日本人の地縁・血縁志向データ分析
本日メールで届いていた上記記事の無料部分を読んでみたが、地縁・血縁志向が事実なのかどうかは記事からは判別できなかった。そこで少し調べてみた。
数値だけでは分かりづらいので、横軸に年齢、縦軸に引っ越した人(居住地を変更した人)を取り、グラフを描画したのが下図だ。
朝日の記事の表題にある通り、10代においては約10年前と比較すると地元志向、すなわち地元に留まる率が徐々に上昇している傾向にある。15歳から19歳までの率は約10年で3%上昇している。
2023年10月1日時点での15歳から19歳の人口は約607万4000人であるから、2023年において15歳から19歳の地縁・血縁志向は約17万6000人増加したことになる。ちなみに15歳から19歳の総数での地縁・血縁志向は、約481万6000人(79.3%)である。
一方で、その15歳から19歳で居住地を変更した人(多くの地縁・血縁志向ではない人)の理由で高いものは、トップに住宅を主とする理由(親元を離れて、ひとり暮らしの開始だと思われる)、次点で入学・進学である。
なお、先程、多くの地縁・血縁志向ではない人と書いたが、資料(データ)から居住地を変更して県外や経済圏を離脱したかどうかは読み取れないため、同じ県内へ居住地を変更した人も含まれる。よって、この中にも少なからず地縁・血縁志向の人は含まれることに注意したい。
また三大都市圏に限って言えば、全世代において、同一の都市圏内での移動があったとしてもその都市圏内に留まる傾向が強いことが読み取れる(県外移動歴なしの全国平均は41.5%)。
特に中京圏は全世代において、他の都市圏(東京圏・大阪圏)より地縁・血縁志向が強い。
最後に全国で県外移動歴がない率が高い、つまり地縁・血縁志向が強い県民トップ5は、
・愛知県 57.4%
・北海道 52.2%
・埼玉県 48.8%
・神奈川県 47.8%
・大阪府 46.6%
である。
逆に全国で県外移動歴がない率が低い、つまり地縁・血縁志向が低い県民トップ5は、
・島根県 23.8%
・長崎県 23.9%
・鹿児島県 26.5%
・宮崎県 27.6%
・秋田県 29.9%
である。
ちなみに全国平均は41.5%であり、上記にUターンなどの要素は考慮していない。
その41.5%にUターン平均の21.1%を加えれば62.6%が地縁・血縁志向が強いことが読み取れる。
以上より、自分が生まれた都道府県を含め、その経済圏に一生を通じて留まる率は50%前後だと思われる。
よって国民のおよそ半分は「純粋な」地縁・血縁志向であると言えるのではないだろうか?しかしながら経年での変化のデータを検討することをしなかったので、興味がある方は国立社会保障・人口問題研究所のデータ(1976年から2023年)を活用して行ってみて頂きたい。
※蛇足だが、私は兵庫県で生まれて現在は東京都に住んでいる。大阪圏で生まれて東京圏で生活するデータを読み取ろうとした結果、(大阪圏生まれ全体の)2割弱より極めて低い少数派であることが判明した。