ハセガワ製エースコンバット プラモデルのゲームと違う点
はじめに
ハセガワはエースコンバットのプラモデルを数多く発売しているメーカーですが、残念ながら塗装図や組み立て指示の中にはゲームとあっていないものも存在しています。この記事ではその点を紹介していきたいと思います。
しかし、一言で「ゲームに登場した時のオリジナルと違う」と言っても、その違いは様々です。
エースコンバットでは機体のカラーリングを自由に変更できるため、後年になり再登場した際に、ゲーム制作側のミスでオリジナルのカラーリングと異なったものを出してしまっている場合もあります。
この記事が「初登場の時のイメージでプラモデルを作成したい」という方の一助になれば幸いです。
なお、あくまで私が現時点で見つけている範囲の物だけになりますので、追加、訂正などありましたら教えて頂けると幸いです
SP 311 F-22 ラプター“エースコンバット メビウス1”
2013年に発売したキットですが、F-22だけではなく、エースコンバット04に登場した様々な機体を再現できるオマケデカールが魅力的なキットです
F-22 "メビウス1"
①機首周りのコーション(警告)マーク
攻略本の画像と見比べますと、ゲーム内のコックピット周辺にある射出座席の存在を示す、三角形のコーションマークはハイビジのように見えます。また、コックピットの前方寄りには黄色い矢印(脱出装置の起動ハンドルを示すものか)のようなものが見て取れます。
このあたりの特徴は、YF-22時代のマーキングを参考にしたのではないかと思われます。
ハセガワでは、射出座席のコーションマークは、実機の量産機と同じくロービジの物が付属しています。
②制空迷彩のパターン
制空迷彩のパターンは、エースコンバット04の物とプラモデルの塗装指示の物では異なります。
最も特徴的なのは、コックピット周りの制空迷彩になります。
オリジナルのバージョンでは、赤線で示したようにキャノピーを縁取るように始まり、機首・背面・左翼が一つに繋がっているのが見て取れます。
また、F-15Cのように、エンジン上部にも濃い色が置かれているのが特徴的です。
ハセガワの塗装指示では、米軍の物をそのまま流用している所為でエースコンバット04のF-22の特徴的なパターンを再現できておりません。
③金色パネル
エースコンバット04のF-22で最も特徴的なのは、エンジンノズル根元にある謎の金色のプレートです。
これはシリーズに登場する様々なバージョンの"メビウス1"のF-22の中でも、04にしかない特徴的な部分になります。
ハセガワの塗装指示には反映されておりません。
④縁取り
画像には書き込んでいませんが、ハセガワの塗装指示では実機と同じく機首先端や主翼端などに明るい色を置くように指示が出されていますが、「エースコンバット04」のF-22を見る限りはそのような色は置かれていないように見えます。
ゲームごとにこれだけ違うよメビウス1
さて、ここまで読まれた方の中には「なぜこんなことに?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、これはゲームで再登場に再登場を重ねてきた人気機体が故の問題があるのです。
F-22のカラーリングを登場順に、どこが変わっていったのかを見比べてみましょう。
・エースコンバット04 シャッタードスカイ
全てのオリジナルの"F-22 メビウス1"になります。特徴的なのは赤いヘルメットと金色のプレートです。
・エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー
基本的には04の物と同一ですが、違う場所もあります。
制空迷彩のパターンは垂直尾翼の右外側・内側(左右対称)が微妙に変わっており、特徴的な金色パネルとヘルメットの赤いマークがこのゲームからなくなりました。
エースコンバットゼロ ザ・ベルカンウォー
基本的にはエースコンバット5の物と同一ですが、5で04と違うパターンにされていた垂直尾翼の制空迷彩が04の物に近くなりました。
内側は左右対称なので、5の物と見比べて頂けると後端側のラインが違う事が見て取れるかと思います。
右垂直尾翼外側も、04に近い形状になりました。(メビウス隊のエンブレムがあるあたりが分かりやすいかと思います)
・エースコンバット6 解放への戦火 以後
マーキングなどは04の物に見えますが、実はこれ6の通常カラー版をベース製作されているため、制空迷彩のパターンなどが米軍に近いものになっており、04/5/ZEROの物と大きく異なっています。
別の言い方をすれば、ハセガワの塗装指示はこの6/AH版がベースに製作されたと言えます。
ゲーム側で間違ってしまったのをそのまま再現してしまった感じでしょうか?
6/AH/7版を作るなら問題ありませんが、04/5/ZERO版を作りたい場合は注意してください。
その他
デカール”MOB 03”
このメビウス1のキットにはオマケデカールとして、エースコンバット04のF-16の物も収録されています。
右上に十字マークの盾型のデカールがありますが、これはおそらくゲームで垂直尾翼右上に張ってあるものを再現したものだと思われます。
しかし、実際のゲームを確認するとメビウス中隊のマークに見えます。
デカール"MOB 01"
このメビウス1のキットにはオマケデカールとして、エースコンバット04のF-4Eの物も収録されています。
キット収録のデカールでは中央のメビウス中隊エンブレムは背後に地球が描かれているものになっていますが、ゲーム中でアップになるエンブレムは地球が描かれていないものになります。
余談ですが、エースコンバット04のF-4Eのカラーリングはイギリス海軍のF-4 FG.1ではないかと言われています。
機体の塗り分けや垂直尾翼の矢じり模様、ドーサルスパイン上部や主翼のウォークウェイなどの特徴もかなり近いと思われます。
プラモデルを製作する際にはフジミの「ブリティッシュ ファントムII FG.1 シルバージュビリー」のデカールや塗装指示が参考になるかもしれません。
エースコンバット04のF-4Eのドーサルスパインをよく見て頂くと、うっすらと四角く、色が濃い箇所が続いているように見えます。これは実際何であるかは知らないのですが、ブリティッシュファントムに見られる特徴です。
明るくした画像をよく見て頂けると分かるのですが、エースコンバット04のF-4E、主翼上にあるウォークウェイは黄色で、外側に赤い警告マークのようなものが見て取れます。
これも、ブリティッシュファントムのデカールに収録されていますのでこれを使うのが良いかと思います。
ちなみに、エースコンバット7ではそのあたりは再現されていませんでした。
SP330 F-15C イーグル “エースコンバット ガルム1”
前提として
まず、前提の話として、エースコンバットZEROに登場するF-15Cは前作、エースコンバット5のF-15Cのテクスチャをベースに作成されています。
その証拠に、エースコンバットゼロのスタンダード/ピクシーカラーには消し忘れたウォードック隊のエンブレムが右垂直尾翼に残っていたりします。
今後、紹介する画像で5の物が使われる場合もありますが、スクショを取りやすい環境にあるのが5であり、迷彩のパターンなどは同一なためです。
そして、制空迷彩のパターンは大別すると3種類に分けられます。
エースコンバット5のF-15Cベースで作成されたZERO/6の物と、
米軍の迷彩パターンをベースに作成されたAH/INFの物、
そしてハセガワの塗装指示図を再現してしまった7
この3種類になります。
ハセガワのデカール、塗装指示はAH/INFの物をベースに作成されているため、ZEROのイメージで制作しようとすると違う場所がかなり出てきます。
ちなみに、紹介するのはサイファーだけですがピクシー機もほぼ同じです。
F-15C"サイファー"
①コーションマーク
エースコンバットゼロのF-15Cでは、古い時代の米軍で使われていた、派手な色のハイビジカラーのコーションマークが使われています。
その一方、ハセガワの塗装指示ではAH/INF版をベースにしていますので、現代の米軍で用いられているロービジ(目立たない色)カラーのコーションマークが配置と共に使われています。
後述しますが、ハイビジタイプのデカールは別のキットを買わないと手に入らないので、ZERO版を作りたい場合にはコーションマークの位置含めて注意してください。
②、③制空迷彩のパターン
エースコンバットゼロのF-15Cには5から続く、米軍とは違うパターンの制空迷彩が施されています。
ハセガワの塗装指示と見比べると、主翼のフラップにまで濃淡の濃い色がはみ出ているのが特徴ではないでしょうか?
また、エンジン上部の濃い箇所も、ハセガワの指示に比べると細い様に見えます。
垂直尾翼はハセガワでは両面に迷彩の指示が出ていますが、ZEROでは外側のみになっています。
水平尾翼に関しても、ZEROでは迷彩が無かったのですがAHをベースに製作されているハセガワの塗装指示では迷彩が施されています。
このパターンに関しては以前、自作したテンプレートがあるのでA4で印刷して使ってみてください。
④モデルにした機体の差異
F-15Cは長く使わている機体の為、機体の細部が時代によって変わります。
エースコンバットでもモデルにした機体の年代が作品によって違うため、同じモチーフのカラーリングを施した機体でも、細部が違ってしまう事があります。
ハセガワの組み立て指示では、後部のアレスティングフックカバーを切り取り、右のアウトリガー部を変更するように指示されていますが、ZERO版を作成したい場合、このあたりはそのままで大丈夫です。
詳しくは技MIXの組み立て説明書が詳しいので是非。
⑤点検パネルマーキング
パッケージ画像などの高画質版画像を見ると、コーションマークではない細かい点のようなマーキングがあるのが見えると思います。
これは、点検の時に開けることが出来るパネルの番号を記したマーキングだと思われます。
米軍では早い時代に無くなったマーキングですが、自衛隊のF-15Jだとまだついているようなマーキングです。
ゲーム内グラフィックでも、可能な限りこのマーキングがされているがかろうじて確認できるので、ぜひ再現してみてください。
⑥キャノピー枠
ZEROのF-15Cは古い塗装のF-15Cをモデルにしているので、キャノピーの枠は機体色と同じではないパターンになっています。
一方、AH/INF以降は現用の米軍と同じパターンになっているので機体色と同じ枠色になっています。
⑦機首
ゲーム内での機首は、制空迷彩の濃淡2色の内、淡い色をほんの少しだけ明るくした色で塗られているように見えます。
ハセガワの塗装指示では「ホビーカラー 315番」が指示されていますが、これは明らかに明るすぎます。
⑧エンブレム位置
垂直尾翼のガルム隊エンブレムですが、ZEROの物と比べると明らかに位置が低くなっています。動翼の切れ目を基準とすると、口がこのラインに乗るのがZEROの特徴です。
機首側面の国籍マークも、編隊灯と機番で合わせると、少し位置が低くなってしまっています。
⑨名前欄?
エースコンバットZEROでは、機番の上あたりに、パイロット名などを書き込むスペースのような白い、四角い場所があります。
まったく同一のものは見つからなかったのですが、このあたりにパイロット・機付長の名前を書き込む例はあったので、その類だと思われます。
この名前欄は後述するように出来が良いエースコンバット6版でも再現されていない箇所になります。
じゃあゼロバージョンのサイファー・ピクシー機作りたいならどうすればいいの?
まず、塗装パターンに関しては上に掲載した私作成のテンプレートが良いかと思われます。
ハイビジのコーションマーク、点検パネルなどのデカールがそろったキットとしては、最近出たプラッツの「アメリカ空軍 戦闘機 F-15C イーグル 第18戦術戦闘航空団 ”将軍1982"」が現状のオススメになります。
私作成のテンプレート、このキットとハセガワのデカールの組み合わせがゲーム内イメージに一番近いマーキングが再現できるのではないかと考えています。
エースコンバット7の良くない点
エースコンバット7のDLCに収録されているサイファースキン、その良くないところはずばり「ハセガワの塗装指示図」を参考に作っている疑いがあるというところです。
その証拠が、制空迷彩の濃淡の強さになります。
左から三番目のは私が作成したプラモデルになるのですが、制空迷彩の塗料自体はハセガワの指示の通り「C307/308」の組み合わせになります。見てわかると思うのですが、この2色は目を凝らさないと色の差が分からないくらい近い色になっています。
つまり、ハセガワの塗装指示図はわかりやすいように濃淡の差を強調して作成されているだけであり、この指示通りに塗ればゲーム内イメージに近い濃淡の物が出来上がるのが理解していただけると思います。
しかしながら、エースコンバット7の制空迷彩は初出であるZEROの物とは大きく違っている、濃淡が非常に強い制空迷彩になってしまっています。
これは、おそらく原典を参照せずにハセガワの塗装指示書から孫引きして作成していると思われます。
オリジナルのテクスチャ素材などに簡単にアクセスできるはずのゲーム制作側がこのようなミスをするのは残念です。
ZEROに登場した、いわゆるサイファーのF-15のカラーリングは6のDLCにも登場しています。
しかし、F-15Cがゲームに登場しなかったことからF-15EにZEROの塗装を施したものになっています。
コーションマーク、キャノピーの塗り分けなどはF-15Eと同じパターンになっていますが、制空迷彩の形、色などはオリジナルのZERO版F-15Cをとてもよく再現しており、メビウス1のF-22に比べると格段の出来だと思います。
一方、アサルトホライゾンの物になると、コーションマークはロービジに、制空迷彩の形状も現用の米軍に近いものになってしまいました。
これは、アサルトホライゾンの通常カラーのF-15Cの物を色変えしただけになっています。
SP313 F-14A トムキャット “エースコンバット ラーズグリーズ隊”
はじめに
実は初版は変えておらず、次の再販版が初めて手に入れます。
ので、再販版で治っている可能性もありますし、そのままの場合もあります。
画像の引用は控えますが、ホビーサーチ様のサイトに掲載されている組み立て説明書をもとに紹介していきます。
https://www.1999.co.jp/10271032
①垂直尾翼の上端
ハセガワの組み立て説明書では、ブレイズ以外のラーズグリーズ隊の機体でも垂直尾翼上端の赤いマーキングを貼るようにイメージが掲載されていますが、ゲーム内ではこの赤いマーキングは隊長であるブレイズの機体だけに張りこまれているものになります。
一方、INFの特別機では全隊員にこの赤いマーキングが施されていますが、5版の再現を目指すなら貼らないほうがベターかもしれません。
おわりに
ちゃんと調べてないのですが、もしかしたらガルーダや他のも探したら違うところがあるのかもしれません。
もし、気づいたゲームとの違いがあったら是非教えてください。