ハンバーガーができるまでずっと厨房を見ていた。
すぐに、お母さんが「クックッ」と笑い始めた。
口数少なにポツポツと話す声も笑いが混じって優しい。
男の子は気が済んだのか、早々と帽子をかぶってお母さんの方へ行き、行こうと腕を引っ張っている。
まだよ、まだ、食べているのよ。とお母さんが言う。
行くの〜。行くの〜。と相変わらず嬉しそうな顔のまま腕を引っ張る男の子。
お母さんは笑いながら男の子を抱き寄せ、膝に乗せた。
番号が呼ばれ、私は受け取って店を出た。
帰り道、ホクホクしながら、「いそう」て何の合図だ?と私は悩んでいた。
私のシェイクの紙袋に「いそう」と書いてある。
何が「いそう」なんだろう。
私のシェイクの紙袋に何かいそうなのか…? えー。。
でも、いとその間の、このアポストロフィはなんだ??
、、「バニラ」だと気がつくのに私は数時間要した。
これは昨日の出来事。そして今日、私は理由もなく激しく落ち込んでいる。
いそうなバニラを飲んでから、猛烈な眠気に襲われ、夜も早々に寝たのに、今日も午後まで落ち込みながらどうにもならんとこんこんと眠り続けている。
ガッツポーズしていた自分が懐かしい。
でも、こんな私でも、お母さんに微笑みを送ることはできたのだ。
しばらくは、もうそれでよしとしよう…
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