村上隆が評価される理由~元ネタの遡り~
最近、村上隆さんの『芸術闘争論』を読んでいます。
その中で改めて、村上さんの作品が評価される視点を学びました。
作品に対する背景や文脈を何も知らない人からすると、村上さんの作品は単なるポップな絵、イラスト、マンガ、アニメにしか見えないと思います。
私も現代アートの文脈の大枠くらいは知っているつもりで、その上で、村上さんの作品は、以下の要素を持っているため世界で評価されていると思っていました。
①デュシャンの頃から存在する”キッチュ”な題材という要素
②キッチュなものの中でもリキテンスタインやウォーホルが扱ったマンガイラストという”ポップアート”の要素
③絵巻物や浮世絵、マンガという日本の中で続いている”国の文化”を扱っていること
しかし『芸術闘争論』を読むと、もっと深いコンテクストを持っていることを学びました。
例えばある作品では、以下の要素を持っているとのことです。
①アニメーターの金田伊功さんの表現エッセンス
②金田さんを遡ることで、更なる元ネタの狩野山雪、葛飾北斎、東洲斎写楽の表現エッセンス
③下ネタの要素
④アメリカの戦後のフラットな芸術
このことから特に学んだことは、”元ネタの元ネタに遡っていく”ということでした。
1つの元ネタを見て知った気になるのではなく、そこからまだ遡れるのではないかという探求心が現代アートを見るうえで必要だと教えられました。
アートに対する視点が1つ増えて、これからまた美術館に行くのが面白くなると思いました。