災害発生時はラジオを聴いて!
『災害時はラジオを!地震発生直後からNHKテレビと同じ内容がリアルタイムで聴けます!』
『物の下敷きで死なないために家具類の転倒防止を、今すぐ!』
防災士研修に参加しました。
2日間まるまるで12時間の講義と最後には認定試験という、きついスケジュールではありましたが、
どの講師も現場で培われた経験則からの貴重なお話をしてくだいました。
時には笑いも交えながら最後まで集中して「認定試験向けではない」真面目な講義で、とても有意義でした。
なかでも心に残るのが、元NHK報道局、現在は名古屋大学と江戸川大学で教鞭をとられる隈本邦彦先生の『災害と報道、耐震補強の重要性』の講義でした。
あの3,11の災害報道には、巨大地震・津波を生中継で全国に伝えられた、災害史上初、報道史上初の出来事だったそうです。「いつ来るかわからない地震・津波」裏返せば、海沿いに設置された天カメで待ち構えて、日頃から準備していることができた成果だそうです。本来ならば、この報道によって多くの人命が助かるはずでした。
それなのに、あれほど「逃げてください!」といったにも関わらず、現場では走行している車両が津波に飲まれる映像が跡を絶たなかった。一番情報を必要としていた現場では停電が起きていて、逃げるべき人達は何が起きていたか知るすべがなかったことが、あの震災の被害を大きくしている。報道機関として今回の教訓から適切に反省し、災害発生直後に何をどうすればよいかを、広く伝える番組を制作すべきであった。
ラジオを聴くこと。ラジオはテレビ画面に出るテロップもきちんと音声にする訓練をアナウンサーは毎日繰り返している。ラジオであれば停電に左右されず最新の情報を得ることができる。
たくさんの学びの中で印象深かったこととして、
「メディアは災害の教訓を伝えるのが下手である」という話題でした。
実例として「視聴者は美談、ヒューマンストーリーを求めている」「政府の批判と弱者に寄り添った意見がウケる」のに対して、「この災害を教訓にして、次の災害時はどう乗り越えていったら良いのか」という情報発信をしていないということです。確かに被害にあって打ちひしがれている人を前にして、元には戻せない「たられば」(こうしたら良かった、こうしていれば助かった)の話をしたら「犠牲者を悪く言うのか!!」とたちまち炎上するのでしょう。
マスメディアの長所である「瞬時に多数に伝えられること」が読み手を選べないという短所と相まって、批判の種になってはいけない、だから差し障りのない、できれば視聴者受けをする話題に寄った報道になるということでした。この話は、私も分かっているつもりでした。たとえNHKでも、視聴率、そして世間からの批判は気にならない筈がないからです。
これからは、
*過去の災害の教訓に正しく学び、起こりうる事態に「無駄と思わずに」備えること。
*誰の責任か!(責任追及型)でなく、次に備えるべきことを報道するべきである。(原因追求型)
*メディアが好む「新しい・珍しい・心を動かす何か」ではなく「当たり前のこと」として教訓を伝えられるように。
⇒このようにマスメディアが方針を変えてくれたら、今よりも視聴率も上がるのかもしれません。
最後に防災士の必須の観点として、『死者の声を聴くこと』と教わりました。
避難所でインタビューをすれば美談、苦労話と併せて出てくるのは、不安と不満と、不備に対する文句になる。
災害現場で聴けたら一番なのは物を言えない死者である。死者の本音は『死にたくなかった。◯◯しておけばよかった』であろう。この◯◯を想像・イメージする力が防災士には必要である。
阪神淡路大震災では、亡くなられた方の7割は倒れてきたものの下敷きでの圧死。火事で亡くなられた方も、転倒した家具に挟まれたりしていることを加味すると、家具類の転倒防止と、建物の耐震補強をすることが命を守るために必要だったのでしょう。
http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000059/1003399/1012166/1012167.html
参考:葛飾区の木造住宅の耐震助成制度
生きていれば、また明日に向かっていくことができます。
命を大切に、守り続ける立場で精進します。
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